百合 その2
鬼百合に一掬の海残しやる 櫂 未知子
しづけさは鬼百合の丈そのあばた 森 澄雄
括られて鬼百合はみな俯ける 鈴木 文
曲り屋の茅葺屋根に小鬼百合 山下智子
山百合の斑や滾々と夜来たる 奥坂まや
山百合の茎たくましき崖のふち 福島武蔵
山百合の倒れて花をもたげたる 中山ユキ
故郷の山百合庭に開きけり 中村たか
山百合が目覚めといふをくれにけり 細見綾子
かへりみる夫の目送鹿子百合 石田あき子
盆花の流れに遅る鹿の子百合 佐野美智
笹百合の一茎一花の孤愁かな 吉野義子
笹百合や嫁といふ名を失ひし 井上 雪
笹ゆりや嶺に白雲わき出づる 小石峰通子
笹百合に風立ち木曽の雨上る 坪野洋子
笹百合や棚田の水の響き合ふ 若山智子
姥百合
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