踊る小児科医のblog

青森県八戸市 くば小児科クリニック 感染症 予防接種 禁煙 核燃・原発

八甲田ウォーク2007

2007年01月31日 | SPORTS
雪の回廊を歩く「八甲田ウォーク」が今年も開催されるようで、すでに申込みも始まっています。
第17回 八甲田ウォーク 平成19年3月29日(木)・30日(金)・31日(土)

私自身は2年前に初めて参加したのですが、昨年も今年も平日なので断念。(…内心ホッとしている?)
2年前の参加記録はブログに書き散らかしてありますが、スタートの谷地温泉もゴールの酸ヶ湯も快晴だったのに、傘松峠では吹雪にあって難儀しました。(あれくらいは吹雪とは言わないのかも)
8キロという距離や峠越えの高低差も何てことはないのですが、参加する場合には天候の変化に備えておいた方がいいでしょうね。
難点は上記ブログにも書きましたが、酸ヶ湯にゴールしてから帰りのバス時間までが長く、往復の時間も含めて8キロのウォークのために時間がかかりすぎること。
でもまあ、除雪したばかりで車の通らない真っ白な雪の回廊を歩く機会は貴重で、一度体験しておいて損のないウォークと言えるでしょう。

セーフコミュニティ(子どもの事故予防)

2007年01月30日 | こども・小児科
十和田セーフコミュニティ取得へ(2007年1月29日東奥日報)とのニュース。
セーフコミュニティって初めて聞く単語だなと思ったのですが、その内容は全て納得できて、すぐにでも取り組むべきことばかり。
子どもの事故予防というのは、同じことが繰り返されているわけですから、点(ポイント)でやっても全体の効果はほとんど目に見えてこないんですね。
できるだけシステマティックに、行政や医療だけでなく様々なネットワークを活用して取り組む。
十和田市と五所川原市が県の「子どもの外傷予防総合推進事業」モデル地区に指定されたなかでの話のようですが、別にWHOの認定がなくても、モデル事業の予算がなくても、通常の予算・業務内でできること、すべきことが大半じゃないかと感じるのですが。(全ての市町村で)

子どもの事故とけがの予防(RAB活彩あおもり)
青森県子どもの外傷予防総合推進事業
<県全体>
1.子どもの外傷予防推進会議の設置
2.子どもの外傷予防対策研修会
3.自転車ヘルメット着用推進
4.子どもの外傷モニタリング
<モデル地域> 十和田市と五所川原市
・地域推進会議の活動
・地域見守り隊
子どもの外傷予防総合推進事業(広報ごしょがわら)

セーフコミュニティ(京都府)
セーフコミュニティについては京都府がいち早く取り組んでいるようで、HPの情報も充実していて参考になります。

ご存じのように日本は新生児・乳児死亡率が世界一低いのですが、1歳以上の子どもの死因第1位である不慮の事故が先進国の中では多く、0~4歳の事故による死亡を最も低いスウェーデン並にすれば毎年800人もの子どもの命が救えると言われています。

いま、子どもを巡る問題はかつてとは様変わりし、子どもの事故予防、禁煙・防煙、子どもとメディアの問題、予防接種(麻疹撲滅や新ワクチン導入など)、子どもの心の問題、虐待予防などなど、小児科医の活動範囲は拡がる一方です。
これらはいずれも大学の講義ではあまり触れられなかったか、新しく出てきたものばかり。
ついでに言えば、いずれもお金にならないものばかり。。ですが全国の小児科医は元気でお人好しの人が多く、喜々としてこういった活動に励んでいるんですね。稀少人種ナリ。
(私はとてもじゃないけど元気が続かない…)

失言ではない、柳沢厚労相「機械」発言

2007年01月29日 | 政治・行政
この人がこんなこと言ったとしても、「さもありなん」、だれも驚きません。
柳沢厚労相「機械」発言、野党が一斉批判…辞任要求も
少なくとも私たちの業界では、この大臣のことを誰も信用してないし、期待してない。
財務省の手先として医療崩壊を加速させようとし、財界の利益を守るためにナントカというカタカナの「残業不払い」法案を積極的に推進しようとしているのだから。。

よくこういうのを「失言」と表現するけど、失言というのは思ってもないことを口にしてしまうことで、これは普段から思っている「本音」を言ったわけですから失言でも何でもない。※
(もちろん、政治家が本音を言ってはいけないという意味では「失言」と表現しても間違いではないのですが)
結局は、人間として信用できるかどうかという問題に尽きますね。※
東国原知事の勝利を、単に保守一本化に失敗したからととらえている元首相もいるようですが、いま起きていることを全然わかってないみたい。

※ここは、自分にも跳ね返ってくることですから、「どんなときにも発言には気をつけなくてはいけない」ではなく、どんな場面でも信用を無くすような発言をすることのない「自分の内面」が問われてくるわけです。しかし、一国の厚労相が女性を「子どもを産む機械」などと発言するとは、想像もできない世界ですね。

でも、驚きません。いまのこの国の、この美しい内閣なら。

原“まことちゃん”激走

2007年01月28日 | SPORTS
大阪国際女子マラソンで原裕美子が会心の勝利。
マラソン3戦2勝はスゴイ。(残りの一つも世界選手権で日本人最高の6位ですから)
2年前の名古屋以来、注目していたランナーでしたが、あの時には最後の苦しそうな表情にちょっとビックリ。(こりゃぁもう駄目なんじゃないかと思いましたが、何度も吐きそうになりながらも大島を振りきって初マラソン初優勝)
それ以来「まことちゃん」と名付けて秘かに応援していました。
普段の表情は子どもみたいで可愛らしいし、栃木なまりも好感。
そのギャップが(本人には失礼だが)ちょっと面白い。
今回は、苦しい表情も“中程度”で、ケガからの復活のようですが、練習の成果が出ましたね。
これで、大阪→大阪→北京第1号の可能性が高くなりました。

いつも同じことを書いているけど、もし福士がマラソンに転向したとしても、北京は無理っぽい。その次か。。
3位に入った初マラソンの加納由理までが代表圏内。
資生堂勢の層の厚さと快進撃は今年も健在。
リディア・シモンは流石の6位。
途中で一旦足が止まった渋井陽子は2:34:15で10位。渋井はもう勝てないのかな。。
30km、35kmまでの走り込みで「調子はまあまあ」とのことだったようですが、やはりマラソンは面白いし何が起こるかわからない、何が起きてもおかしくない。
(でもまぐれの勝利というのはないんですよね)

原裕美子が優勝、世界陸上代表に 大阪国際女子マラソン(公式サイト)

1/21~1/27:暖冬無雪でまだ走れている/週48km(RUN 27km)

2007年01月28日 | SPORTS
21日(日)RUN 10.5km 快晴で風も穏やか、絶好のジョギング日和。東運動公園を5周のつもりだったが、1周9分を切って調子よかったので、6周目を追加したところでへばる。しかし悪くない。こんな日が何日も続けばいいのだが。千葉マリンマラソンでミスにより距離が不足するという前代未聞のニュース。走ったランナーにはお気の毒。 
22日(月)エアロバイク500kcal(7.5km相当) 道路は雨が降った後のブラックアイスバーン状態なので、昨日撮ったグーグル革命のビデオを見ながらエアロバイク。夕食は手作りメンチカツ。
23日(火)RUN 3km+Walk 1km(3.5km相当) 講演会・新年会のハシゴ。往路だけ軽く走る。蕎麦と日本酒、寿司。食べ過ぎた。
24日(水)エアロバイク795kcal(12km相当) 昨日の分を消費するために長めに走ろうと思ったのだが、風が強そうで挫折。エアロバイク負荷19で70分。
25日(木)RUN 6km+Walk 2km(7km相当) 今日も会議で街まで4kmのうち3kmずつ軽く走る。やはり疲れる。
26日(金)RUN 7.5km 夕食後いつものコース。寒くもなく、調子もそれなり、タイムもそれなり。あと1周できたが、少し大腿に張りがあるのと、今月もう1回走るために残しておく。
27日(土)休み 急病診療所当番。寅さん最終回。浅丘ルリ子、後藤久美子。 /週48km(RUN 27km)

未納22億円と未収金142億円

2007年01月27日 | こども・小児科
話題になっている給食費の未納は、2005年度に児童生徒数の1%に当たる約10万人で22億円。
私たちの世代の常識からすると、全くもって考えられない世界です。
普通の親なら、月数千円くらい、自らの生活を切りつめてでも、子どもの給食費は優先して支払うのが当たり前。。
考えてみれば、子どもが(例えば)不登校などで自宅で昼食をとっているとしたら、給食のような食事がその値段で毎日用意できるでしょうか?
まず無理ですね。
それだけでも「未納」の非常識さがわかるというものですが、、主題はこの次の「未収金」。

全国の6割以上の病院が加入する四病院団体協議会(四病協)3272病院の94%が未収金を抱え、04年度までの3年間に把握できたのは約426億円。
単純に3で割れば年間142億円。もちろんこれは氷山の一角。
いったい全体、飲食業界であれ、衣料業界であれ、どんな業界であれ、毎年百億円以上踏み倒されて泣き寝入りしているなんてことがあり得るでしょうか。
(うちは10年間で4万円程度ですが、それでも普通ならあり得ない話)
ちなみに、大病院から中小の病院まで含めて、6割が赤字だそうです。
そして、自治体病院の多くには、私たちの税金が投入されています。

飲食店で千円でも食い逃げがあれば警察は犯人を捕まえてくれますが、病院で「食い逃げ」をしても決して警察に捕まることはありません。
それどころか、不幸な事故でもあれば、待ってましたとばかりに医者を逮捕する時代。
その後に残るのは、産科医がいなくなった空白地帯ばかり。

この事態に、やっと病院団体でも、
>未収金問題をめぐり、四病協は未払い患者が加入する医療保険の
>保険者に肩代わりを求め、応じない場合は訴訟に踏み切る方針を
>固めるとともに、国に対して解決策を求めていた。
とまともな世界に戻れるよう働きかけを始めたところですが、本来なら加入者が窓口の一部負担金を払わないのなら、保険者が支払って加入者から取り立てるのが法的にも筋が通っている話です。
医療契約は、あくまで医療機関と保険者の間で成り立っているものですから。
(保険者というのは健保組合とか政管健保とか市町村の国保などのこと)

ドクターヘリへの期待と不安

2007年01月27日 | こども・小児科
先日講演会が開催されたようですが、出席できなかったし、不勉強でこれまでの情報も状況も把握していませんでした。
とりあえず最近の報道とHEM-Netへのリンクをまとめておきます。

ざっと斜め読みしたところの理解では、青森県はフライトナース事業をすすめていて、岩手県では盛岡にドクターヘリを配備しようとしているのに、八戸・二戸・久慈の3市だけで独自にドクターヘリ(専用機)を配備して費用も負担しようということなのでしょうか。
何だか雲行きがおかしい。。大丈夫なのだろうか。。

ドクターヘリの必要性が地方・僻地ほど高いとしても、そういった地域ほど費用負担に耐えられない。
仙台や千葉レベルの大都市と八戸地域3市とでは財政力も全く違う。
例えばそれで助かる命と単純に天秤に乗っけて比べることはできませんが、産科や小児科医療崩壊の危機に対して、八戸市がどれだけ危機感を感じて緊急の対策をとろうとしているのか。ドクターヘリにそれだけのお金をかけて、産科・小児科の方はどうするつもりなのか。
ヘリの搬送費用が保険診療から出てくるとは到底思えません。甘い期待を抱かない方が良いのでは。

八戸・久慈・二戸連携懇が救急医療の講演会(2007/01/23)
八戸圏域にドクターヘリ配備模索(2007年1月7日)
八戸/検証・小林市政の1年(上)着手/水産改革へ大胆再生案(2006年11月18日)
八戸・久慈・二戸が観光で連携懇(2006年10月24日)
フライトナース事業で連絡会議(2006年10月24日)
弘前で「フライトナース」実習(2006年9月16日)
三圏域連携懇談会/広域行政展開する契機に(2006年8月5日)
防災・救急ヘリの充実を(2004年10月31日)

HEM-Net:救急ヘリ病院ネットワーク

感染症情報&診療予定(院内報より)

2007年01月26日 | こども・小児科
● 院内版感染症情報 ~2007年03週(1/15~1/21)

 11月から12月にかけて、前号で予測したように毎年この時期に流行るウイルス性胃腸炎が増加しましたが、年末年始で一段落となりました。例年、初冬はノロウイルス、これからの厳冬期にロタウイルスが流行るパターンで、ノロウイルスは軽症、ロタウイルスの方が乳幼児で重症化する場合がありますので注意が必要です(次項の記事をご覧下さい)。

 インフルエンザは県南での発生が報告され、八戸市内でも少しみられはじめたようです。1月下旬から2月にかけてが要注意でしょう。今年はワクチンの流通は確保されていますので、ギリギリになりますが接種は可能です。

 水痘と溶連菌感染症がこの時期は多めです。咳が多くなるタイプの風邪(RSウイルス感染症を含む)など、感染症の最も多い時期に入ります。

● 1月の診療日、急病診療所、各種教室、相談外来の予定

 1月は4日から診療開始で、その後は休診はありません。急病診療所当番は1月1日(祝) 夜、13日(土) 夜、27日(土) 夜の3回で、2月は6日(火) 夜、18日(日) 昼、27日(火) 夜の予定です。赤ちゃん教室は1月20日(土) で、その次は3月17日(土) になります。育児相談・子どもの心相談、禁煙外来は随時受け付けております。メール予約システムをご利用下さい。(ホームページのメニューから入るか、yoyaku@kuba.gr.jp 宛まで)

(院内報 2006年12月・2007年1月号より)

ウイルス性胃腸炎(ノロ&ロタ)(院内報より)

2007年01月26日 | こども・小児科
● ウイルス性胃腸炎(ノロ&ロタウイルス)の予防と対処

 この冬のノロウイルスの流行では「猛毒」「猛威」などという大げさな表現がマスコミをにぎわしましたが、毎年流行しているウイルスが、今年は報告数が例年の倍になったということだけで、特別新しいことが起きたわけではありません(ウイルスの変異や強毒化の可能性も報道されましたが明らかなものではないようです)。

 老人や子どもでは死亡することもある、などとマスコミに脅されたと思いますが、老人の死亡例の多くは寝たきりだったり嘔吐して肺炎を併発するなどして亡くなったものであり、基礎疾患のない子どもがノロウイルス感染だけで死んだなどという話は聞いたことがありません。

 一般に、初冬のノロウイルスは比較的軽症、厳冬期のロタウイルスは乳幼児で重症化することがあるので、むしろこれからの方が注意を要するのです。

 感染予防は、老人施設などは別として、一般の家庭や学校では「手洗い」につきるでしょう。また、近年ノロウイルスが乾燥した汚物から空気感染を起こすということがわかってきて、吐物をふき取ったあとの次亜塩素酸ナトリウムを使った消毒法などが報道されましたが、頻度的には手を介した感染が大多数のはずですから、普通の石けんと流水による手洗いが最大かつ簡便な予防法です。

 詳しく知りたい方は、「ノロウイルスに関するQ&A」をご覧下さい。
 http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html

 なお、ノロウイルスは感染性胃腸炎と食中毒という2つのパターンで感染します。生のカキだけが原因ではなく、大多数は人から人に感染したものです。

 感染時の看病のポイントは、吐いたときの対処です。嘔吐は最初の一晩がピークで、2日目から吐かないで下痢だけになってくれば、水分からお粥、ごはんと急速に戻していき、食べたがるだけとらせて構いません。

 吐いたときには、最低でも3時間はお腹を空にして、水分もとらせないこと。ここで飲ませて吐くことを繰り返すと、かえって体の水分が失われて脱水になり、点滴や入院が必要になる場合があります。嘔吐は何回か続きますが、吐くものがなくなれば一旦はおさまりますので、それまで待って、時間を空けてからごく少々の水分や経口補液剤、スープなどから再開していきます。小さい子はスプーン1杯、大きい子はお猪口1杯程度が目安です。

(院内報 2006年12月・2007年1月号より)

タミフルと新型インフルエンザ(院内報より)

2007年01月26日 | こども・小児科
● インフルエンザの治療薬「タミフル」副作用報道のまとめ

 昨年のインフルエンザ流行時に、タミフルを服用した年長児が錯乱状態になってベランダから飛び降りて死亡するなどの報告があり、これがタミフルの副作用として報道されました。実は、インフルエンザの合併症として錯乱が比較的多くみられることは知られているため、昨年の治療状況と合併症の有無についてあらためて調査したところ、タミフル投与と錯乱症状との因果関係は認められないという結果が出ました。

 納豆ダイエット騒ぎとは少し違いますが、ある事象B(錯乱や体重減少)とそれに先行するAという行為(薬や納豆)があった場合に、AがBの原因であるという結論にすぐには結び付かないはずのですが、マスコミも国民も安易な三段論法に陥りやすいことに注意が必要です。ただし、今後もタミフルの副作用や耐性化などには注意しながら使っていく必要があることに変わりはありません。

 もちろん、全員がタミフルを服用しなければいけないわけではなく、使わずにそのまま様子を見ることはできます。1歳未満の子には「慎重投与」となっています。漢方薬の「麻黄湯」はインフルエンザの発熱期間を短縮させることがわかっています。咳などの症状に対しては、それぞれ対症薬を用います。解熱剤は全体の経過には影響しないので、使いすぎに注意が必要です。

● 新型インフルエンザ対策と普通のインフルエンザ対策

 鳥インフルエンザがまた国内で発生しました。今のところ人から人へ感染する新型インフルエンザは世界中で検出されていませんが、流行するのは時間の問題であり、パンデミックに備えた対策指針も出されています。通常のインフルエンザでは多くて年に1万人程度の超過死亡が確認されていますが、パンデミックでは60万人以上に上るものと予測されています。

 対策の詳細はここには書けませんが、流行の段階に応じて、患者隔離や流行拡大を防ぐための周囲の人へのタミフル投与から始まり、流行が拡大すれば、学校や企業、交通機関、娯楽施設などの活動を制限または停止して、人の移動や接触を最小限にし、家庭には2週間程度の食料の備蓄を求めています。ワクチンは全国民には間に合わないので、接種の優先順位が決められます。

 一方、毎年のインフルエンザ流行では、ワクチンは毎年実施されていますが接種率は高くありません。学校は出席停止にはなるけれど、早めに登校させようとする家庭が多く、職場では熱があるのに出勤したという話を耳にするなど、インフルエンザ対策の基本が出来ていない状況にあります。そんな中で、新型インフルエンザの時だけ流行拡大を防ぐことが出来るとは思えません。どちらのインフルエンザも、考え方は同じなのです。

(院内報 2006年12月・2007年1月号より)

MRワクチン&AED(院内報より)

2007年01月26日 | こども・小児科
● 入学前に麻疹・風疹混合(MR)ワクチンを済ませましょう

 3月までに接種を済ませてから入学しましょう。全国的に㈼期(5~6歳)の接種率が低迷しているようです。

● AEDを設置しました

 12月から遅ればせながら当院にもAEDを設置して緊急の場合に対処できるようになりました。AEDとはAutomated External Defibrillator(自動体外式除細動器)の略で、最近学校や公共施設などへの配備が報道されることも多く、ご存じの方も多いかもしれません。使い方は非常に簡単で、音声のガイドに従っていけば初めて触った方でも使えるようになっています。

 実際には、心室細動という不整脈にしか効果はなく、中高年の突然の意識消失・心肺停止の状態ですぐに使えば命を救える可能性が高いのですが、小児科の外来でその種のアクシデントが子どもに突然起こる可能性は非常に小さく、私も20年間小児科医をやっていますが一度も経験はありません(その他の重病や事故などでの心肺蘇生は別として)。今後もAEDを使う機会がなければ良いのですが、付き添いの親御さんも含めて、万が一の場合にも対応できるように診察室に備え付けました。

 最近のトピックスとして、野球のボールが至近距離で胸に直撃して起こる心臓震盪にはAEDが有効です。また、昨年のうみねこマラソンでは突然死の事故がありましたが、今年はAEDを1km毎に配備して万全の体勢をとるとのこと。

(院内報 2006年12月・2007年1月号より)

この世界は生きるに値するのだということを伝えたい

2007年01月25日 | ART / CULTURE
本日出席した講演会より。
「子どもたちへのメッセージ」児童書作家 渋谷愛子氏

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
渋谷 愛子
1954年宮城県仙台市生まれ。宮城学院女子大学音楽科卒。青森県八戸市在住。90、91年「学研読み特賞」受賞。作品に『あきかんカンカラカンコン』 (第43回青少年読書感想文全国コンクール課題図書)、『わすれてもいいよ』(第34回日本児童文学者協会新人賞受賞)(いずれも学研)などがある

#要点を上手くお伝えすることが出来ないのですが、児童書では暗く破滅していく話ではなく、子どもたちに将来への希望を持たせ、この世界は生きるに値するのだということを伝えたい、という言葉が一番心に残っています。
その話に関連して、作家の高村薫氏が、時々小学生から読後感想の手紙をもらうことについて、自分の作品は子どもには読んで欲しくないとはっきり言っていたという話が印象的でした。
ブックスタートのことも紹介していただきましたが、八戸市では「財政的理由」により導入される見込みはなさそうです。(これは私もある市議会議員に話を伺ったときにそう説明されました)

以下はAmazonからの引用ですが、最近はAmazonは調べ物に使うだけで、実際にはe-honで注文して地元書店で買うようにしています。

『ドアのむこう』
渋谷 愛子 (著), きむら みほ ¥ 1,260 (税込)
単行本: 189ページ 出版社: 学習研究社 (2003/04)

内容(「BOOK」データベースより)
「いっちゃわるいけどさ、なんていうかさ…、今と、ちがってたかも。」わざわざいわれなくても、そんなことわかってる。小学校中学年から。
内容(「MARC」データベースより)
歌が大好きな真央は、ミュージカルの主役を引き受ける。でも、大好きなヴァイオリニストの叔母、綾音を見て、好きなことに挑戦することは、壁にぶつかり、傷つくことになると知り…。

『わすれてもいいよ』
渋谷 愛子 (著), 永井 泰子 ¥ 1,260 (税込)
単行本: 83ページ 出版社: 学習研究社 (2000/07)

内容(「BOOK」データベースより)
とつぜんおしめをつけた赤ちゃん、まもくんがぼくの家にやってきた。大声で泣くし、おしめだってとりかえなくちゃいけない。でも、とってもかわいくなってきた。そう思ったら、まもくんがひとられることになった。ぼくたちのこと、すぐわすれちゃうんだろうな。小学中級から。

『あきかんカンカラカンコン』
渋谷 愛子 (著), 山野辺 進 ¥ 1,260 (税込)
単行本: 127ページ 出版社: 学習研究社 (1996/09)

内容(「BOOK」データベースより)
長と名のつくものに、なったこともないし、なりたいと思ったこともない菅野健介が、なんと「ユニセフ募金のためのあきかん回収委員会」の委員長に選ばれた。ひとくちにあきかん回収といっても、気のとおくなるような作業に、健介はおちこんでしまう。小学校中学年から。
内容(「MARC」データベースより)
「あきかん回収委員会」の委員長になった健介は、あきかん回収の気のとおくなるような作業にとまどってしまう。「ボランティアってだれのため? なんのため?」健介といっしょに考えてみよう。

『コケッコにいたん―とさか頭にゃわけがある』
渋谷 愛子 (著), 山口 みねやす
価格: ¥ 1,260 (税込)
単行本: 159ページ 出版社: 学習研究社 (1999/05)

内容(「BOOK」データベースより)
進の家のアパートにひっこしてきた良さんの頭は、オレンジ色のばっちりきまったとさか頭。おじいちゃんは、その髪型を毛ぎらいして、なにかと良さんに文句をいう。クラスでいじめになやむ進は、良さんのつっぱり頭のわけを知って、良さんの味方になる。小学校中学年から。

「言葉の力」で戦った東国原(そのまんま東)知事

2007年01月24日 | 政治・行政
すでに多くの方がブログなどで触れられているので、ここではその紹介をするに留めておきます。
終盤の情勢報道をちらっと見て「これは来そうだな」と感じていたので驚きはありませんでしたが、他候補に大きく差を付けた圧勝ぶりには、県民の意志・選択の力強さと大きな流れを感じました。

東国原氏についての知識も、宮崎県の状況も全く知らなかったのですが、その後の報道やネット上の情報などでわかったことは、ただのタレント候補ではないこと、むしろ脱タレント候補に徹して政策中心の正統的な選挙戦に徹したこと、県民は彼の真摯な姿と言葉の持つ力を感じ取り、徐々に支持が拡がっていったこと、合同個人演説会でもマニフェストを中心にした主張をしたこと、などなど。
マニフェストを読もうと思ったのですがサイトのアクセスが多いためかページがめくれません(PDFにしてほしい)。

下記の「みどりの一期一会」に、東国原氏が『市民派議員になるための本』(これは勉強になるお勧めの本です=別に政治家志望じゃなくても)を読んで著者の寺町みどりさんに連絡をしてくるくだりが書かれていますが、決して付け焼き刃の勉強ではなかったということを物語っています。
「松村宏のNEWSな顔」の最後の方に、自民党の選対総局長が、そのまんま東氏のことを
「お笑いのような選挙をやったわけではない。他の候補者よりも宮崎県のことを考え、一番県民を引き付ける演説をした。自民党推薦候補の方が数段劣る。タレント候補ではない。ただ者ではないと思った」と語り、完敗を認めたことが引用されています。

もちろん問題は、皆さん指摘しているように「これから」ですね。
本当の市民派知事として、県民に顔を向けた県政を実現できるかどうか。
期待しながら見守りたいと思います。
昨晩のニュース番組のインタビューでは、流石に慎重な物言いに徹していたようですが。

ここまで書いたのは、、問題は青森県なのだ。
何でも自民党の言いなりの三村知事と、何が何だか訳のわからない青森民主党と連合。
またしても不毛な争いになりそうな予感。。こんなんで本当に良いんですか?

そのまんま東さん、宮崎県知事に!「当選はゴールではなくスタート~本番はこれからです」(みどりの一期一会)
そのまんま知事は機能するか~ポイントは役人のブリーフィングという名の洗脳からの脱出(和光市議 松本たけひろの「持続可能な改革」日記)
東国原さん、おめでとう(三上直樹、かく語りき)
既成政党に宮崎県知事選の衝撃(2007/01/23 松村宏のNEWSな顔)

そのまんま東オフィシャルサイト
そのまんま会(そのまんま東後援会) マニフェスト掲載

八甲田山の日

2007年01月23日 | NEWS / TOPICS
別のことで調べものをしていて、本日1月23日が「八甲田山の日」、八甲田雪中行軍が出発した日だということを知りました。

2007年1月23日は何の日 (記念日、行事、出来事、誕生日)
●電子メールの日 「1(いい)23(ふみ)」(いい文・E文)の語呂合せ
●八甲田山の日 1902(明治35)年、雪中行軍に出かけた兵士210名が遭難し199名が死亡
●真白き富士の嶺の日 1910(明治43)年、神奈川県の逗子開成中学の生徒12人が学校のボートで乗り出し、七里ヶ浜で遭難して全員が死亡した。この悲報に接した鎌倉女学校の教諭・三角錫子が「七里ヶ浜の哀歌」を作詞し、この歌は全国で愛唱された。

八甲田山の小説と映画は高校生の時にみた記憶がありますが、実際には史実と違う部分も多いようで、私もあまり知識はありません。

・八甲田山雪中行軍遭難悲話

しかし、今日もポカポカした陽気で、遭難当日に思いを馳せることができません。
夜越山(平内町)のスキー場がまだオープンできないというニュースがお昼に流れていました。
暖冬なのは雪かきが少なくて嬉しいような気もしますが、先日の「不都合な真実」に書いた温暖化の影響が出てきているのかもしれません。
それともこれから揺り戻しで寒くなるのでしょうか。
また異常気象による大きな被害が出なければいいのですが。。

そういえば先ほど地震がありました。八戸は震度1。

23日13時07分頃 震源地は岩手県内陸北部 ( 北緯39.8°、東経141.1°)
震源の深さは約100km 地震の規模(マグニチュード)は4.3と推定

納豆リテラシー

2007年01月22日 | NEWS / TOPICS
最初に騒ぎになったときにコメントしようと思ったのですが、元の番組も見ていないし、時間もないのでそのままになってました。(素直に信じて納豆を買いに走っている人たちを批判するような内容になるのは目に見えていたし…)
この問題を機に「メディア・リテラシー」の必要性を認識してもらえると良いのですが、これからも形をかえて繰り返されることがないかどうか。。

・視聴者の皆様へ(2007年1月20日関西テレビ放送)

今回の件で、捏造だとわかったからといって驚いたりするほどナイーブではないです。。
TV局がケシカランのは当然だし、メディアの自殺行為であることも事実なのですが、そんなことを今さら取り上げる気にもなれません。

むしろ驚いたのは、放送内容を読んでみると、もしこの実験が「本物」だったとしても、それで「納豆を食べればやせる」などという結論をどうしてそんなに多くの人が信じてしまったのかという点です。
(まあ、信じると言うよりも、納豆なら好きだし値段も手頃だから、試しにやってみるという程度の方が多かったのだとは思いますが…)
別に科学的思考とか統計の知識なんて必要ないです。
普通に自分で考えて判断すれば、これはマユツバ物だとわかるはず。。
DHEAとかなんとか、そういう部分はすっ飛ばして考えてもらえばいい。

まずもって、体重というのは、栄養障害をきたす病気でもない限り、摂取カロリーと消費カロリー(基礎代謝+活動・運動)の2つで決まってくるわけで。。
もし、運動も食事もそれまでと全く同じ生活をしていたとしたら、それに納豆2パックを上乗せしてやせられるわけがない。
例えば納豆2パック分を、いつも食べていたフライドポテトを減らすなどして、それまでと同じ摂取カロリーになるよう厳密に調整したとしても、それだけでたった2週間で3キロもやせるとは非常に考えにくい。

今回「納豆が基礎代謝を上げる」という仮説だったようですが、基礎代謝を上げる一番の方法は、運動をして筋肉をつけること。
運動すればその分の消費カロリーだけでなく基礎代謝も増えるので、食べても太らない体になれます。
基本的に、何もしないでやせられる方法なんて、無いんですよね。

本来、何かの効果をみるなら、比較対照試験(厳密には新薬のようにダブルブラインド=自分がどちらを服用しているかわからないようにする)でなければ何も言えないはずなのに、たかが8例の実験で、しかもコントロール群はおいていないようだし、その他の食事摂取量とか運動量とかをきちんと管理した形跡もない。。(詳細はみてないのでわかりませんが)

これで、もし本当に3キロ減ったのだとしたら、納豆よりもその他のファクターの影響が大きかったのではないかと考えるべきでしょうね。
例えば、TV番組の実験に参加したのだからということで、無意識か意識的かに関わらず食事の内容や量が変化したり、運動量が変わったりしたのではないか。。
納豆がそのファクターの一つである可能性があるとしても、言えるとして「その可能性を否定できない」程度のことではないか。

今回は納豆だったから2パック食べたとしても(ワーファリンという薬を飲んでいる人を除けば)健康を害することはないし、健康商品としての認識が揺らぐこともないと思いますが。。
私も納豆は毎日のように食べているし、発酵食品が健康に良いということは特に疑いようがない。
「だから騙されやすかったのだ」というご意見もあるかもしれません。

でも、深読みをすれば、何でTV局がわざわざそこまでして納豆の効果を捏造しなくてはいけなかったのか、という疑問が当然出てきますよね。
普通なら、そこで業界からのお金の流れがあったのではないか、などと考えたくもなります。
下記ブログのような情報もありますが、確かめようがないし、おそらくそれ以上の事実は出てこないでしょう。

・納豆疑獄とメディアの凋落(内田樹の研究室)