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超少子化と最短命県の中で進む原発復権と核燃サイクル(2023年2月)

2023年02月01日 | こども・小児科
 少子化の加速が止まらない。22年の出生数は77万人と推測されており、19年に90万人を切ってから3年で10万人も減少した。母親世代は今後も減り続け、未婚率は上昇し、合計特殊出生率も再び減少に転じているのだから、岸田政権の「異次元の少子化対策・予算倍増」も遅きに失したと言わざるを得ない。

 少子化対策の安定財源の議論が先送りにされた中で、ウクライナ戦争とエネルギー危機に乗じて防衛費倍増と増税、原発復権への大転換が国民的議論を経ずに決められた。

 更には、現今の食品価格の高騰のみならず、食料自給率の低い日本では、各国で食料ナショナリズムによる囲い込みが進めば、子どもが飢餓に直面する可能性も高くなってくる。

 『未来の年表』シリーズ著者の河合雅司氏によると、少子化が進めば送配電網を維持する技術者の不足が深刻になり、大規模停電から復旧できなくなる事態も想定されている。橋や水道などの社会インフラの維持も難しくなり、国民負担も増していくはずだ。

 原子力業界では次世代原子炉の開発決定に沸き立っているのだろうが、新たな原発の開発費だけでなく建設費用は膨大なものとなる。民間で採算がとれるはずもなく、電気代も下がらない。将来世代の負担は増すばかりだ。何よりも、核のゴミの問題は解決しないどころか、原発が延命すればするほど増大する。

 もし北海道で最終処分場を引き受けたとしても、全量再処理は第二再処理工場が出来なければ不可能であり、絵に描いた餅に過ぎない。いま直接処分への転換を議論し始めなければ、何十年も無駄に費やすことになる。

 福島の廃炉作業も早晩「どこまでやるか、どこで諦めるか」という議論になるはずだが、その時には責任世代は誰も残っていない。通常の原発の廃炉であれ被曝を伴う作業で、再処理施設の廃止は技術的に困難を伴う。それらは全て、超少子化の中で生まれてくる赤ちゃんが解決することになっている。そんな国で子どもを産んで育てたいと誰が思うだろう。

(青森県保険医新聞2023年2月1日号掲載)


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