( 金木犀 )
日本列島を足早に縦断しつつある台風ですが、皆さまの周りでの被害は如何だった
でしょうか?ころころの在住の東京では深夜雷雨、朝方から大雨、昼頃まで突風
の目まぐるしい変動でした。
古くからの俳句の仲間で行っている句会の当番が私なので兼題に「台風」を閃き
ました。桜前線も紅葉前線もゆっくり進むものですが、この台風は大方一日二日で
過ぎて行きます。「台風一過」「台風裡」「台風前」「台風来」「台風圏」連衆には新鮮な
属目なような気がします。
人生の台風圏に今入りし 高浜虚子
この句にある台風圏がはたして季語として成り立つかどうかは、修業の身のころころ
には分かりませんが、もし句会にこの句が投句されていたら、ころころは頂きません
皆さんならどうでしょう?
金木犀風の行手に石の塀 沢木欣一
金木犀ふりむく季節来てをりぬ 森川光郎
出勤のあゆみを止める金木犀 棚橋澄子
金木犀ふいに抱かれ深呼吸 高橋静子
( 梅もどき・梅擬 )
兄が満56歳で亡くなった翌年,虚子の「兄のこと話せば泣くや梅擬」の句を知った。
胸に突き刺さる衝撃を受けた。前にも書いた事だが俳句という共通の思いが男兄弟
の繋がりの深さを一層強くしていたから。私には唄えない歌が有るそれは
「涙そうそう」 ・・・
虚子はこの梅擬の赤さに紅涙を思ったのだろうか?
梅擬つらつら晴るゝ時雨かな 川端茅舎
伊賀人の土間艶やかや梅擬 皆川盤水
兄のこと話せば泣くや梅擬 高浜虚子
( 中秋の月 )
昨日は家に辿り着いたのが日付の変わる少し前、とうとうブログを空けてしまう。
車を降り見上げる空には見事な満月が上がっていました。どんなに俳句が好きでも
仕事で疲れている時には俳句心に移りにくい。
今日は久しぶりに板橋区立美術館へ行ってみようと思っている。
英一蝶展が開かれている。http://www.itabashiartmuseum.jp/art/schedule/now.html
月天心はたらくことを励まさる
名月や門の欅も武蔵ぶり 石田波郷
名月や崖に窮まる家二軒 長谷川かな女
名月に花風といふ踊り見し 細見綾子
十五夜の醤油とくとく匂ひけり 岡本眸
十六夜の一客に焚く蔭香炉 佐野美智
( 丸葉萩 )
一家に遊女もねたり萩と月 芭 蕉
明日3日は中秋の名月・月齢による満月は4日15時頃です。
明日の夜にはお天気も回復するとか、何とか楽しめたらいいですね。
今日は仕事で大雨の竹の塚へ、ここは一茶の「やせ蛙負けるな一茶ここにあり」
「蝉なくや六月村の炎天寺」で知られる縁の地。いつか吟行地としての候補です。
夕月や萩の上行くおとし水 一茶
( 稲架・はざ )
今日から10月、旧暦ならば神無月です。
豆稲架にとどかむばかり波の先 沢木欣一
しばらくは新稲架として雨はじく 能村登四郎
稲架の中離れ離れに遺跡あリ 深見けん二
島の稲架合掌に組み風に耐へ 高浜年尾