4月 20日

2011-04-20 00:10:26 | Weblog
             ( 十二単・じゅうにひとえ )


十二単小さき塔なす院の奥             松本澄江


濡場猫十二単を乱したる              阿波野青畝


日を浴びて十二単の草の丈             岡本まち子


北欧の森めき十二単かな              高田風人子





西洋十二単 (園芸品種)


きらんそう(地獄の釜の蓋)

皆、シソ科きらんそう属なので花の形が似ています



 伊吹嶺4月号 遠峰集より 

初日待つ薄墨の富士まなかひに
初日さす富士湧水の底ひまで
若菜野へ富士の湧水あふれけり
なづな野へ踏む三寸の霜柱
白妙の富士を湯船に御慶かな             都合ナルミ



コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

4月 19日

2011-04-19 00:00:36 | Weblog
             ( 桜草・プリムラ )



咲き満ちて庭盛り上る桜草              山口青邨


桜草の野に東京の遥かかな              富安風生


夜の部屋に日向の色の桜草              片山由美子


プリムラや眩暈のごとく昼が来て           岡本眸


プリムラや給水塔は風の中              石田波郷






 伊吹嶺4月号 遠峰集より 

蔵壁に影あはあはと団子花
七日はや染屋に届く絞り布
呉服屋が色広げをり冬座敷
寒晴や梅の端枝のまくれなゐ
きざはしに松の影濃き追儺寺
やはらかな雪降る建国記念の日          下里美恵子




コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

4月 18日

2011-04-18 00:13:35 | Weblog
              ( 郁子の花・むべ )



郁子咲けり鹿の子の雲の往き来見て           吉田鴻司


異人館郁子の花垣高くして               山田節子


女の瞳ひらきみつむる郁子の花             岸田稚魚


蔓伸びて空をまさぐる郁子の花             小寺玉枝





(群れ雀)


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

4月 17日

2011-04-17 01:02:56 | Weblog
             ( 海棠 )



海棠や蚕部屋の匂ふ伊那の里            皆川盤水


海棠や道化ごころは神父にも            鷹羽狩行


海棠の花より花へ雨の鵯              阿波野青畝


海棠の明かりや寺の屋根までも           滝沢伊代次





(千本槍)



(三つ葉土栗)



(武蔵あぶみ)

** 近くの植物園では春の野草がいっせいに花をつけています

 伊吹嶺4月号 遠峰集より 

初の旅夫と五右衛門風呂のぞく
富士の空あまりに青し苺摘む
楪の実のたわわなり配流の地
春近し手術終へたる友の声
鵜の舟に男結びの松飾り
父の墓移して年も終わりけり         栗田せつ子






コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

4月 16日

2011-04-16 00:11:47 | Weblog
               ( 一人静 )


一人静咲きいで旅のこときまる           水原秋桜子


一人静ひるの鶏鳴かすれたり            鍵和田釉子


聖処女の一人静の姿かな              平井照敏


一人静殖えてしづかに咲き揃ふ           山田みづえ


花穂ひとつ一人静の名に白し             渡辺水巴





 伊吹嶺4月号 遠峰集より 


雪吊の空の青さや絵解寺
露座仏の肩の丸さや春の雪
犬吠ゆる腹に春泥つけしまま
大試験終へし人波日の淡き
春寒の朝新しき本開く         奥山ひろ子

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

4月 15日

2011-04-15 14:29:41 | Weblog
             ( 花蘇芳 )




形見には帯こそよけれ花蘇芳            神尾久美子


筆文字の艶に色増す花蘇芳             河野多希女


半生の狂ひしときの花蘇芳             山田みづえ






 伊吹嶺4月号 遠峰集より 

春日差す硝子張りなる仁王門   
祓はれて本堂に豆打ち合へり
餌付場にもみ合ふ鯉や春の水
投函の音かろやかに春立てり
御嶽のまばゆき空や木の芽晴          伊藤範子
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

4月 14日

2011-04-14 00:29:14 | Weblog
            ( 花梨 )


花梨の無限の白に入りてまどふ       加藤知世子



花梨咲く徘徊の母薄化粧            土谷 敏



雲紋を新たに花梨花満てり           不破幸夫



花梨の夜を濃くしたる弥勒かな         福島 勲






コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

4月 13日

2011-04-12 22:22:00 | Weblog
            ( 酒中花・椿 )

ここのところの体調不良で久々にブログを休みました
ここ数日午後から夕方にかけて熱があがります
いまは37度程度、やっとパソコンにも向う気になりました

写真は酒中花(しゅちゅうか)椿の種類ですが、最近俳句の友達から写真を送っていただきました



ひとつ咲く酒中花はわが恋椿        石田波郷


酒中花も百の椿もしぐれけり        福永耕二





雪中花(水仙)



良寛の終の庵の雪中花           文挾夫佐恵





断腸花(秋海堂)


断腸花妻の死ははや遠きこと            石原八束


植物図鑑では出てこない花の別称です 
文字や言葉に溺れることなく使われれば良い響きです


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

4月 10日

2011-04-10 01:09:07 | Weblog
             ( 著莪の花・しゃが )


花著莪にぽとりと来たる雀かな            岸本尚毅


落ち合ひて二つ瀬ひびく著莪の雨           吉澤 卯一


著莪の花白きに湧きて雲絶えず            加藤楸邨


都にも隠れ道あり著莪の花              鷲谷七菜子


群生の著莪に明暗ありにけり             高橋よし





 伊吹嶺4月号 遠峰集より 


東京のメトロ乗り継ぐ初の旅
三島由紀夫
冬さぶや自決の部屋の刀疵
風に舞ふ落葉と地下へジャズライブ
音色冴ゆ止まり木で聴くジャムセッション
ジャズ聴いて寒月白く更けゆけり           矢野孝子



コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

4月 9日

2011-04-08 22:38:01 | Weblog
             ( 初蝶・蝶・蝶々・胡蝶・黄蝶・紋白蝶 ) 


小学帽目までかぶりて蝶つまむ          細見綾子



初蝶やわが三十の袖袂              石田波郷



仁和寺の僧の衣の黄蝶かな             有馬朗人



しじみ蝶ふたつ先ゆく子の霊か          能村登四郎



紋白蝶ほどの汚れの白靴に          福永耕二
 


 伊吹嶺4月号 遠峰集より 

釣人の釣果見せ合ふ御慶かな
塾の子の鉢巻で来る初詣
夜廻りの戻りて呷るコップ酒
落柿舎の厨に徳利冬うらら
大砲に薩摩の家紋冬椿            関根切子     
 
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする