最初に騒ぎになったときにコメントしようと思ったのですが、元の番組も見ていないし、時間もないのでそのままになってました。(素直に信じて納豆を買いに走っている人たちを批判するような内容になるのは目に見えていたし…)
この問題を機に「メディア・リテラシー」の必要性を認識してもらえると良いのですが、これからも形をかえて繰り返されることがないかどうか。。
・視聴者の皆様へ(2007年1月20日関西テレビ放送)
今回の件で、捏造だとわかったからといって驚いたりするほどナイーブではないです。。
TV局がケシカランのは当然だし、メディアの自殺行為であることも事実なのですが、そんなことを今さら取り上げる気にもなれません。
むしろ驚いたのは、放送内容を読んでみると、もしこの実験が「本物」だったとしても、それで「納豆を食べればやせる」などという結論をどうしてそんなに多くの人が信じてしまったのかという点です。
(まあ、信じると言うよりも、納豆なら好きだし値段も手頃だから、試しにやってみるという程度の方が多かったのだとは思いますが…)
別に科学的思考とか統計の知識なんて必要ないです。
普通に自分で考えて判断すれば、これはマユツバ物だとわかるはず。。
DHEAとかなんとか、そういう部分はすっ飛ばして考えてもらえばいい。
まずもって、体重というのは、栄養障害をきたす病気でもない限り、摂取カロリーと消費カロリー(基礎代謝+活動・運動)の2つで決まってくるわけで。。
もし、運動も食事もそれまでと全く同じ生活をしていたとしたら、それに納豆2パックを上乗せしてやせられるわけがない。
例えば納豆2パック分を、いつも食べていたフライドポテトを減らすなどして、それまでと同じ摂取カロリーになるよう厳密に調整したとしても、それだけでたった2週間で3キロもやせるとは非常に考えにくい。
今回「納豆が基礎代謝を上げる」という仮説だったようですが、基礎代謝を上げる一番の方法は、運動をして筋肉をつけること。
運動すればその分の消費カロリーだけでなく基礎代謝も増えるので、食べても太らない体になれます。
基本的に、何もしないでやせられる方法なんて、無いんですよね。
本来、何かの効果をみるなら、比較対照試験(厳密には新薬のようにダブルブラインド=自分がどちらを服用しているかわからないようにする)でなければ何も言えないはずなのに、たかが8例の実験で、しかもコントロール群はおいていないようだし、その他の食事摂取量とか運動量とかをきちんと管理した形跡もない。。(詳細はみてないのでわかりませんが)
これで、もし本当に3キロ減ったのだとしたら、納豆よりもその他のファクターの影響が大きかったのではないかと考えるべきでしょうね。
例えば、TV番組の実験に参加したのだからということで、無意識か意識的かに関わらず食事の内容や量が変化したり、運動量が変わったりしたのではないか。。
納豆がそのファクターの一つである可能性があるとしても、言えるとして「その可能性を否定できない」程度のことではないか。
今回は納豆だったから2パック食べたとしても(ワーファリンという薬を飲んでいる人を除けば)健康を害することはないし、健康商品としての認識が揺らぐこともないと思いますが。。
私も納豆は毎日のように食べているし、発酵食品が健康に良いということは特に疑いようがない。
「だから騙されやすかったのだ」というご意見もあるかもしれません。
でも、深読みをすれば、何でTV局がわざわざそこまでして納豆の効果を捏造しなくてはいけなかったのか、という疑問が当然出てきますよね。
普通なら、そこで業界からのお金の流れがあったのではないか、などと考えたくもなります。
下記ブログのような情報もありますが、確かめようがないし、おそらくそれ以上の事実は出てこないでしょう。
・納豆疑獄とメディアの凋落(内田樹の研究室)