踊る小児科医のblog

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「陽性率と検査数の傾向を見る」それだけで感染再拡大とピーク超えは簡単にわかる

2020年08月22日 | 新型コロナ
判断する材料が少なかった3月以来、一番重視してきたのはこの2つの数字で、現在の判断もこれだけで大体わかります。

<東京の陽性率と検査人数>

4/11 31.1% 323.4人(7日間平均)
5/7 4.3% 390.1人(実数1131人)
5/22 0.8% 974.9人


8/6 7.1% 4735.7人
8/19 5.4% 4040.0人

①5月の連休明けから月末にかけて、検査件数が急増した後にゆるやかに減少し、陽性率は激減した。
②5月末から8月上旬まで、検査数も陽性率も増加し続けた。
③8/6をピークに陽性率は減少に転じ、検査数も再び緩やかに減少傾向に入った。

「①流行収束→②再拡大→③ピーク超え」と簡単に見て取れます。(無論、今後の傾向を予測することまでは出来ませんが)

②の段階で、6月頃に何度かFBに警鐘を鳴らしましたが、都知事は「検査数を増やしているから」という非論理的な言い訳をし続けて、全国への感染拡大(拡散)に繋がったわけです。

昨日(8/20)の日本感染症学会における、分科会の尾身会長による「全国的にはだいたいピークに達したというのが私たちの読みだ」という発言に噛み付いている人達が、やはりいるようです。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200820/k10012576501000.html

本日の分科会の記者会見でも、何度も同じような質問が。。(記者の理解力が不足しているのでは? 尾身先生も押谷先生も辛抱強く繰り返し同じことを説明しているけど、途中で見るのをやめました)

一群の人達の中には、尾身先生や押谷先生のことを「戦犯」などと名指しで非難する輩がいるようですが、まず、どのような立場からの発言であれ、そのような用語を用いる人達は信ずるに値しないし、歴史的にも評価の対象外となるでしょう。

その上で、私たち医療関係者の間での評価は全く逆であり、両先生への信頼は新型コロナ流行前と変わらず、何ら揺らいでいません。
それが現実です。
おそらく感染症学会でも、より本質的な議論がなされたものと考えます。(詳細は承知していませんが)


新型コロナ:東京は8/5、全国では8/9がピーク(政府の無策に関わらず)。施設クラスター、重症、死亡例の減少はまだまだその先

2020年08月17日 | 新型コロナ
以下は、公表されているデータをグラフ化(6枚)して読み解いただけで、評価の不確かな「定数」など、特殊な操作は何もしていません。また、今後の推移について明確に予測するものではありません。(ただし、もしこれらの「傾向」では説明できないデータが出て来たとしたら、それにはそれ相応の原因があるはずだと思います。)

また、極端な楽観論「緊急事態宣言・自粛は必要なかった(吉村知事)」や、極端な悲観論「来月(=8月)には目も当てられなくなる、1億総検査が必要(児玉参考人)」などの非現実的な議論には一切関わりなく、今後も関わるつもりはありません。

「東京都 5日連続で200人超(NHK)」「終息する気配を見せないコロナ禍(週刊東洋経済)」などと報じられていますが、



東京では8/6以来、「前週同曜日比」でマイナス基調が続いており、唯一プラスだった8/9の1週間後である8/16もマイナスになったことで、7日間前週比マイナスが続いています。



この「前週との増減値」をグラフ化すると、「その7日間平均」がマイナスになるのは8/10からとなります。
増加数のピークは7/31の+203人で、その7日間平均のピークは8/5の88.1人でした。(それ以前に、7/15をピークにして7/30の7日平均4.0日まで減少して来た経緯がありました。)



新規感染者数の実数でのピークは8/1の472人と考えられますが、この値や日付は参考程度としておきます。
7日間平均でのピークは8/5の346.3人だったと読み取れます。



片対数グラフの緑の点線は、8/11頃に千人に達する、「目も当てられなくなる」指数関数的増加曲線(片対数グラフでは直線)ですが、1億総検査教信者の「自称専門家」の方々は、予想は外れて減少に転じたけど、1億総検査は必要と主張し続けるのでしょうか。



全国のデータ(8/16付はNHK速報値)でも、実数のピークは8/7の1595人、7日平均のピークは8/9の1372.0人と読み取れます。
8/16には7日平均で1040.7人まで減少してきています。



同様に、7日前からの増減値と、その7日間平均をグラフ化すると、増加数のピークは東京と同じ7/31の+808人、7日間平均は8/2の503.7人がピークで、8/8から増減数の実数がマイナスとなり、8/11には7日間平均もマイナスとなっています。

以上をまとめると、それぞれのピークは、
東京
 実数 8/1 7日平均 8/5
 増加 7/31 7日平均 8/5
全国
 実数 8/7 7日平均 8/9
 増加 7/31 7日平均 8/2
7日前からの増減値の7日間平均がマイナスになったのは、
 東京 8/10
 全国 8/11
ちなみに、東洋経済オンラインの速報値で、基本再生産数が1を切ったのも、
 東京 8/10
 全国 8/11
であり、一致しています。