踊る小児科医のblog

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「核兵器・原発・核燃料サイクルの歴史」年表 青森県との関わりが一目でわかる

2017年06月09日 | 東日本大震災・原発事故
Facebookで一度公表した「核兵器・原発・核燃料サイクルの歴史」年表を一部修正し、いくつかの項目を追加してみました。画像はスクリーンショットで画質が良くないので、PDFをダウンロードしてご覧下さい。
→PDF



個人的なメモとして作成したものですが、主な目的は、1ページの中に、核兵器、原発と重大事故、核燃サイクル、青森県の原子力施設、日本と世界の原子力政策が概観できるように収めることです。
なので、一部詰め込みになって、違う年のものが押し込まれているところもあります。
これ以上の情報を入れると見にくくなるので、ここまでで作業終了とします。

 ★が重大事故、被曝
 ◎は青森県関連
 *は日米原子力協定関連

あらためて眺めてみると、スリーマイル、チェルノブイリ以降の原子力産業が停滞して行き詰まっていく時期に、青森県が原発・核燃施設の誘致・建設にのめり込み、2011年の福島原発事故へと流れ込んで行った経緯が一目瞭然であることに加えて、この国の戦後史は核(原子力)の歴史であり、今後もあり続けるであろうということも痛感させられます。


「確約」は最終処分場にしないという確約
「覚書」は再処理が行われない時には「施設外に」搬出するという三者間の覚書
(この点については別に記事にしたいと思います)

福島県の甲状腺がん:3巡目で4名、全体で6名増加:3巡目は2巡目より低くなる可能性(2017.6.5)

2017年06月07日 | 東日本大震災・原発事故
第27回「県民健康調査」検討委員会及び第7回「甲状腺検査評価部会」の資料について(平成29年6月5日開催)
http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/21045b/kenkocyosa-kentoiinkai-b7-kaisai.html

今回、初めて3巡目でも甲状腺がん患者が検出されたことで、それに対する2巡目の評価が相対的に定まってくるものと考えられ、注目していく必要があります。
(2巡目、3巡目の患者さんの原因が何かという、現時点では=個々の患者さんについては永遠に=特定できない問題については、ここでは論じていません)

単純に数だけを列記してみます(2017.2発表との比較)
1巡目(先行調査)2011-2013
 確定101+疑い14=115名(2016.6と同じ)
2巡目(本格調査)2014-2015
 確定49(+5)+疑い22(-3)=71名(+2)
3巡目(本格調査)2016-2017
 確定2(+2)+疑い2(+2)=4名(+4)
累積
 確定152(+7)+疑い38(-1)=190名(+6)

この「累積数」は、それぞれの時点での推定発症率の差を計ることができないため、特別の意味を持たないことは何度も書きました。一番下にそのグラフも入れておきます。

推定発症率の推移



これまで、1巡目と2巡目の間隔を全体の平均より長めの「2.5年」として保守的に計算してきましたが、3巡目との比較でもう少し正確に考えるために、先行検査(1巡目)の受診者数の割合で平均化して、「2.07年」を用いることにしました。(グラフでは2.1と表記)

その結果として、2巡目の発症率の高さが際立つことになりました。(それは織り込み済み)

焦点は、今回の4例(確定2例+疑い2例)から、今後増えて行くであろう3巡目の発症率がどの程度になるか。
もちろん、現時点では何とも言えませんが、2巡目の高さまでは達しないのではないかと思われます。

もしそうだとしたら、
1巡目が全てスクリーニング効果による数字だったとしても、
2巡目で「何らかの要因」により推定発症率が高くなり、
3巡目では1巡目に近い数字に収まっていく、
というモデルが想定できるかもしれません。

無論、これはあくまで一つの仮説です。
もし今後そのモデルに近づいていったとしたら、「何らかの要因」が、さほど長期に渡る影響を及ぼすほど強くはないが、短期間・限定的に影響を及ぼしたという仮説を考えておかなければならない。

もし、それを超えて2巡目に近い推定発症率に達するとしたら、「何らかの要因」が、より長期にわたる強い影響を及ぼしたという仮説の妥当性が高くなる。

「何らかの要因」が福島原発事故による放射性物質の大量放出になのかどうかは、個々の患者さんはもちろん、この全県横断・縦断的な調査でも疫学的に明らかにすることはできそうにない。

もし定量的な比較をするのであれば、他県で同様の調査を行い、甲状腺がんの検出率に差がないことを証明しなくてはいけませんが、そのような“再調査”が実施される可能性は、ほぼゼロに近い。

累積数



前述の通り、累積数で増えた増えたと騒ぐのはほとんど意味がありません。
それは、ここに書いたような「推定発症率」を考慮していないからです。

「アダムズ方式を衆議院中選挙区に適用/参院は全県2人ずつ」という案を検証してみる

2017年06月03日 | 政治・行政
主要な興味のあるテーマではないのですが、小選挙区の格差是正で青森県が1議席減ったことについて、記事になったり国会でも質問(…升田議員/ちょっと恥ずかしい)があったりしたようなので、4月に試算した結果を掲載してみます。

(私自身は、衆議院<下院>で格差2倍以内というのは、地方に認められた最大限の権利であり、この段階で文句をいう人<小林市長や升田議員>は民主主義の基本を理解していないものとみなします。そもそも青森県に4人も議員は必要ありません。)

提案は
・衆議院小選挙区の各県への割り振りを計算する「アダムズ方式」を、小選挙区ではなく中選挙区の定数としてしまう。
・2〜4人を基本とし、5人以上の都道府県は数区に分ける。[5人(2+3)、6人(3+3)、7人(3+4)、8人(4+4)、9人(3+3+3)、10人(3+3+4)、以下同様]
・参議院は人口に関わらず各都道府県で2人(3年ごとに1人ずつ)、合計94人とする。

エクセルに入れて計算してみました。
有権者数は2016年秋の数字。
現在の定数(6減で289)に合うように、アダムズ方式の一定数を「400,500」に設定。
(これはエクセル上で微調整して得られた大凡の数字ですが、議席数の配分はこれ以外にならないはず。正式な一定数の決め方は知りません。)


表は小さくて見えないと思うので、拡大できるPDFファイルも掲載しておきます。誰も見ないとは思いますが。。
→PDF

太字の議席数がその結果で、
その右の「新定数」との差を見ると、

■減少→宮城、新潟、滋賀、岡山、広島、山口、愛媛、長崎、沖縄[−1]
 合計[−9]

■増加→埼玉[+1]、千葉[+1]、東京[+4]、神奈川[+2]、愛知[+1]
 合計[+9]

現在の格差是正の際に、本来なら「9増15減」でなくてはいけないのに、影響が出る選挙区数を減らすために「0増6減」にしたという経緯がありました。
その差の「9増9減」が上記の都県に相当するのだと思います。

現在の「新定数」で、議席数当たりの人口が最も少ない鳥取県を基準にして比較すると、

■現在(新定数):最大1.86倍(東京都)
■この提案   :最大1.66倍(岡山県)

青森県は両者とも1.57倍で、全国平均の1.53倍とほぼ同じ。

この格差は、都道府県ごとの比較ですから、現在の「選挙区間の比較」における数字とは別になりますが、格差を許容範囲の2倍以内の中で少なめの数字に収めることが可能で、合理的だと感じます。

これを、全県1区か、多いところ(5人以上)では数区に分ける。最多の東京は29なので、3×3+4×5の8区に分けることになる。

この段階で、都道府県内の選挙区の格差をできるだけ減らすように区割りすれば、上記の都道府県間の比較と大差ない数字に収まるはず。

2〜4人の中選挙区とすると、現在の勢力分布を元に推測すると、
自民+民進(または自民+自民)で2議席
残りを自民、民進、共産、公明、地域によっては維新などが争う構図になり、得票率に近い議席数になることが期待されます。

参議院の方を地域代表性にして、衆参両院の役割をはっきりと分ける。
この点について、憲法改正が必要なのか、現憲法の下でも可能なのかは、知りません。

長々と書きましたが、問題は、小選挙区制から中選挙区制に戻す可能性が、現制度で当選して成立している政権下では殆どゼロに近いこと。
(なので、このような試算と思索はほとんど無意味)

だから元に戻せない制度は作ってはいけないと言ったんだよ。。(一応、そうは思っていたし、当時は現在のようなネット社会ではなかったけど、発言はしていたはず。)

何度も同じことを繰り返しますが、細川、河野、土井、小沢という今から考えると信じがたいほどリベラルな連中が、現在の惨憺たる状況を作り出した。あの深夜の談合で。

神は細部に宿る。新聞はベタ記事に真実が宿る「第2再処理工場」「直接処分の研究」

2017年06月02日 | 東日本大震災・原発事故
1)2017.5.27「サイクル堅持など国に要望へ 立地4市町村長」全量再処理方針の堅持と第2再処理工場新設▽産業構造転換の支援…


2)2017.6.1「核のゴミ地層処分 3月末までに研究計画 経産省」使用済み核燃料を再処理せずに埋める直接処分の研究も同時並行で進めることも確認した


1)について

①全量再処理堅持というお題目を唱えつつ、「第2再処理工場」という滅多に出て来ない死語を出さざるを得なかった。これは、全量再処理が第2再処理工場の存在なくてはあり得ない架空の話であり、むつ市の中間貯蔵施設に宝の山である「核のゴミ」を招き入れるためには、第2再処理工場の計画が存在するというフィクションを現実のものだと言わなくてはならない苦境を示すもの。

②それが非現実的であることを4市町村の首長自身がとうの昔に理解しており、だからこそ「産業構造転換のための財政的支援」をと言わざるを得ない。
 無論、この要望の主な目的はここにある。しかし、その前に4市町村の首長は、①はあり得ないのだから「産業構造の転換」が必要だとそれぞれの自治体で住民や職員に訴えて、その対策を考え抜いて来たのだろうか。その形跡は6年間で皆無であると言わざるを得ない。

2)について
 2018年から5年間の研究計画だそうな。随分悠長な話だと感じるが、さりげなく、かつ意識的に記された「直接処分の研究も確認」という文言は、全量再処理が不可能であることを経産省も担当記者も当然のこととして認めており、実質的にはあり得ない話だと断定しているに等しい。

(2012年の時点では直接処分の研究は行うことになっていたはずなので、新たに加わったわけではないと思いますが、安倍政権になってからこの言葉が表に出てくることはほとんどなくなっていた)