あしたはきっといい日

楽しかったこと、気になったことをつれづれに書いていきます。

紡ぐ・・・

2006-11-07 22:59:45 | つれづれ
昨日、大崎善生さんの「タペストリーホワイト」を読んだ。
70年代の学生運動を舞台に、何かを失った人が、そこからゆっくりと立ち上がり、歩き始めていくさまを描いている。
失うことを描く凄烈さと、そこから再生していく過程は、「孤独か、それに等しいもの」に近いと感じた。そこを描かずに、主人公の受けた苦しみやそこから這い出すことの辛さを表現すれば、その言葉は空回りするだけになってしまうのだろう。

そして、なぜタペストリーなんだろうと思っていたが、読み終えてから「パイロットフィッシュ」の「人は、一度巡り合った人と二度と別れることはできない…」という言葉を思い出した。

たとえその先に別れがあるとしても、それでも人を愛することを止めてはいけない。「人はみな一人ではない」という言葉を良く聞くが、たとえ今孤独であっても、一人ではないんだ。読んでいて苦しさを感じるけれど、歩き出す主人公と同じように、僕らはそこから一歩前に進めるような気がした。

ところで、昨日乗換駅で天井に何かが光るのが気になった。
風船が行き場をなくしていた。
ついついその風船に自分を重ねていた…

でも今日はその風船の存在にも、天井にも目が行かなかった。
多分、救いの手を差し伸べる誰かがいたのだろう… うん、そう思おう。
コメント (2)
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