10月 11日

2021-10-11 05:44:56 | Weblog
                       銀杏・銀杏の実・ぎんなん


     銀杏落つ仏足石の指の窪            栗田やすし


     豆腐料理焼き銀杏の入れありし         細見綾子


     銀杏や熟読したるレシピ本           河原地英武


     銀杏を拾ふ銀行街に住み            伊藤範子


     銀杏の色づく風や弁士塚            栗田せつ子


     銀杏の実傘撓ませて弾みけり          武藤光晴


     升売りの銀杏こぼる朝の市           松平恭代


     深夜バー焼銀杏に舌こがす           武長脩行


     青シート広げ銀杏打ち落す           櫻井勝子


     小袋に銀杏売れり山の寺            中村修一郎


     銀杏落つ箒目しるき遊女寺           神尾朴水


     銀杏の踏まれてありぬ宮普請          辻江けい


     教室に銀杏匂へり父母の会           長岡安子



          



     宮守のぎんなん莚乾しひろぐ          石塚友二


     ぎんなん落つ学生がゆき教授ゆき        山口青邨


     ぎんなんをむいてひすいをたなごころ      森 澄雄


     軋みあふ新ぎんなんの象牙玉          百合山羽公


     ぎんなんを焼きてもてなすまだぬくし      星野立子


     ナース来て銀杏拾ふ夜勤明け          下山宏子


     お寺はしづかなぎんなん拾ふ          種田山頭火



          

           ご自分と大切なご家族を守るために三密を忘れなく
        密閉、密集、密接を避けましょう手洗い、うがい、マスクの着用 を日常に
        もう少しの我慢です
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10月 10日

2021-10-10 06:30:15 | Weblog
                       柿・熟柿・渋柿・ころ柿・豆柿・富有柿


     柿の朱を点じたる空こはれずに         細見綾子


     柿熟す馬籠の空に昼の月            栗田やすし


     柿実る幹黒き辺にまた逢はめ          沢木欣一


     掌に茶碗のごとく熟柿受く           河原地英武


     色づくは渋柿ばかり揖斐の里          中山敏彦


     山柿に日ざし移れり都府楼址          倉田信子


     柿熟るる千年坐りゐる仏            栗田せつ子


     家苞に夕日まみれのあんぽ柿          武藤光晴


     老いばかり残るふるさと柿熟す         玉井美智子


     掌に受けて夕日の色の柿撫づる         桜井節子


     夕日中柿明りして散居村            溝口洋子


     柿たわわ山慮へつづく石畳           磯田なつえ




          

          

            豆 柿



     柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺          正岡子規


     渋柿に遊びごころの鵙来をり          福永耕二


     八珍と言ふ名を賞でし佐渡の柿         中山純子


     柿の種うしろに吐いて闇深し          秋元不死男


     ふるさとの四方の畑の出荷柿          阿波野青畝


     盗まれて尼寺の柿減りゆけり          津田清子


     もぎ竿の届かぬ柿が甘さうな          月形幸子



          

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10月 9日

2021-10-09 06:05:29 | Weblog
                         運動会


     金網を皆まぶしがる運動会           細見綾子


     病む母の運動会を見て飽かず          栗田やすし


     泣きながらバトン渡す子運動会         松本恵子


     運動会チンドン屋来て賑はひぬ         猪狩和代 


     アンカーの校長転ぶ運動会           斉藤陽子


     ゴール過ぎまだ走る子や運動会         岩田啓子


     運動会果てし校庭夕日満つ           村田和佳美


     泣きながら走る園児や運動会          久保麻季



          



     運動会少女の腿の百聖し            秋元不死男


     他人の如く運動会の妻踊る           富田直治


     運動会午後へ白線引き直す           西村和子 


     島の家大方留守や運動会            河野美奇


     人妻をむんずと借りて運動会          太田寛郎


     大漁旗ふりて岬の運動会            小田実希次


     運動会甲賀も伊賀も花火鳴る          百合山羽公



          

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10月 8日

2021-10-08 06:34:52 | Weblog
                       甘藷・干藷・藷堀り・薩摩藷・唐藷


     能登線の砂美しき甘藷畑            細見綾子


     辺戸岬甘藷蔓たぐりゐし女           沢木欣一


     大いなる藷供へあり源氏の間          栗田せつ子


     藷太る父祖開墾の山畑             佐藤とみお


     陶房の隅山積みの薩摩藷            山本悦子


     藷掘るや大地に長き影を曳き          渡辺慢房


     さつまいも供へて開く浮御堂          牧野一古


     藷掘りの教師備中担ぎきし           長谷川郁代


     歓声をあげて子ら掘るさつま藷         河合義和


     念入りに藷の凹みの泥落とす          藤田岳人


     鯛アミで囲へあり甘藷畑            長江克江


     遺跡掘るやうに甘藷の畝崩す          久野和子



          



     甘藷を掘る一家の端にわれも掘る        西東三鬼


     山頂に女藷食ふかなしけれ           石田あき子


     甘藷掘に神父手を貸す島畑           松原直庵


     藷掘られ土と無縁のごと乾く          津田清子


     ひと雨を待つ藷掘りし後の土          能村登四郎


     あかあかと藷ゆたけしや茎漬も         石田波郷


     好みとて老を敬ふふかし藷           水原秋櫻子



          

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10月 7日

2021-10-07 05:46:46 | Weblog
                       秋の風・秋風・素風・金風


     でで虫が桑で吹かるる秋の風          細見綾子


     秋風や石あればみな風化仏           栗田やすし


     秋風をきくみほとけのくすりゆび        沢木欣一


     秋風やスーツの背に深き皺           河原地英武


     風羅念仏聴く草庵に秋の風           市原美幸


     秋風や弁士塚まで寄席囃子           福田邦子


     打ち減りし魚板の穴へ秋の風          加藤ノブ子


     秋風や減反の島牛放つ             平松公代


     秋風と通りぬけたり雷門            倉田信子


     金風を身にまとひゐる足湯かな         牧田 章


     秋風や牧渡りゆく弥撒の鐘           青山美佐子


     引かれゆく負け牛秋の風まとひ         長江克江



          

          
          


     石山の石より白し秋の風            松尾芭蕉


     最上川秋風簗に吹きつどふ           水原秋桜子


     大き荷の男結びに秋の風            宇多喜代子


     秋風の越後へ隣る一茶の地           角川源義


     秋風にひんまがりける神の滝          岸田稚魚


     秋風の遊ぶのれんとなりにけり         桂 信子


     わが恋や秋風渡る中に在り           鈴木真砂女




          
          

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10月 6日

2021-10-06 04:58:14 | Weblog
                       菊・菊日和・菊の宿・菊作り・菊の香



     菜畑に黄菊一うね上越線            細見綾子


     菊の香や加賀の鶴来の板庇           栗田やすし


     漱石と話したきこと菊日和           河原地英武


     文字のなき吉次の墓や小菊咲く         森 靖子


     浜菊や瀬戸の渦潮激ち合ふ           河本好恵


     空き腹にデンキブランや今日の菊        笹邉基子


     迷ひ入る京の小路や菊日和           益田しげる


     門灯のやうに置かれし黄菊かな         武藤けい子


     磯菊や藍深みたる伊豆の海           山本法子


     道問ふて溢るるほどの菊貰ふ          市江律子


     曲屋に大き餌桶や菊の花            長谷川つゆ子


     菊の鉢並ぶ馬籠の深庇             山本悦子



          

            磯 菊


          

            浜 菊


          

            泡黄金菊



     つくばひをうつ鶺鴒や菊日和          水原秋櫻子


     あまたなる菊の一つに日が当る         林 翔


     われも加ふ波郷仰臥の胸の菊          福永耕二


     廃れたる海苔粗朶裏の菊作り          能村登四郎


     百々御所を曲りて路地の菊日和         古賀まり子


     こころもち懸崖菊の鉢廻す           橋本美代子


     かき合はす襟美しき風の菊           阿部みどり女



          

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10月 5日

2021-10-05 05:32:43 | Weblog
                       秋思・秋あはれ・傷秋・秋さびし

          「秋思」の意味は秋に感じるものさびしい思いのこと。これはなかなか厄介な季語に思います
           もの寂しいという感覚は人によって違います、ですから独りよがりになりやすくもなります



     海はみどりと聞きて秋思のさだまりぬ      細見綾子


     秋思かなぎつくり腰の背を屈め         栗田やすし


     ヴィーナスの腕無き腕の秋思かな        矢野孝子


     口ずさむ寮歌秋思の盃重ね           中野一灯


     腕解かぬゴリラの真顔秋思ふ          佐藤とみお


     旅の文届き秋思の深みたる           清水弓月


     青すぎる千曲の川面秋思濃し          武藤光晴


     足細き空也立像秋思かな            鈴木みすず


     安売りの犬と目の合ふ秋思かな         久野和子


     曲がりたるくくり女の指秋思濃し        石川紀子


     篝火に浮かぶ小面秋思濃し           野島秀子


     ほほ杖す鉄拐仙人秋思濃し           ころころ



          



     釦はづし又はめ秋思行ききせり         能村登四郎


     秋思あり触れて素焼の鉢の肌          鈴木真砂女


     当番の巫女に秋思を頒たれて          鷹羽狩行


     山鴉鳴けば秋思の神楽面            大島民郎


     塩を置くこんな秋思の入口に          櫂 未知子


     ぽろぽろと外す秋思の耳飾           杉野郁世


     健康診断受けて秋思の始まれり         下山宏子




          

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10月 4日

2021-10-04 06:34:12 | Weblog
                       草の花・草花・草花売


     能衣装干す八千草の花の上           細見綾子


     ショベルカー草の花ごと山崩す         河原地英武


     木曽馬の秣にまじる草の花           清水弓月


     この道はふるさとに似て草の花         国枝洋子


     風呂敷に包む喪服や草の花           武田稜子


     碧住みし根岸の路地や草の花          栗田せつ子


     殉教の碑へあふれさす草の花          谷口千賀子


     草の花屈めば水の音かすか           久野和子


     豆腐屋の喇叭古刹へ草の花           磯田なつえ


     戦あと見知らぬ草の花ばかり          森 靖子


     ゴム長干す島の洗ひ場草の花          小田二三枝


     廃坑に途切れし鉄路草の花           ころころ



          

          



     草の花摘みて手向けむ塚もなく         富安風生


     ありがとうを言いすぎるよ母よ草の花      芹沢愛子


     教会に子供の声や草の花            大石悦子


     草の花入江の見ゆる陶の家           飴山 實


     働きて汚れし手足草の花            後藤比奈夫


     児が抱く小さきヴィオロン草の花        林 翔


     日かげにも咲きつらなりて草の花        深見けん二




            

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10月 3日

2021-10-03 06:11:33 | Weblog
                        紫式部・実紫・白式部


     実むらさき雨をはじきて艶めけり        江口たけし


     ひとり来し禅寺の庭白式部           辻 桂子


     みむらさき長寿坂てふ細き道          武藤光晴


     札所寺錆色きざす式部の実           垣内玲子


     父の忌が明けて色づく実むらさき        小島千鶴


     実紫一茶の句碑の裾隠す            奥山ひろ子


     味噌蔵の甘き香りや実むらさき         河合義和


     母のつく杖にこぼれし実むらさき        安積敦子


     実むらさき今も人住む武家屋敷         高平タミ


     地に触れて色を深めし実紫           松本恵子


     祇王祇女共に眠れり実むらさき         牧野一古


     札所寺錆色きざす式部の実           垣内玲子



          

          白式部


     渡されし紫式部淋しき実            星野立子


     露はしる紫式部白式部             和田祥子


     雨後いまだ雲のたゆたふ実むらさき       能村登四郎


     倖あれと友が掌に置く実むらさき        石田あき子


     雨粒の磨かれてゐる白式部           山口啓介


     実むらさき心のおしゃれ説く尼僧        大野栄子


     小式部に深山しぐれや濡れぬほど        鷲谷七菜子



          

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10月 2日

2021-10-02 04:49:25 | Weblog
                       稲架・はさ・稲城・はさ木・田母木・稲棒


     稲架襖裾の越後の子守唄            細見綾子


     棒列ね屋根より高き稲架襖           栗田やすし


     稲架襖抜けて小原の芝居見に          都合ナルミ


     どこからも海見ゆる隠岐稲架組めり       国枝隆生


     没日中谷戸の掛稲黄金さす           武藤光晴


     木曽谷や田毎に伸ぶる稲架の影         坪野洋子


     稲架干しの赤米濡らす小雨かな         谷口千賀子


     稲架一枚掛け終へて峡暮れにけり        中根多子


     み仏の多き湖東や稲架襖            小長哲郎


     帳場まで掛稲匂ふ越の宿            横森今日子


     青空や棚田一枚づつの稲架           小原米子


     鉤の手に登呂田巡らす稲架襖          中村修一郎



          



     姨捨や田毎の稲架に後の月           林 翔


     群稲棒一揆のごとく雨に佇つ          角川源義


     五六歩を蝶のまつはる稲架日和         下村ひろし


     稲架を組む男のおけさ夕日を呼び        福田甲子雄


     棒稲架の影つきささる開墾田          植田 桂子


     荒縄の結び目揃ふ山の稲架           篠田悦子


     しばらくは新稲架として雨はじく        能村登四郎



          

          ご自分と大切なご家族を守るために三密を忘れなく
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