4月 20日

2021-04-20 05:57:35 | Weblog
                       蜜柑の花・花蜜柑・レモンの花


     みかんの花浪のしぶきの墓数基        細見綾子


     陵(みささぎ)へ蜜柑の花の匂ひ立つ     中山敏彦


     吹き上ぐる風の匂へり花みかん        関野さゑ子


     ヴィオロンの止みて蜜柑の花匂ふ       澤田正子


     花蜜柑庭の片隅明るうす           三田誠子


     花みかん匂ふ峠や海の風           山下善久


     師と歩く蜜柑の花の匂ふ畔          大島知津


     吹き上ぐる瀬戸内の風花蜜柑         田端 龍


     雨兆す風に匂へり花みかん          熊澤和代



          

          レモンの花



     春泥にこぼれてかたし花レモン        保田白帆子


     海女戻るみちの蜜柑の夜も咲く        阿波野青畝


     野良着干す夜風の甘し花みかん        松尾千代子


     沖合に香を張り出せる花蜜柑         山口誓子


     夜はことに荒潮匂ふ花蜜柑          松山敏子


     一湾を日照雨駆け去る花蜜柑         増田 富子


     庭畑もいざよふ月の花蜜柑          水原秋櫻子




          

          夏ミカンの花

          
          三密を忘れなく 密閉、密集、密接を避けましょう
        そして手洗い、うがい、マスクの着用で自分と大切な人を守りましょう
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4月 19日

2021-04-19 05:42:41 | Weblog
                      馬酔木の花・花馬酔木・あせび・あせみ・あせぼ


          馬酔木は有毒植物の一種で牛馬が食べると痺れて酔ったようになるのでこの名前に
          なったということです。写真は自生のものでピンクの馬酔木は園芸品種です
          (ツツジ科・アセビ属)



     花馬酔木顔より昏るる念怒仏           栗田やすし


     人遠し馬酔木の下のくぐり水           細見綾子


     舞姫の歌碑に木洩れ日花馬酔木          上田博子


     大寺の畳廊下や花馬酔木             高橋ミツエ


     山門をくぐる馬酔木の花にふれ          笹邊基子


     継ぐ人の絶えし旅籠や花馬酔木          小澤明子


     花あせび蓑虫庵の縁先に             小田和子


     花あしび池ささ濁る直也の居           井沢陽子



          



     来しかたや馬酔木咲く野の日のひかり       水原秋櫻子


     中尊寺道白珠の馬酔木咲く            秋元不死男


     月よりもくらきともしび花馬酔木         山口青邨


     湖に帰る馬酔木群落を見てきて          金子兜太


     奈良の夜は女人の匂ひ花あしび          飴山 實


     花馬酔木供へ隠るる行者像            右城暮石


     掌にのせてすこしつめたき花あしび        西川保子




          

          三密を忘れなく 密閉、密集、密接を避けましょう
        そして手洗い、うがい、マスクの着用で自分と大切な人を守りましょう
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4月 18日

2021-04-18 06:19:07 | Weblog
                       芍薬・玉芍薬・糸葉芍薬 


     うら若き墨染衣玉芍薬              細見綾子


     芍薬を抱くほど剪りて妻戻る           丹羽康碩


     山からの風に芍薬首振れり            中村修一郎


     母の忌に八重芍薬の束を活く           小原米子


     芍薬の蕾ほぐれて虫出づる            中山 ユキ


     木の臼に芍薬活くる紙問屋            兼松 秀


     芍薬を活けて一日香の中             鈴木真理子


     芍薬や首重たげにしなやかに           武藤けい子


     芍薬が咲いたと母へひとりごと          松平恭代


     散り際の芍薬の芯萌黄色             平松公代



          

            糸葉芍薬

          

            玉芍薬



     芍薬や月山拝む山の邑              水原秋櫻子


     枕もと白芍薬の珠凝りて             山口青邨


     芍薬に逢瀬のごとき夜があり           森 澄雄


     一と雨が来さう芍薬剪ることに          横田直子


     芍薬のはなびらおつるもろさかな         久保田万太郎


     芍薬をぶつきらぼうに提げて来し         長谷川 櫂


     芍薬の芽が喪の妻を明るくす           瀧澤伊代次



          

          

          三密を忘れなく 密閉、密集、密接を避けましょう
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4月 17日

2021-04-17 06:41:48 | Weblog
                       野蒜・野蒜摘む・山蒜・沢蒜


          野蒜(のびる)はユリ科(植物分類体系ではネギ科)ネギ属の多年草で、日本全国で見られます地下に
          小さなラッキョウほどの鱗茎(球根)があり、食べられるので、酢味噌で頂くことが多いようです
          花期は5月~6月



     国分寺跡へのびるを摘みながら          細見綾子


     渡し守畦の野蒜を摘みくれし           栗田せつ子


     鈴鹿嶺の風くる土手に野蒜掘る          国枝洋子


     野蒜摘む匂ひ漂ふ陶干場             澤田正子


     草くぐり来し水音や野蒜摘む           中野一灯


     大獅子の台座の野蒜つみにけり          平 千花子


     野蒜生ふ長者屋敷の在りし跡           武藤光晴


     猪垣の一坪畑や野蒜萌ゆ             中村修一郎


     花野蒜ゆるる風あり谷戸の道           松本恵子


     晴れ渡る伊吹の裾や野蒜摘む           利行小波


     七面の氷場跡や野蒜摘む             石川紀子


     昼休み工夫野蒜を摘みゐたり           磯田なつえ



          



     野蒜噛む旧約悪しき予言満ち           有馬朗人


     ダムに落ちさうな野蒜の畑かな          刈谷 桂子


     一と鍬に野蒜の白き球無数            川島彷徨子


     白鷺の翔び交ふ下や野蒜摘む           石田あき子


     野蒜掘れば強きにほひや暮の春          松本たかし


     野蒜抜きをれば空より韓の歌           猿田咲子


     花つけて野蒜の先きのやゝたわむ         高橋淡路女



          

          野蒜の花


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4月 16日

2021-04-16 06:10:48 | Weblog
                       牡丹・ぼうたん・牡丹園


     牡丹に広げし母の手織縞             細見綾子


     地の冷えに牡丹花びらこぼさざる         沢木欣一


     白牡丹しべをあらはにして崩る          栗田やすし


     牡丹描く女片膝地に着けて            丹羽康碩


     ぼうたんへ吐息のごとき宵の風          矢野孝子


     墓訪はな母の牡丹の咲く頃に           都合ナルミ


     子が父になりたる朝の白牡丹           福田邦子


     崩れゆく牡丹の匂ひ闇深む            山たけし


     時を告ぐ法螺のひびきや牡丹寺          立川まさ子


     白牡丹揺れ戻るときうすみどり          梅田 葵


     観音に百の献上牡丹かな             小栁津民子


     ぼうたんの終りの一花あでやかに         松本恵子



          


          



     掃人の尻で散たる牡丹かな             小林一茶 


     ちる時は風もさはらず白牡丹            政岡子規


     来てみれば獅子に牡丹のすまひかな         松尾芭蕉


     金粉をみなぎらせたり黒牡丹            下村梅子


     掃き寄せしものうつくしき牡丹園          伊藤トキノ


     あるかなし会釈の別れ夕牡丹            谷口桂子


     ぼうたんに触れて子供のはにかみぬ         夏井いつき



          

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4月 15日

2021-04-15 06:08:03 | Weblog
                      藤の花・藤棚・白藤・山藤・藤房 


     天心にゆらぎのぼりて藤の花           沢木欣一


     藤はさかり或る遠さより近よらず         細見綾子


     北上のゆるき流れや藤の花            栗田やすし


     山藤の蔓のおどろに立ちすくむ          梅田 葵


     母のせて藤棚へ押す車椅子            松島のり子


     藤浪の甘き香りや転た寝す            松永敏江


     山藤や白雲一つ浮きし空             武藤光晴


     御岳の風に色濃し藤の花             長江克江


     ゴンドラのいま山藤を過ぎにけり         山本玲子


     相寄りて絡むことなし藤の花           武藤けい子


     山藤へ開く丹塗りの飛騨障子           篠田法子


     藤の寺曼荼羅餅に黄な粉つけ           長谷川郁代



          


          



     針もてばねむたきまぶた藤の雨          杉田久女


     藤を描く背後の山は描ききれず          津田清子


     園児等の一人に藤の房とゞく           星野立子


     窓遠き逗子や炭屋に藤垂れて           飯田龍太


     地に低く水にもひくく藤の房           鷹羽狩行


     修験道ゆるめて山の藤咲けり           百合山羽公


     尼僧きて藤のむらさきくもりけり         秋元不死男




          

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4月 14日

2021-04-14 06:40:31 | Weblog
                     躑躅・玄海躑躅・五葉躑躅・三つ葉躑躅


          ツツジ科ツツジ属の常緑または落葉低木の通称で
          日本でツツジは農耕開始の象徴と言われています
          そしてこの躑躅という漢字、躑躅=テキチョク=足踏みをすること=一説につつじの余りの美しさに
          道行く人が足を止めることから躑躅をあてたと言われています



     黒揚羽来てよりつつじ朱勝ちなり        細見綾子


     口結ぶボイラー守りに緋のつつじ        沢木欣一


     師の生家真実白き庭つつじ           栗田やすし


     廃業の味噌蔵暗し白つつじ           清水弓月


     戸口までつつじ明りや技芸天          倉田信子


     幽霊図見し目にやさし白つつじ         栗田せつ子


     緋躑躅の芯の甘さよ母遠し           武藤光晴


     一病に退学せし子白つつじ           荒川英之


     つつじ燃ゆ役行者の修験の地          平松公代


     雨の粒残りし朝の白つつじ           中山ユキ


     文人の小さいき机や夕つつじ          長崎眞由美


     白つつじ廃寺に残る石仏            ころころ



          



     塔見えて躑躅燃えたつ山路かな         阿波野青畝


     二の丸をいま攻めのぼる火の躑躅        伊藤 孝一


     山躑躅そこを明るく道ありぬ          稲畑汀子


     躑躅咲く奥もつつじや仁田峠          増田 富子


     昼深く東司の窓の白躑躅            瀧  春一


     躑躅もえけふ火色なき登り窯          能村登四郎


     松伐りし山のひろさや躑躅咲く         飯田蛇笏



          



          



          

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4月 13日

2021-04-13 05:47:29 | Weblog
                  若布・めかり・若布刈舟(めかりぶね)・若芽干す・若布売り


     みちのくの旅の夫より若布着く          細見綾子


     軽々と届けられたり干若布            栗田やすし


     伊勢伊良湖見ゆる岬や若布干す          下里美恵子


     大釜に泡噴き上げて若布煮る           国枝隆生


     若布刈舟戻る三尋の竿寝かせ           都合ナルミ


     湯引きして青鮮やかや新わかめ          中山敏彦


     復興の三陸若布家苞に              佐藤とみお


     筵ごと巻きて運べり干若布            中斎ゆうこ


     潮風にもつれてゐたり干若布           国枝洋子


     遠佐渡や梯子寝かせて若布干す          板谷芳子


     黒帯のやうに吹かれて干若布           福田邦子


     若布選る浜にとびかふ島言葉           川島和子




          



     刈り上げしひかりを載せて若布舟         奈良文夫


     横たえて舟より長き和布刈竿           中村孝一


     喪の家も不倫の家も若布干す           坪内稔典


     ちんぽこの子もかぐはしき若布干し        角川春樹


     おうおうと浪へ鎌揚げ若布刈衆          熊谷愛子


     九十九里若布の浦もありにけり          小杉余子


     春愁の色とも若布みどりなす           能村登四郎



          

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4月 12日

2021-04-12 05:54:48 | Weblog
                      竹の秋・竹の秋風・竹秋


          モウソウチクやマダケにとっての春から初夏は、竹の子を育てるのに栄養をとられる、
           いわば「実りの季節」です
          竹の子が大きくなった後なので、まるで子どもを育てた親の竹が疲れて枯れていくようにも
          見えることから『竹の秋』と呼ばれています



     竹の秋手押ポンプのかすれ水           細見綾子


     竹秋や女人くぐりし低き門            栗田やすし


     御手洗を囲ふ舟板竹の秋             鈴木みや子


     竹秋や耳元に振る嵯峨土鈴            都合ナルミ


     雨音にしづもる窯場竹の秋            伊藤範子


     竹の秋仏に供ふ千羽鶴              市川悠遊


     竹秋の水の青さよ大井川             上田博子


     一草庵背戸に広ごる竹の秋            豊田紀久子


     竹炭のにぶきひかりや竹の秋           柴田孝江


     立て膝のねねの座像や竹の秋           今井和子


     竹の秋雨にけぶれる奥嵯峨野           鈴木 文


     竹秋のすずめ饒舌羅漢寺             ころころ



          



     釣宿の主の顔も竹の秋               飯田龍太


     竹秋の髪より炎えて老いにけり           岡本 眸


     業平の名をもちかなし竹の秋            山口青邨


     翁眉竹秋の風わたりくる              桂 信子


     うぐひすを放つやしばし竹の秋           三好達治


     西行を訪ふ竹秋のこれの径             鷲谷七菜子


     人影の池中を歩む竹の秋              原 コウ子



          

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4月 11日

2021-04-11 06:02:01 | Weblog
                      著莪の花・花著莪・姫著莪


     名園に扇子を使ふ著莪の花             細見綾子


     擦れ違ふ禰宜と会釈や著莪の道           丹羽康碩


     著莪咲くや川音響く塩の道             岸本典子


     著莪の花藪に捨てたる鼠取り            清水弓月


     絵付場の玻璃うつ雨や著莪の花           伊藤範子


     浄智寺の磴の湿りや著莪の花            武藤光晴


     芭蕉碑や雨に色増す著莪の花            森垣一成


     白虎隊自刃の跡や著莪の花             上田博子


     花著莪に沈む小ぶりの羅漢佛            巽 恵津子


     花著莪や古墳に著き獣道              熊澤和代


     滝壺へ降りて明るし著莪の花            大島知津


     山寺のくづれし土塀著莪の花            水野時子



          



     著莪の花旅の日焼のいさぎよし           福永耕二


     童仏十万睦ぶ著莪の花               能村登四郎


     あたらしき柄杓が置かれ著莪の花          川崎展宏


     伊勢講の女一人や著莪の雨             加藤耕子


     都にも隠れみちあり著莪の花            鷲谷七菜子


     昼ひとり鍵して病めり著莪の花           岡田 和子


     姫著莪の花に墨する朝かな             杉田久女




          

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