３月 ６日 （啓蟄）

　　　　　　　　　　　　　　　　　（　　啓蟄　　）



啓蟄や土塊指間よりこぼる　　　　　　　　　　　　栗田やすし



啓蟄や天使の声のひきがへる　　　　　　　　　　　沢木欣一



啓蟄や野菜サラダを山盛に　　　　　　　　　　　　河原地英武



籠を編むひご啓蟄の地に撓ふ　　　　　　　　　　　都合ナルミ



啓蟄や妻還暦のクラス会　　　　　　　　　　　　　佐藤とみお



啓蟄や掘り抜き井戸に水溢れ　　　　　　　　　　　伊藤旅遊



調教の鞭啓蟄の地を打てる　　　　　　　　　　　　矢野孝子



啓蟄の朝ねんごろに地を掃けり　　　　　　　　　　福田邦子



啓蟄の土靴底に郵便夫　　　　　　　　　　　　　　奥山ひろ子



啓蟄や剃刀で剥ぐ足の胼胝　　　　　　　　　　　　武田稜子



啓蟄の田に寄り合へり放ち鶏　　　　　　　　　　　磯田なつえ



啓蟄や馬に蹄鉄打ちし音　　　　　　　　　　　　　片山浮葉



啓蟄の土盛り上ぐるトラクター　　　　　　　　　　花田紀美子



啓蟄や石でふさげり鼠穴　　　　　　　　　　　　　中根多子



啓蟄や鳩とび出して時計鳴り　　　　　　　　　　　矢崎富子



啓蟄の池の底より泡ひとつ　　　　　　　　　　　　　こころ