キリンとサントリーの経営統合が破談となったというニュースを聞いて、なぜかホッとした。両社が一つになることへの違和感はどうしても拭えず、それは結局それぞれのトップや社員もも同じだったのかもしれない。
同族会社は好きではなかった。理由は、独裁国家と重ねてみていたからだ。確かにそんな会社もあるが、自分が入った企業も同族会社だったし、今ではそれほどではないが、多少の抵抗はまだある。
サントリーについて言えば、お酒をはじめ飲料全般を扱っているというだけでなく、お酒の楽しみを中心に広く文化的な活動を積極的に行っている。さて、こんなことは上場企業では許されるだろうか。「株主への利益還元」というのは当然のように聞こえるが、利益の源泉はお客様であり、それをお客様をはじめ広く社会に還元するというのが、最終消費財を扱う企業の姿勢として正しいのではないかと思う。そういう意味で「やってみなはれ」という言葉は力になるし、その言葉の裏付けとしての同族経営なら、むしろ消費者としては歓迎したい。
今回の破談の原因を僕なりに考えると、「数字に踊った」ということだろうか。長い目で見ればうまく行くだろうが、そこまでの過程で両社が失うものはかなりあったのはないかと想像する。国際競争力は必要なのだろうが、特にサントリーには、今まで培ってきた「文化創造力」が活きる姿を求めて欲しい。まあ、それは僕が言うまでもないが。
朝からお酒の話をするのは何だが、昨夜書き始めて眠ってしまったので…と、言い訳は野暮だと下を向く。今度の土曜日は、AVANTIにでも行ってみようか…と、赤提灯に安堵する僕には敷居が高いかな。