踊る小児科医のblog

青森県八戸市 くば小児科クリニック 感染症 予防接種 禁煙 核燃・原発

放射線被曝を喫煙と比較する専門家は信用できないが、親が喫煙しながら子どもの被曝を心配するのは無意味

2011年07月26日 | 禁煙・防煙
この点については少々分かりにくい(それが向こうの狙い目なのかも)。
以前にも書きましたが、喫煙や受動喫煙という「日常的にありふれたリスク(!)」と比較することで、放射線被曝の健康被害をできるだけ小さく、心配ないものに見せようとする、一種の「詭弁(きべん)」と言って差し支えありません。

あの山下俊一センセイや中川恵一センセイもこの論法を使っていると言えば、むしろわかりやすいでしょう。
中川センセイは下記の記事で「100mSvで0.5%の増加は受動喫煙と同じ」と言っていますが、実はそれ自体が大きな間違いで、受動喫煙の死亡リスク増加は10-20%であることがわかっています。
(それだけをとらえれば、受動喫煙よりもずっと心配ないということになってしまいますが)
この場合の、100mSv被曝や受動喫煙は「生涯」の累積です。
年1mSvなら100年、2mSvなら50年といった具合。
しかも、彼らの根拠は「外部被曝1回限り」の広島長崎モデルで、低線量で長期にわたる内部被曝という今回のような状況は考慮されていませんので、その点でも鵜呑みにすることはできません。

事実は「喫煙や受動喫煙は日常的で途方もなく高いリスク」であり、「放射線被曝(生涯・外部被曝)の100mSvで0.5%(10万人中500人)、10mSvで0.05%(10万人中50人)の増加」は、子どもでリスクが数倍上がることを考慮すれば、とても容認できるレベルではありません。

ですから、標題にあるように、親が喫煙しながら子どもの被曝を心配するのは全くのナンセンスだということになるのです。

「うちは屋外で吸っているから大丈夫」というのも実は全然大丈夫ではありません。吐き出す息や衣服・身体から出る有害物質は、子どもの身体に確実に取り込まれています。
たとえて言うのも変ですが、100mSvは有害で50mSvなら安全かといった議論と同じ意味です(リスクのレベルは違いますが)。

今年の5月31日の世界禁煙デーにあたって、青森県タバコ問題懇談会では「深刻化する青森県の受動喫煙防止対策の遅れ」という声明を発表しましたが、この問題に関する部分だけを抜粋して紹介しておきます。(私が書いた文章です)

■ 注意! 放射線による健康被害を喫煙や受動喫煙と比べることは二重の意味で誤解を招きます(2011年5月30日)
http://ameblo.jp/aomori-aa/entry-10908278347.html

 現在、福島第一原発の事故により莫大な放射性物質が環境中に放出され、広い地域で住民の健康被害の懸念が広がっています。その中で、放射線の健康への影響を喫煙や受動喫煙と比較して報道されることがありますが、これは国民に対して放射線被曝のリスクのみならず、喫煙や受動喫煙のリスクまで「日常的なもので大したことない」と思わせるような、二重の意味で誤解を招く危険性が高いので注意が必要です。以下に一般的に伝えられている数値を引用してみます。

 放射線(急性・外部被曝) 1000mSv で全固形がんが 1.6倍増加(成人):喫煙と同程度
 放射線(生涯・外部被曝) 100mSv で 0.5% のがん死増加(成人)  =500人 / 10万人
 喫煙(長期)       約半数(50%)が喫煙による疾患で死亡   =5万人 / 10万人
 受動喫煙(日常的)    約10?20% が受動喫煙による疾患で死亡  =1-2万人/10万人

 有害物質の環境基準は「10万人あたり1人の死亡」であり、アスベストの場合、敷地境界基準の「10万人あたり7人の超過死亡」を超えると懲役刑になります。100mSv の被曝はアスベストの基準を70倍も上回り、受動喫煙は1500倍にも達する高いリスクとなります。喫煙や受動喫煙という途方もなく危険な有害物質と比べて考えること自体が間違いだと言えます。

■ 問題の記事の例

「人体への影響100ミリシーベルトが目安」「喫煙や飲酒のほうが心配」東大放射線科・中川恵一准教授
2011.6.8
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110608/bdy11060822250001-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110608/bdy11060822250001-n2.htm

 「ただちに健康への影響はない」と言われても、目に見えないだけに、健康被害が心配になる放射性物質。東大医学部付属病院で放射線治療を担当し、茨城県東海村のJCO臨界事故で被曝(ひばく)した作業員の治療にも携わった中川恵一准教授は、被曝による発がんリスクについて、「日本人は、2人に1人が、がんになる世界一のがん大国。喫煙や飲酒の方がよほど危険だ」と語り、過度の心配をする必要はないという。

 中川准教授によると、被曝が人体に与える影響は「100ミリシーベルトがひとつの目安」。100ミリシーベルトの放射線を浴びた場合、がんが原因で死亡するリスクは最大約0.5%上昇。野菜嫌いの人や受動喫煙と同程度だ。

 運動不足や塩分の取りすぎは200~500ミリシーベルト、喫煙や毎日3合以上飲酒した場合は2000ミリシーベルト以上の被曝に相当。「タバコや飲酒による発がんリスクは、被曝と比べものにならないほど高い。この機会にがん対策全体を見直すべきだ」という。

 もともと自然界から年間数ミリシーベルトを被曝している人間の細胞には、放射線で傷つけられたDNAを回復させる機能が備わっている。

 長期間にわたって受ける放射線量が100ミリシーベルト以下ならば、ほとんどが修復される。実際、広島・長崎のデータでも、100ミリシーベルト以下で発がんが増えたというデータはない。ただ、一部の原発作業員のように、短期間に200ミリシーベルト以上を被曝するようなケースについては、「年間20ミリシーベルトを10年浴びたのに比べ、2~10倍高いリスクとなる可能性がある」と警鐘を鳴らす。

 依然、風評被害が広がる農水産物については「国の食品衛生法に基づく基準値はICRPなどの国際基準を踏まえ、食品ごとに放射性物質の摂取上限が厳しく設定されている。原発周辺に自生する山菜などを食べるのは危険だが、流通しているものについては基準値を下回っており、問題ない」と強調。「汚染を気にして野菜や魚の摂取が減ったり、被曝を恐れてがん検診を受けなかったり、ストレスや運動不足の方ががんのリスクを高める」とする。

 「半減期が短い放射性ヨウ素はほぼ消えた。今、大気中に放射性物質はほとんどない。それ以降は、3月15日までに放出され、雨に溶けて土の表面に蓄積したセシウムからのガンマ線が被曝の原因。公共事業による土壌改良などが必要だ」と話している。

広瀬隆氏講演会(青森市) 2011年10月15日(土)15:00-19:00 青森グランドホテル(時間変更)

2011年07月23日 | 東日本大震災・原発事故
広瀬隆氏講演会
演題「未定」
日時 2011年10月15日(土)15:00-19:00(←時間変更になっています)
   第一部  講演(2時間)
   休憩  (10分)
   第二部 補足説明+質問(1時間半)
会場 青森グランドホテル 平安の間(250-350名)
主催 青森県保険医協会
懇親会 希望者(事前申し込み)

詳細については後日またお知らせします。


八戸から行く場合(現在のダイヤのままなら)

八戸 はやて161号 12:56-13:20 新青森
新青森 奥羽本線 13:43-13:49 青森

(どうして新青森の乗り換え時間が23分もあるのだろう? これじゃ新幹線の効果が台無しじゃないか)

「原発マネーより県民の命が大切」青森県十和田市の農家Tさんの新聞投書(2011.7.21)/画像

2011年07月22日 | 東日本大震災・原発事故
(クリックして拡大)

>説明会場では「豊かな生活を守るのが知事の役目だから一日も早く
>原子力関連産業を再開せよ」という人もいました。
>国や事業者が「原発マネー」をちらつかせ、放射能の怖ろしさに
>目をつぶらせるとしたら恐ろしいことです。
>三村知事、原発マネーによる経済効果よりも県民の命です。
>私は三村さんが経済効果を撮るとは思いたくありません。

iPhone / JotNot Pro で取り込んだので少し読みにくいですが、ぜひ全文をお読み下さい。

『シューマンの指』の時代と空気 物語で語られたシューマンのピアノ曲のリスト

2011年07月22日 | ART / CULTURE
■ 『シューマンの指』(Bookmeterへの短評)
これは面白い。ミステリー・音楽小説・青春小説の枠から飛び出した意欲作。本当の主題はシューマンの音楽。やや修辞がくどい気もするが音楽なしに音楽を響かせるにはこれくらい必要なのかも。問題は読者である私がシューマンの音楽に詳しくないこと。一通りちゃんと聴いてから再読したい。結末はあまり気持ちよくないが。

(追記:正直言ってラストは禁じ手と思うが、だからといって全体が失敗作とは言えない。)

図書館で借りた本なので、メモを残しておきます。文庫化されたら手元に置いておこうか。
(ネタばれはありません)

■ 『シューマンの指』の時代と舞台

冒頭の手紙は1984年(昭和59年)12月7日
主人公(語り手)は当時25歳(誕生日の記載はないので誕生日後と仮定)
東北の中心都市(仙台?)の大学医学部3年生(=1982年入学)
(私は1984年には仙台の大学医学部4年生=1981年入学)
T音大(東京音大?)には一浪後、1979年に入学、同年中退。(=更に2年浪人?)

もう一人の謎の主人公(天才少年)が指の事故にあうのは1979年7月(高3)
高校入学は1977年 このとき語り手は高3
都立の進学校 調布市・武蔵野市近辺か → 八王子

話は30年後に過去の封印を解いて回想する(2009年か)

逆算すると、
主人公(語り手)は1959年生まれ 1979年に20歳(になる年) 浪人後、T音大1年
主人公(天才少年)は1961年生まれ 1979年7月、18歳の誕生日に事故 高校3年
(私は1962年生まれ 1979年に17歳 神奈川県の県立高校2年)

当時の自由な空気を残していた公立高校の雰囲気は何となくわかる気がする。
と言っても、ここに出てくるようなクラシック音楽の世界とは全く関係なく、ごくありふれた高校生だった。
物語では、流行の音楽(ニューミュージックやロック)以外には当時の時代を映し出すような背景にはほとんど触れられていない。最初から最後まで、音楽のみ。

■ ダヴィッド同盟
音楽俗物のペリシテ人と闘う英雄ダビデ
 旧約聖書「サムエル記 上」の巨人ゴリアテを倒すダビデの物語
フロレスタン 明朗闊達、積極的
オイゼビウス 内向的、思索的
謝肉祭 Op.9 第5曲<オイゼビウス> 第6曲<フロレスタン> 終曲<ペリシテ人と闘うタヴィッド同盟の行進>

音楽俗物のペリシテ人
「ピアノといったらショパン、みたいにいう人たち」「あるいはチャイコフスキーやブラームスが、シューマンよりずっと偉いと思い込んでいるような馬鹿な人たち」(天才少年談)

■ 本文中で主人公が物語るシューマンのピアノ曲

p.12 ピアノ協奏曲イ短調 Op.54 「ピアノ協奏曲というジャンルにおける最高傑作」
p.18 アルフレッド・コルトーの演奏
p.29 ダヴィッド同盟舞曲集 Op.6
    他の(物語では触れられない)ピアノ小曲集
     幻想小曲集 Op.12 ノヴェレッテン Op.21 ウィーンの謝肉祭の道化 Op.26
p.46 トロイメライ 子供の情景 Op.15 の第7曲
p.49 ピアノソナタ第1番嬰ヘ短調 Op.11
p.54 トッカータ Op.7
p.60 フモレスケ Op.20
p.66 ベートーベン ピアノソナタ28番イ長調 Op.101
p.71 ベートーベン ピアノソナタ22番ヘ長調 Op.54
p.74 モーツァルト ピアノ協奏曲22番変ホ長調 K.482
p.71 ベートーベン ピアノソナタ29番変ロ長調 Op.106<ハンマークラヴィア>
p.86 謝肉祭 Op.9 「小曲集形式の決定版」 ヴィルヘルム・ケンプ
p.91 花の曲 Op.19 ホロヴィッツ「カーネギー・ホール・コンサート』
p.101 ピアノソナタ第2番ト短調 Op.22
p.134 幻想曲ハ長調 Op.17 (p.150-163)
p.144 リーダークライス Op.39 Mondnacht(月夜)
p.148 ミルテの花 Op.25 Die Lotosblume(蓮の花)
p.192 交響的練習曲 Op.13
p.198 ピアノソナタ第3番ヘ短調<管弦楽のない協奏曲> Op.14
p.247 森の情景 Op.82 第4曲<呪われた場所> 終曲 Abschied<別れ>
p.264 天使の主題による変奏曲(遺作)
p.292 アニー・フィッシャー「シューマン集」
    子供の情景 Op.15 クライスレリアーナ Op.16 幻想曲ハ長調 Op.17

■ 著者 奥泉 光(Wikipedia)
1956年生まれ 山形県出身 埼玉県立川越高等学校、国際基督教大学卒

■ 動画

著者インタビュー
http://www.youtube.com/watch?v=eDBTGS2HNts
http://www.youtube.com/watch?v=cTCWZwuLCEo

シューマン ダヴィッド同盟舞曲集より Op.6-2, 5, 11
ピアノ:マウリツィオ・ポリーニ
http://www.youtube.com/watch?v=3GBgWzbb2qU

■ 幻想曲 Op.17 - 冒頭のシュレーゲルの詩文

 色彩々の大地の夢の中で
 あらゆる音をつらぬいて
 ひとつの静かな調べが
 密かに耳を澄ます者に響いている

twitter @odorusyounikai の twilog は http://twilog.org/odorusyounikai です

2011年07月18日 | 東日本大震災・原発事故
twitter @odorusyounikai
twilog http://twilog.org/odorusyounikai

現在、主に原発事故、脱原発に関する情報収集や意見を書き込んでいます。follow と意見交換よろしくお願いします。(情報が増えすぎているため follow していただいた方の全員を follow し切れていないことをお詫びします。)

青森県内で、従来の団体や政党などの枠にとらわれずに、市民が個人で参加できる、緩やかな「脱原発と自然エネルギー・代替エネルギーの暮らしを考えるネットワーク」づくりの準備を急いでいます。

ご意見、ご連絡等よろしくお願いします。

青森県:各種団体・学識者からの意見聴取 原発推進が多数 名簿と賛否 これが「民主的アリバイづくり」か

2011年07月15日 | 東日本大震災・原発事故
県民説明会の最終日、午後にこのような各団体からの意見聴取がなされるということは県のHPにも載ってないし県民にもアナウンスされてませんでした。青森県保険医協会で記者として取材した方から得た、発言者名簿と賛否の一覧です。

福島だけでなく、大地も海も(特に三陸の海も)放射能で汚染されてしまい、安全と言える食べ物がなくなった現実をどう考えているのか知りませんが、農協も漁協も「推進」だそうです。

ここで特筆すべきと言っていいのか、もうどうでも良いと言うべきなのかわかりませんが、「学識経験者」が保留の一人を除いて全員「推進」だということ。アカデミズムの信用が地に落ちていることを、むしろ歓迎しているのか(?)、まさか知らないわけではあるまいに。(知らない可能性も大きいとは思うが)

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■ 福島第一原子力発電所事故を踏まえた県内原子力施設の安全対策に関する意見聴取

平成23年7月14日(木)13:30-15:55
青森国際ホテル3階「萬葉の間」

第一部(各種団体)

青森県商工会議所連合会 常任幹事 中村明義 ★推進
青森県商工会連合会(東通村商工会会長) 二本柳雄作 ★推進
青森県建設業協会 専務理事 竹内春繁 ★推進
青森県農業協同組合中央会 副会長 岡山時夫 ★推進
青森県漁業協同組合連合会 理事 三國 優 ★推進
青森県社会福祉協議会 理事 三浦昭子 ★推進
青森県地域婦人団体連合会(外ヶ浜町三厩地域婦人団体連合会会長) 川村優子 ☆脱原発「一人の主婦としての意見です。今まで視察会、学習会に参加してきた。しかし、この事故を受けて、原子力が未確立なのがわかった。脱原発に向けて自然エネルギーへの転換を望む。」

第二部(各種団体)

核燃料廃棄物搬入阻止実行委員会 代表 澤口 進 ☆反対
原水爆禁止青森農民会議 代表 今村 修 ☆反対
核燃サイクル施設立地反対連絡会議 事務局長 小山内孝 ☆反対
核燃・だまっちゃおられん津軽の会 代表 宮永崇史 ☆反対
核燃サイクル阻止一万人訴訟原告団 事務局長 山田清彦 ☆反対
青森県反核実行委員会 副実行委員長 奈良岡克也 ☆反対

第三部(学識経験者)

青森公立大学 教授(地域連携センター長) 香取 薫 ▲政府が混乱しているため判断は保留
青森大学 学長 末永洋一 ★推進
弘前大学 副学長 大河原隆 ★推進
八戸工業大学 准教授 佐藤 学 ★推進
八戸工業高等専門学校 教授 工藤憲昌 ★推進

「へえ。脱原発?おやおや」低レベル新聞 東奥日報「原発なしで凍死者」脅しプロパガンダ 原発報道反省ゼロ

2011年07月14日 | 東日本大震災・原発事故
(その1)7月12日東奥日報夕刊・東奥春秋「ストレステスト」
(記事の中盤までは民心が脱原発に変わったことを認め、ストレステスト問題について政府の迷いを指摘しつつ)
「国内の原発54基中、現在稼働しているのは17基。定期検査中の14基が再稼働できなければ、真冬の需要期に凍死者も出かねない。工場が動かなければ経済危機に陥りかねない。菅首相は国民にストレステストを強いている。(犬)」

論評する気にもなれません。タイトルの通り原発推進派の「脅しプロパガンダ」をそのまま自分の意見のように得意がって書いているが、そもそも東北電力の原発は現在でも全て停止しています(女川・東通)。これでこの夏もまだまだ余裕があって乗り切れそうなのに、それよりも電力需要がずっと少ない冬期に、灯油による暖房が主体である青森県内でどうして原発が動かないと凍死者が出るのか。
県民・読者を馬鹿にするのもいい加減にしろ。
ちなみに(犬)とあるのは記者自身によるものであって、「権力の犬」だなどと私が勝手に付け加えたわけではありません。

(その2)7月13日東奥日報夕刊・寸言
「エネルギー政策見直し?へえ。脱原発?おやおや。被災地置き去りの延命策…ご免だ。」

こちらは更に論評不要でしょう。
ここに掲載して全国の皆さんに笑っていただくだけでなく、後世への資料として(大変不快ながら)紹介して保存することにしました。

まず、今回の福島原発事故報道で、政府の「大本営発表」を無批判に垂れ流ししたために、国民が必要な避難行動をとることができなかった責任が、第一義的には当然政府にあるとしても、罪状としては既存メディア(テレビ・新聞)の責任がより重大であることについて、深刻な反省と謝罪がどの報道機関からも出されていない。

形だけにせよ報道の自由があることを考えれば、戦時中よりも悪質で罪は重い。
それだけでなく、電力業界の安全キャンペーンを無批判に認めてきたことを考えれば、原発事故の当事者であると言っても過言ではない。

東奥日報が地元紙として独自取材により質の高い原子力問題の報道を続けてきたと評価する向きもあるようですが、それはあくまで表に出ていることだけであり、事故後にあたかも新たにわかったかのように各紙で伝えられている「真相(深層)報道」も、ほとんどわかっていたことばかりで、「今ごろになってそんなこと書いても遅いんだよ」と毒づきたくなります。

国民が既存メディアを「ジャーナリズム」と認めなくなってから久しい。
もう新聞をとるのをやめてもいいのではないかと毎日のように考えているが、県民・読者からそのように受け止められているということを記者・新聞社が「存廃の危機」として自覚しているとはとても思えません。

ちなみに、上記記事はWEBには掲載されていませんが、登録した読者が使える記事データベースで検索されます。

(twitterへの追記)

@odorusyounikai
一つ前のtweetに紹介した東奥日報記事。九電やらせメールの例文からとったものと判明。【毒】 「弱者が犠牲に」九電やらせメール、例文も提示:日本経済新聞

青森県弁護士会が原子力政策撤退を求める声明(7/13) 県保険医協会声明(3/24) 県医師会は何の動きもなし

2011年07月14日 | 東日本大震災・原発事故
「建設中を含む原発の新増設中止、老朽化した原発は直ちに廃止、その他の原発も速やかに廃止、核燃サイクル施設も直ちに廃止、プルサーマルも中止」至極当然の声明ですが、県民の命を守るべき医師の団体である県医師会はこの問題に背を向け続けています。青森県保険医協会は3/24に声明を発表し、3/28に緊急要請を提出しています。

青森県弁護士会
http://www.ao-ben.jp/
福島第一原子力発電所事故にかかる会長声明 2011年7月13日発表
http://www.ao-ben.jp/doc/20110713seimei.pdf

原子力政策撤退を/県弁護士会が声明 2011年7月14日
http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2011/20110714102233.asp
 福島第1原発事故を受け、県弁護士会(葛西聡会長)は13日、同様の事故は本県でも起こり得る-として、県や国、事業者に対し、原発の安全性の見直しや、原子力政策からの撤退などを求める声明を発表した。
 同日、葛西会長と浅石紘爾公害委員長が県庁で会見した。声明では、「福島の事故は、設計上の欠陥を看過し安全管理を怠った東京電力と、ずさんな安全審査で稼働を許可した国の責任に起因する」と指摘。
 国と事業者に対して(1)事故についての情報公開と万全な被害救済(2)既存の原発を段階的に廃止して原子力政策から撤退、核燃料サイクル施設の廃止、再生可能エネルギーの推進-を求めた。県に対しても、独自に原発の安全性を根本的に見直すことを要請している。
 浅石委員長は「原子力災害は最大の人権侵害。本県は原子力施設の集中立地県で、福島の悲劇を本県で繰り返してはならない」と述べた。同会は同日付で、県、国、事業者などに声明を送付した。

東日本大震災関連情報(青森県保険医協会・原発核燃料サイクル問題を考えるページ)
http://www.ahk.gr.jp/kakunen/html/shinsai-jyouhou.html
福島第一原子力発電事故についての緊急声明(3/24)
http://www.ahk.gr.jp/kakunen/sonohoka/06-seimei01.pdf
六ヶ所核燃料サイクル事業、再処理工場の稼働中止を求める緊急要請(3/28)
http://www.ahk.gr.jp/kakunen/sonohoka/05-yousei01.pdf

放射線量測定 青森県八戸市 0.04-0.05μSv/h 室内・屋外・雨樋の下 2011.7.5 線量計DoseRAE2

2011年07月05日 | 東日本大震災・原発事故
携帯式個人線量計としては評判も良く価格も高すぎないDoseRAE2を購入して自宅内外を測定してみました。

DoseRAE2 PRM1200 パッケージ

Amazonで購入し、翌日到着。製造は中国・上海。
測定はX線、γ線。ガイガーカウンタではなくシンチレーション式。

USB接続で充電


カードサイズで非常に小さく軽い。上の白い紙は名刺。

背面にクリップ。周囲は保護用のシリコンブーツ。

日本語マニュアル付き。設定を終えて早速測定。

室内(机の上) 0.05μSv/h


2階ベランダ 雨樋の下 0.04μSv/h


庭 花壇 0.04μSv/h


庭 雨樋の下 0.04μSv/h


測定地点:青森県八戸市湊高台1丁目 測定日時:2011.7.5 15時前後

県のモニタリングデータでは、八戸市役所前可搬型モニタリングポスト 26-29nGy/h (7/4-7/5)
1Gy=1Svとして、0.026-0.029μSv/h
それよりも0.01程度高いが、いすれにせよ、八戸市に放射性物質の汚染があったことは間違いないとしても、線量計で測定できるほどではなさそう。
http://www.aomori-genshiryoku.com/

(追記)上記の測定値はあくまでこの線量計でこの数字が出たということを示しただけで、0.01のレベルの差にはほとんど意味がありません-おそらく0.1のレベルでは測定できていると思いますが-。絶対値ではなく大体のレベルとしてご判断いただければと思います。

市内外の別の地点も、機会があったら測定して報告します。

(追記2)八戸市 四本松交差点 新井田風の道公園:坂の上下・トイレ付近の草地 いずれも0.05μSv/h(これだけ変動が少ないと本当に測定できているのか不安) 2011.7.5

(追記3)八戸市 室内 0.04-0.05μSv/h(前日とほぼ同じ) 強い南西の風 少し続けて使って変動などを観察したい 2011.7.6

(追記4)八戸市 新井田 ケーズデンキ駐車場 0.04 旭ヶ丘交差点・よこまち駐車場 0.04

屋内外の測定値にほとんど差がなかったことから、
年間の外部被曝線量は、24×365=8760をかけて1000で割る(概算で9をかける)と、
0.04-0.05μSv/h → 0.36-0.45mSv/y
おそらく事故前と変わりないレベルだろう。

放射能汚染の高い地域では、1日の平均(屋内外・時間換算)で、
1.0μSv/h → 9.0mSv/y(福島市など)
0.6μSv/h → 5.4mSv/y(放射線管理区域)
0.3μSv/h → 2.7mSv/y(ホットスポット)
0.1μSv/h → 0.9mSv/y(年間許容量以下)

0.05という値と比べると、汚染地域は10-20倍も高い。。
文科省は福島県内も1mSv/yを目標(学校内・外部被曝のみ)に方針転換し、校庭の土除去などで低減を図っているが、実際に全ての地域で1mSv/yまで抑えるのは非常に困難でしょう。
食物などからの内部被曝もここに加わってくる。

もちろん、できる限りの対策をとり続けて欲しいと思うが、どうも避難範囲の拡大は今回の「特定避難勧奨地点」でオシマイの可能性が高い。。
自主避難、外部からの援助(自治体・孫社長など)を受けての避難、夏休みの長期滞在などを進めて欲しいと思う。
日本政府はあてにならない。
ビル・ゲイツとか海外の大富豪の援助を求めることはできないだろうか。

松本竣介@日曜美術館 7/3 9:00 音なき世界 再生の青~作家・佐伯一麦と松本竣介「白い建物」~

2011年07月02日 | ART / CULTURE
NHK日曜美術館
音なき世界 再生の青
~作家・佐伯一麦と松本竣介「白い建物」~
放送日時:7月3日[日] あさ 9:00~10:00
再放送:7月10日[日] よる 20:00~21:00
http://www.nhk.or.jp/nichibi/weekly/2011/0703/index.html

松本竣介…
好きな画家です。
宮城県立美術館で見たのが最初だったと思うが。。記憶が定かでない。
岩手県立美術館にも行きたいのですが、まだ一度も行ったことがありません。
(ジョギングで通ったことはあるが)

岩手県立美術館ニュース
http://www.ima.or.jp/2011/07/post_28.html

東京国立近代美術館「特集 東北を思う」5月17日(火)~7月31日(日)
http://www.momat.go.jp/Honkan/permanent20110517/Tohoku.html

6月の読書メーター 読んだ本の数:8冊 読んだページ数:1415ページ

2011年07月01日 | 東日本大震災・原発事故
荒俣宏・高橋克彦の岩手ふしぎ旅荒俣宏・高橋克彦の岩手ふしぎ旅
祝・平泉世界遺産登録。中尊寺だけじゃない。「風の陣」「火怨」「炎立つ」「天を衝く」の蝦夷四部作を読んだ人なら、この本を手に取って明日にでも旅に出たくなるはず。阿弖流為が啓示を受けた丹内山神社のアラハバキ大神の巨石と田村麻呂が建立した成島毘沙門堂の兜跋毘沙門天像の関係など。達増知事との霊的対談も異色。
読了日:06月30日 著者:荒俣 宏,高橋 克彦
ケルト巡りケルト巡り
神話や伝承などを中心としたケルト文化を巡る旅を通して、現代の日本人の心、生き方を考える。 近現代と前近代、欧米キリスト教文明とケルト・日本古来の文化、近代的自我と無意識の世界、「自然を克服する」と「自然に還る」、父性原理と母性原理など。 単純に昔に帰れば良いと主張しているわけではない。 河合隼雄や村上春樹の著作に馴染んだ人なら、素直に理解できる。 福島原発震災をめぐる構図が何度も頭をよぎった。業界、官僚といったあちら側の人たちに、何が決定的に欠けているか。科学技術やお金だけでは、人は幸せになれなかった。
読了日:06月28日 著者:河合 隼雄
隠される原子力・核の真実―原子力の専門家が原発に反対するわけ隠される原子力・核の真実―原子力の専門家が原発に反対するわけ
再処理工場が抱える膨大な危険、原子力に悪用された二酸化炭素地球温暖化説、エネルギーと不平等社会(小出先生の反原発論の最重要ポイント)など、「原発のウソ」で目覚めた人がより詳しく知るための道しるべ。福島原発事故前の2010年12月に刊行。事故の前後で小出先生の論は全く変わっていない。
読了日:06月22日 著者:小出 裕章
放射能汚染の現実を超えて放射能汚染の現実を超えて
放射能汚染食品の輸入基準を厳しくすることに反対した小出先生。現在と全く同じことを主張されていた。
読了日:06月22日 著者:小出 裕章
原発のウソ (扶桑社新書)原発のウソ (扶桑社新書)
100万部×10=1000万人が読めば日本は変わる。全ての人にお勧め。コンパクトにまとまっていて読みやすい。
読了日:06月18日 著者:小出 裕章
まだ、まにあうのなら―私の書いたいちばん長い手紙まだ、まにあうのなら―私の書いたいちばん長い手紙
フクシマ事故後に知り購入。結果的に、間に合わなかったが。。しかし、これだけの惨状で福島のお母さん達の苦しみを無視し、2発目の原爆を投下されなければ敗戦を認めようとしないこの状況で、もう一度「まだ、まにあうのなら」と問いたい。
読了日:06月09日 著者:甘蔗 珠恵子
龍の子太郎(新装版) (児童文学創作シリーズ)龍の子太郎(新装版) (児童文学創作シリーズ)
この歳になって初めて読んだ。十和田湖や八郎潟、田沢湖周辺に伝わる八の太郎の物語を題材にしているらしい。大人も楽しめる。アニメ日本昔話の龍に乗った子どもも同じか。
読了日:06月06日 著者:松谷 みよ子
今こそ、エネルギーシフト――原発と自然エネルギーと私達の暮らし (岩波ブックレット)今こそ、エネルギーシフト――原発と自然エネルギーと私達の暮らし (岩波ブックレット)
福島原発事故とその後のゴタゴタで、日本の社会や民主主義の膿みや歪み、利権構造などを日本人の誰もが知るところとなった。事実を知り、現状に目覚めれば、自然エネルギーや地域分散型エネルギー、市民社会など向かう方向は自ずから定まってくるはずだが、旧弊オヤジ社会から子どもや若者が希望の持てる国に生まれ変わるには、まだまだ血が流されなくてはいけないのか。祝島の人たちの生き方に学ぶ。(映画見逃した)
読了日:06月06日 著者:飯田 哲也,鎌仲 ひとみ

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