10月 21日

2021-10-21 05:37:16 | Weblog
                       石蕗の花・つはぶき<季=冬>


     石蕗の花炊煙いつもぬかるみへ         沢木欣一


     石蕗の花の大株昔のまま            細見綾子


     石蕗咲いて母亡き庭を明るくす         栗田やすし


     石蕗咲いてぬくき日差しの二三日        下里美恵子


     石蕗日和窯小屋で聴くジャムセッション     矢野孝子


     徳川の蔵書の匂ひ石蕗の花           栗田せつ子


     将棋さす老いの溜まり場石蕗日和        上杉美保子


     潮目濃き岬日和や石蕗の花           坪野洋子


     石蕗の花薬缶転がる窯場跡           横森今日子


     風音の絶えぬ禅林石蕗の花           三井あきを


     石少し濡らして晴るる石蕗の雨         中山ユキ


     嫁ぐ子にたつる朝湯や石蕗の花         花村登美子



          



     石蕗咲くや裏口に入る母のみち         小檜山繁子


     石蕗の花言葉短くあたたかく          林 徹


     仏心のそこらに咲いて石蕗の花         森 澄雄


     つはぶきはだんまりの花嫌ひな花        三橋鷹女


     蝶の黄を淡しと思ふ石蕗の花          五十嵐播水


     けふの晴れ狭庭はすでに石蕗のもの       及川 貞


     石蕗の花膝を掴みて跼みけり          岡本 眸



          

          ご自分と大切なご家族を守るために三密を忘れなく
        密閉、密集、密接を避けましょう手洗い、うがい、マスクの着用 を日常に
        もう少しの我慢です



     
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10月 20日

2021-10-20 05:43:07 | Weblog
                       秋時雨・秋しぐれ


          本来ならばこの秋時雨は晩秋11月の初旬頃の冷たい雨、そして時雨
          ですから降り続くと言うよりは降っては直ぐ止むような季語ですが
          昨日の東京はまさにこの時雨でした う~寒い



     御像の鉄より黒し秋時雨            沢木欣一


     秋時雨昨日に似たる昼過ぎに          細見綾子


     秋時雨師の句碑となる石濡らす         栗田やすし


     秋しぐれ如来の首といふ巌           近藤文子


     剪定の音とぎれたり秋時雨           黒田昌子


     秋しぐれからゆきさんの発ちし浦        倉田信子


     大津絵の泥の赤溶く秋しぐれ          若山智子


     モンローの小さき手形や秋時雨         奥山比呂美


     秋しぐれ席譲り合ふ峠茶屋           花田紀美子


     竹島へ渡る桟橋秋しぐれ            渡辺協子


     廃業の貼り紙濡らす秋しぐれ          前田史江


     秋しぐれ兵の名多き無縁墓           山下 護



          



     
     小安峡秋の時雨を誘ひこむ           佐藤鬼房
     

     怒濤よりほかに音なし秋時雨          中村汀女


     秋時雨女ばかりの客入り来           鈴木真砂女


     一人旅窓に灯火と秋時雨            落合冬至


     秋時雨返さぬままの男傘            谷口桂子


     勤めより夜の勤めへ秋時雨           林 翔


     秋しぐれ檜の香ごもりの町みじか        鷲谷七菜子



          

          ご自分と大切なご家族を守るために三密を忘れなく
        密閉、密集、密接を避けましょう手洗い、うがい、マスクの着用 を日常に
        もう少しの我慢です
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10月 19日

2021-10-19 06:01:02 | Weblog
                       柿干す・吊し柿・柿すだれ


     雪来るを待つとしもなく柿干して        細見綾子


     柿干すや軒の蜂巣に蜂居らず          栗田やすし


     餘部の高き波音柿を干す            河原地英武


     やはらかき光差しけり吊し柿          梅田 葵


     駐在の軒に粉をふく吊し柿           横森今日子


     不揃ひに吊る民宿の柿すだれ          篠田法子


     高遠の町のはづれやつるし柿          橋本紀子


     百目柿あるだけ吊し甲州路           大谷みどり


     柿吊す軒に山の日溢れけり           平松公代


     峡の村二階も下も柿すだれ           岡野敦子


     波静か伊根の舟屋に吊し柿           白鳥光枝


     白壁に影の伸びたる吊し柿           下山幸重




          



     縁側は母の仕事場吊し柿            高橋悦男


     曲り家に闇の匂の吊し柿            橋本榮治 


     干柿の母より届き吊し見る           野畑節子


     干し柿や家廻りくる郵便夫           加藤憲曠


     柿干してなほ木に余る伊賀の国         森 澄雄


     藁くづのついて干したて吊し柿         星野立子


     干柿や京に近くて上天気            大峯あきら



          

          ご自分と大切なご家族を守るために三密を忘れなく
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10月 18日

2021-10-18 05:37:36 | Weblog
                      そぞろ寒・すずろ寒・そぞろに寒し

          「そぞろ」は「何となく」「わけもなく」の意味があり、体で感じる寒さというより、
           心に季節が移ろっていくさまをいいます ですからはっきり気温が何度だからと言う
          ことでは無いようです



     梁強きお助け小屋やそぞろ寒         栗田やすし


     地下鉄で紅ひく少女すずろ寒         上杉和雄


     予科練の血文字の遺書やそぞろ寒       国枝洋子


     顎つたふ嗽の水もそぞろ寒          梅田 葵


     本堂に火消しのバケツそぞろ寒        中山敏彦


     寺田屋の急階段やそぞろ寒          武田稜子


     そぞろ寒刺股吊す関所跡           山下善久


     内子座の奈落をめぐるそぞろ寒        坂本操子


     ざら紙の兵のノートやそぞろ寒        熊澤和代


     首塚に太き走り根そぞろ寒          市原美幸


     墨薄る紙の踏絵やそぞろ寒          林 尉江


     そぞろ寒ことりと手紙落つる音        清水弓月



          



     そぞろ寒千手に目ある観世音         三橋敏雄


     そぞろ寒一人で作りひとりで食べ       山崎房子


     そぞろ寒読めぬカルテを覗き見る       三枝邦光


     繕ひつつ使ふ身一つそぞろ寒         岡本 眸


     そぞろ寒懺悔の椅子の油いろ         木村公子


     なりはひの選句染筆そぞろ寒         鷹羽狩行


     そぞろ寒鉛筆の尖ほそくほそく        林 翔



          

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10月 17日

2021-10-17 06:44:41 | Weblog
                       菊人形


     飾られて菊人形の冷たき手           栗田やすし


     木曽殿の首抱へ来し老菊師           石原筑波


     藁舐めて菊師つくろふ姫の衿          河村惠光


     菊人形鯱も小菊をまとひけり          河井久子


     宗春の菊人形に蜂潜む             幸村富江


     手を触れて菊人形に語りかく          牧田 章


     雑兵は白ばかり着る菊人形           田畑 龍


     菊を結ふ藺草くはへて人形師          不破志づゑ


     侍女とても姫と同じに菊衣           篠田法子


     信長の肩へ背伸びの老菊師           牧田節子


     濃姫の胸に白刺す老菊師            兼松 秀


     人形の兜被りて菊師来る            伊藤旅遊



          



     菊人形莟ばかりの青ごろも           能村登四郎


     向き合ひて遠まなざしの菊人形         西村和子


     菊人形逢瀬を照らし出されたる         大串 章 


     お染久松菊人形の眼の合はず          白石朝子


     陰謀の場を煌々と菊人形            鷹羽狩行


     蛇口あり菊人形の傍らに            奥坂まや


     菊人形携帯電話を持つていた          金子兜太



          

          ご自分と大切なご家族を守るために三密を忘れなく
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10月 16日

2021-10-16 06:14:54 | Weblog
                        草の穂・草の穂絮・草の


     草の穂を抜きて下れり卯辰山          細見綾子


     草の穂に実が入り一日海濁る          沢木欣一


     穂芒や宿場果つれば道ほそる          栗田やすし


     菊坂や質屋の屋根の草は穂に          矢野孝子


     近道を抜けて草の穂まみれかな         谷口千賀子


     草の絮鉄砲狭間に吸はれけり          竹中和子


     娼館の床吹き溜る草の絮            武田稜子


     ひかりつつ草の絮とぶ飛鳥川          福田邦子


     草の絮とばす駿馬が尾を振つて         森 靖子


     草の絮頬赤らめて児が飛ばす          鈴木華子


     草の絮とぶ南吉の墓の道            幸村志保美


     灯台の高さへ飛べり草の絮           ころころ



          

          



     還らざる旅は人にも草の絮           福永耕二


     朗々と河馬のあくびや草の絮          大木あまり


     伏せて乾すボート飛び越ゆ草の絮        中村汀女


     聖水に名もなき草の絮浮ぶ           鈴木貞雄


     人を訪はで日照雨の穂草ぬき帰る        石田波郷


     草の絮ただよふ昼の寝台車           横山白虹


     草の絮飛んで未来を創るかな          林 翔



          

          ご自分と大切なご家族を守るために三密を忘れなく
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10月 15日

2021-10-15 06:54:38 | Weblog
                       通草・あけび・通草の実


     顔埋めて大き通草の実を舐むる         栗田やすし


     通草の実雨に色づく行者径           岸本典子


     蔓つきの通草売りをり道の駅          丹羽一橋


     宿坊のとろりと甘き通草味噌          栗田せつ子


     水ひびく丸子の里の熟れ通草          矢野愛乃


     通草の実数へて通る下校の子          森垣一成


     リフト小屋笊に通草の爆ぜゐたり        山下智子


     ころころと笑ふ山の子あけび熟る        桜井節子


     木洩れ日を浴びて通草の口開く         熊谷タマ


     朝市女笊に蔓ごと通草売る           横森今日子


     通草採る川に体を乗り出して          山崎文江


     曳き売りの野菜の隅にあけびの実        尾関佳子




          



     あけびの実取り残さるる滝の上         高橋悦男


     夕空の一角かつと通草熟れ           飯田龍太 


     熊除の鈴のかがやく通草山           福田甲子雄


     通草もぐふと晴天のでき心           今瀬剛一


     いつ取ろか取ろかと通草の下通る        白岩 三郎


     通草貰ひて楽しと思ひ憂しと思ふ        石田波郷


     手の届くそこに通草があつたのに        櫂 未知子




          

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10月 14日

2021-10-14 05:24:09 | Weblog
                         烏瓜・からすうり


     異人館跡てふ高さ烏瓜               細見綾子


     色抜けていはほをつかむからすうり         沢木欣一


     たぐり寄す鵜糞まみれの烏瓜            下里美恵子


     猿除けの網に色付く烏瓜              矢野愛乃


     うどん屋の衝立に吊る烏瓜             田畑 龍


     烏瓜枯れ切つてをり揺れてをり           森 靖子


     からす瓜引けば陶土のうすぼこり          井沢陽子


     三輪山の夕日したたる烏瓜             高橋ミツエ


     枯れ際の色を濃くせりからす瓜           利行小波


     竹藪に絡みて熟るる烏瓜              中山ユキ


     廃校の裏山ともす烏瓜               桜井節子


     山の辺の道にぬた場やからすうり          金原峰子






          



     晴れきつてどこへも行けぬ烏瓜           今瀬剛一


     聞かれたる旅の寝言の烏瓜             加藤秋邨


     子を生さで空から手繰る烏瓜            鍵和田釉子


     食卓にあり食べられぬ烏瓜             山口誓子


     烏瓜地蔵に似たる石ばかり             山田みづえ


     殉教の碑に垂れさがり烏瓜             有馬朗人 


     別るるや野分がゆする烏瓜             野澤節子




          

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10月 13日

2021-10-13 05:41:40 | Weblog
                       唐辛子・なんばん・蕃椒・鷹の爪・天井守


     蔵の軒竿一本に鷹の爪             森田とみ


     合掌家軒に吊るせし唐辛子           鳥居純子


     鷹の爪干す三成の敗走路            上村龍子


     軒下に暮れ残りたる唐辛子           渡辺慢房


     風に鳴る窯場の軒の唐辛子           八尋樹炎


     鷹の爪吊す軒端に憩ひけり           牧 啓子


     唐辛子束ねて吊りし杣の軒           高平タミ


     蔵窓に吊す小束の唐辛子            山本法子


     吊されて緋色濃くせり唐辛子          小原米子



          



     今日も干す昨日の色の唐辛子          林 翔


     唐辛子熟れきり更年期を怖る          菖蒲あや


     唐辛子沢山干して恐ろしき           遠藤梧逸


     すゝけたる軒端やなすび蕃椒          寺田寅彦


     つれなさの切なさの青唐辛子          三橋鷹女


     束ねられ小人犇めく唐辛子           丸田余志子


     薮蔭や蔦もからまぬ唐辛子           萩原朔太郎



          

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10月 12日

2021-10-12 05:50:27 | Weblog
                       榠樝の実・かりん・花梨・唐梨・きぼけ


     くわりんの実教材につき盗るべからず       沢木欣一


     くわりんの実傷ある方を貰ひたり         細見綾子


     榠樝の実海を隔てし子に送る           栗田やすし


     榠樝の実傷深くして空青む            下里美恵子


     手びねりの茶碗いびつやくわりんの実       長崎眞由美


     朝靄にくわりんの落ちし音響く          山下喜久


     理科室の窓辺に熟るるくわりんの実        本多俊枝


     歪みなきものは鬼つ子榠樝の実          伊藤旅遊     


     裏山に日の当たりをり榠樝の実          高橋 毅    


     くわりんの実捥ぎし指先ほの甘し         澤田正子        


     たわわなる榠樝の下に無縁仏           山本光江     



          



     黄のかりん仏頂面をころがしぬ          野村光子


     三つ四つは数へてさびしくわりんの実       森 澄雄


     花梨の実高きにあれば高き風           池上樵人


     一笑の塚に音立てくわりん落つ          茂里正治


     かりんの実どれも歪めば安心す          鍵和田釉子


     青かりん大きな滝に供へけり           岸本尚毅


     成り余りたりし香椎のくわりんかな        阿波野青畝



          

           ご自分と大切なご家族を守るために三密を忘れなく
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