恋の句について

2005-12-02 21:47:00 | Weblog
        うこぎ

 恋の句を詠んだことがありますか?
 青春時代に俳句をしていれば詠んでも、晩学となると、連句の付けとしての
 恋句、または初恋時代の思い出として詠まれることでしょう。
 例え、現在恋をされていても衆目下とはならず、句帖の片隅にあるままなはずです
 俳句は短いが故に本心を的確に表してしまうのでしょう。

 薔薇一枝挿しぬ忘られてはゐずや   藤田湘子
 愛されずして沖遠く泳ぐなり     
 (恋する者の不安定なこころ)
 
 人の手が静かに肩へ秋日和      鷲谷七菜子
 相見ては菊冷ゆる夜も息あつし
 別れむと酒ためらはぬ夜の雁
 (恋情の昂揚から別れへ)

 等身の秋草を過ぎ逢曳す       鷹羽狩行
 七月は夜空を張れり寄れば凭る    友岡子郷
 (愛のよろこび)

 渡り鳥わが名つぶやく人欲しや    原 裕
 重ね着て恋文すこし修飾す      鈴木栄子
 羅や人悲します恋をして       鈴木真砂女

 こうして並べてみると恋にもいろいろありますね。
 恋句は表現の勉強にはもってこいだと思っています。


      ころころの今日の俳句

    
        冬銀河句帖の端の恋いちず  

      ころころの独り言

  ずうずうしく拙句を掲載しても若き日の恋句を紹介できるほど、
  自信もなく。シャイなころころなのです。

      ころころのお気に入り


        未来図は直線多し早稲の花  鍵和田柚子
 

 
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現俳11月の結果より

2005-12-01 20:22:31 | Weblog
      山紅葉

点数
13 菊活けて今でも母の部屋と呼ぶ
10 呼ばれたる貌で近づく冬の鹿
9 鞄から木枯しを出す郵便夫
9 神の留守巫女の胸より着信音
8 冬に入る水の底なる本籍地
8 山眠るこれっぽっちの母の骨
8 酒七斗買うて会津の冬ごもり
8 一言で擦れ違ひたる冬田道
7 冬凪に罪あるごとく烏賊吊らる
7 路地裏の光掬ひて花八手       古賀邯鄲子
6 聞き上手おだて上手やおでん酒
6 産卵の鮭はムンクの叫びする
5 鮭帰る命を繋ぐ旅の果て
5 大道芸秋天廻す皿廻す
5 秋天の一点を指しクラーク像
5 煮崩れてふろふきふっと母の顔
5 明日の米とぎて十月終りけり
5 若者の歩幅で冬の来たりけり
5 平凡な夫と暮らして毛糸編む
5 母の文ひらがな多し泥大根

これが11月の上位20句。
まず自然写生の句が少ない事に気付かれたと思う。
やはり写生句で高点を得るには、しっかりとした写生眼と詩に昇華させる
力がいる、力はいい意味でのテクニックなのだが、IT句会の場合、対象が
全国であり、詠者は当季詠のつもりが互選者には当季にならない場合もある。
それに引き換え人事、生活句が多い、つまり同感が得やすい。
句会慣れしている参加者なら、その辺は承知しているはず。
選句においても、初心者にも賛同を得易い。
私もこの句会に参加して自然写生句では3~4点の賛同を得るのがやっと、
けして人事、生活句がいけない訳ではない。
やはり、上位句はそれなりに佳句だと思う。

これが今月私が選句した5句。
95 菊活けて今でも母の部屋と呼ぶ
279 身に入むや元独房の窓見上ぐ
429 まだ先の旅へ買い足すマスクかな
585 一言で擦れ違ひたる冬田道
619 山眠るこれっぽっちの母の骨


       ころころの今日の俳句

        冬ざくら鴇色ほのか風ほのか


       ころころの独り言

  
 俳友の邯鄲子さんのお句が高点を得た。自分のことのように嬉しい。
 私より年齢的には先輩ですが、短歌、俳句、折連句、ギターなど等本当に
 前向きな姿勢に頭が下がります。


       ころころのお気に入り


        山の灯に棘生えてくる寒暮かな  飯田龍太
  





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