踊る小児科医のblog

青森県八戸市 くば小児科クリニック 感染症 予防接種 禁煙 核燃・原発

院内報2013年4月・5月号を掲載

2013年05月27日 | こども・小児科
・院内版感染症情報 ~2013年第21週(05/20~05/26)
・成人男性の風疹流行と先天性風疹症候群の増加 青森県でも注意を
・世界禁煙デー「タバコの広告・販促・後援活動の禁止法制定を」
・真実を伝えずにタバコマネーにすがり続けるメディア
・飲食店内の喫煙でPM2.5は危険域に上昇
・6月の診療日、急病診療所、各種教室、相談の予定

http://www.kuba.gr.jp/info/ih.html

PDF
http://www.kuba.gr.jp/info/ih/ih201304.pdf

三陸復興国立公園内の遊歩道・展望台・休憩所における全面禁煙の実施を要請します

2013年05月27日 | 禁煙・防煙
 種差海岸と階上岳の三陸復興国立公園指定を心から祝福いたします。両地域に何度も足を運んで自然ときれいな空気を楽しんでいる県民の一人として、環境省・高橋瑛子自然保護官に国立公園内の遊歩道・展望台・休憩所における全面禁煙の実施を要請いたします。

 受動喫煙は放射線被爆と同様にどこまでなら安全というレベル(閾値)はなく、タバコ規制枠組み条約や健康増進法・厚生労働省局長通知でも、屋内全面禁煙のみならず屋外の施設や出入り口付近、公園等における受動喫煙も防止するよう求められています。

 種差海岸や階上岳の遊歩道や登山道は狭く、遊歩道内のみならず休憩所や展望台、山頂等において喫煙されれば容易に高濃度の受動喫煙にさらされることになります。ことに、団体の観光客が一度に下車するとトイレ付近に多数の喫煙者が集結して悲惨な状況に陥ります。(葦毛崎などではそこまでひどい状況は経験していませんが、奥入瀬渓流の石ヶ戸休憩所では受動喫煙の被害を被った経験が何度もあります。一度ご視察下さい。)

 わずかにタバコ臭を感じる程度の受動喫煙でもPM2.5は1μg/m3程度上昇し、10万人あたりの生涯超過死亡者数は急性暴露で100人(0.1%)、慢性暴露で600人(0.6%)に達します。これは、通常の環境汚染物質の許容基準の100~600倍に相当します。

 また、遊歩道等におけるゴミで最も問題となるのはタバコの吸い殻であり、単なるゴミではなく発がん物質を含む有害汚染物質です。また、フィルターは環境に残存し動植物の生態系に多大な悪影響を与えます。国立公園内の喫煙は火災の原因ともなります。

 三陸復興国立公園内の全面禁煙の実施をお願いいたします。

(更にもう一つ、書きかけの文書から先行公開)

真実を伝えずにタバコマネーにすがり続けるメディア このまま滅びの道を歩むのか

2013年05月27日 | 禁煙・防煙
 メディアは、これまで FCTC に違反してタバコ会社から広告や協賛金を受け取ってきたことの誤りを認めてタバコマネーと縁を切るか、これまで通りお金を受け取り続けるかの二つに一つの選択肢しかありません。当然のことながら、自ら FCTC に違反しながら「タバコ会社の広告・販売促進・スポンサー活動は FCTC 違反である」ことを県民に正しく伝えることは、泥棒が警官になれないのと同じ道理で不可能です。

FCTC:WHOタバコ規制枠組み条約

(もう一つ、書きかけの文章から先行掲載)

法律・通知を守らずに喫煙室を設置し続ける青森県議会 喫煙は議員の特権??

2013年05月27日 | 禁煙・防煙
 青森県議会は、県内における実効的な受動喫煙防止対策を求める請願・陳情(2010年6月・2011年3月)を採択しながら、県施設の全面禁煙を求める陳情を不採択にしました(2011年3月)。現在、県の施設を利用する県職員(知事を含む)および県民、来客者は皇室であろうと国家元首であろうと施設内における喫煙は禁じられているにも関わらず、青森県議会議員のみが県施設内で喫煙できるという不可思議な状況が生じています。

 青森県議会に対しては既に2011年2月に全面禁煙化を求める勧告を出していますので、当懇談会として改めて何らかの要請や勧告を出すことは今後一切いたしません。

 県議会以外の県施設が全面禁煙になった現在、陳情を不採択としたことの誤りを認めて謝罪し、県議会も早急に全面禁煙とするのが選良としてのごく当たり前の感覚だとは思いますが、現状に対して問題意識を持たない県議会議員に期待することはありません。

 この文書は県議会議員のみならず、首長、国会議員、報道機関およびインターネットを通じて全国民に公開されております。歴史が裁定してくれます。

(青森県タバコ問題懇談会として出す予定の文書の一部(未完成)ですが、先行公開します。早く書き終えて寝ないと。。)

今中哲二『サイレントウォー 見えない放射能とたたかう』読書メモ

2013年05月21日 | 東日本大震災・原発事故
今中哲二『サイレントウォー 見えない放射能とたたかう』

LNTが批判に耐えられるタフな考え方。どんなにわずかでも“安全な被曝”などない。年間1mSvがガマン量の目安。最もしっかりした評価は米国科学アカデミーのベアー報告。1mSv被曝でがん発症は1万分の1。子どもは千人に1人。孫が福島市にいたら?「しゃあないなぁ」と言えるのは自然放射線+1mSvまで。食品は自分の子が小学生なら10Bq/kg、妊婦や乳幼児はゼロベクレルを目標に。(Bookmeterへの短評)

図書館から借りた本なので備忘録としてメモしておく。引用だったり要約だったりするので注意。(カッコ内は感想やコメント)

東京より北の本州太平洋側には“無視できないレベルの放射能汚染”が起きてしまった。(もちろん八戸も) 安全性は確率では語れない。百万年に1回の大災害が起こるのは今日かもしれない。

スリーマイル以来「原発は安全か危険か」ではなく「危険なものに決まっている。どのくらい危険なのか」という問題の立て方でシミュレーションしてきた。

チェルノブイリで強く感じたのは、科学的アプローチで明らかにできることは、原発事故という災厄全体のほんの一部にすぎない、ということ。

これから先、子どもや孫の代まで放射能と向き合っていかなくてはならない。一人ひとりがほどほどに判断できるくらいにならないと、かえって不安を大きくしてしまうことになる。

(第1章は、放射能を「正しく恐がる」ための基礎知識。この「正しく恐がる」はカッコ付きの「正しく恐がる」。「正しく恐がる」論者に騙されずに、かつ過剰に怖れないための「正しく恐がる」だ。)

放射能の食品基準は、規制値以下だったら安全というわけではない。私たちにとって規制値は「ガマンさせられ量」だといえる。

今の日本では子どもたちを絶対に被曝させないのは無理。「どこまで被曝をガマンするか、どこまで子どもたちを守れるか」を自分自身で判断できるようになること。

目安として、食品中の放射性セシウム1000ベクレルで20μSvの被曝。3200Bq/kgのステーキを200g食べると640Bq。12.8μSvの被曝。一部の専門家は「健康に影響はない」と。(調べてみたら安斎育郎氏だ)

年間約1mSvの自然放射線は「けっこう強い」。だからこそ、上乗せ分の被曝には注意しなければいけない。

1ベクレルは1秒間に1回原子核が崩壊。セシウム137は放射線はガンマ線を1本(0.85本)出すが、セシウム134は2本以上。ガンマ線のエネルギーは2倍以上強い。

被曝量はお金に換算して比較(お金を落とした)。
放射線従事者:1μSV=1円、100μSV=100円、
1000μSV(1mSv)=1000円(始末書もの)、
1000mSv(1Sv)=100万円(大変だ、すぐ病院へ)

被曝量はお金に換算。
一般人は10倍、妊婦・子どもは100倍。
1μSV=10円、100円。100μSV=1000円、1万円。
1000μSV(1mSv)=1万円、10万円。
年間5mSvは子どもが50万円落とした感覚(あり得ない)。厚労省基準はとんでもないもの。

年間1ミリシーベルトが「ガマン量」の目安。年間1ミリまでは大丈夫、ではない。自然放射線の変動内に入る程度なら、神経質になることはない。例えば年間0.2mSv程度。(←注意:年間200μSv!)

「直線・しきい値なし仮説」が様々な批判に耐えられるタフな考え方。100mSv以下では直線的なモデルよりリスクが大きくなる傾向がみられる。「どんなにわずかでも“安全な被曝”などない」という考え方が世界の主流(ICRP、米国科学アカデミーなど)。

被曝は「予防原則」が大前提。

次々と登場する妄言に惑わされるな。
①生涯100mSvなら安全説(食品安全委員会)、
②年間20mSvなら安全説(文部科学省)、
③年間100mSvでも安全説:「広島・長崎データ」を都合良く解釈しているだけの“原子力ムラ”住人の言葉にはくれぐれも注意を

次々と登場する妄言
④わずかな放射線は体によいというホルミシス説、
⑤「放射線の影響はクヨクヨしている人に来る」説:山下俊一教授は「ご本人がそう思うのは自由ですが、このような社会的発言をするのなら、お孫さんも含めて家族で飯舘村に移住してからにすべきでしょう」

次々と登場する妄言
⑥「ほんの少しでも放射線は怖い」説:子どもの将来を悲観し絶望的になってしまうのは避けるべき。子どもでも自然放射線の1/10(年間100μSv)くらいなら、あまり神経過敏になることもないのでは。(←線量に注意!)

外部被曝と内部被曝の怖さに違いはあるか? 内部被曝のためのICRPの係数がそれほど間違っているとは思っていない。マヤック、テチャ川などのデータをみても、ICRPの評価に比べて内部被曝が数百倍から千倍も危険ということはない。

被曝による遺伝的影響は、広島・長崎データを見るかぎりでは、それほど大きくないというのが共通認識。晩発的影響の回避策をまったく講じなかった日本国政府。

ICRP:1Sv(1000mSV)被曝でがん死は5%。1mSvなら10万分の5。2万人に1人。「原子力利用の利益と比較し、この程度のリスクは社会として受け止めましょう」というのがICRPの立場。(←ちゃんと掛け算してる。これが常識的な考え方)

最もしっかりした評価は米国科学アカデミーの「ベアー報告」。1mSv被曝でがん発症は1万分の1。子どもは大人の10倍とすると千人に1人。

日本で2009年のがん死は約34万人、2%が自然放射線とすると6800人。福島事故による被曝影響が上乗せされても、よほどの大量被曝でなければ断定は困難。

事故直後に山下先生のラジオを聞いていて「子どもたちの甲状腺被曝が心配だ」とはひとことも言わなかった。“嘘は言ってないが、嘘つきのような発言だった”と思っている。

被曝影響の観察がむずかしい小児白血病。よくわからない“がん以外”の低レベル被曝影響。チェルノブイリ周辺の子どもの健康悪化が放射線被爆によるものかはっきりしていない。

どこまでの被曝なら引き受けられるか。答えはないが、自分の家族だったら、大阪の汚染は気にならない。東京の汚染は無視できないが娘が避難するほどではない。自分が福島市に住んでいても住み続ける。孫が福島市にいたら…。答えはないが、(続)

孫が福島市にいたら…。答えはないが、「しゃあないなぁ」と言えるのは「自然放射線+1ミリシーベルト」まで。

どこまでの被曝なら引き受けられるか。自分の家族だったら、東京の汚染は無視できないが娘が避難するほどではない。自分が福島市に住んでいても住み続ける。孫が福島市にいたら…。答えはないが、「しゃあないなぁ」と言えるのは「自然放射線+1ミリシーベルト」まで。

日比谷公園 0.09μSv/h(2012年3月)、自然バックグラウンドの約2倍。逆算すると、Cs137と134を合わせて2万Bq/m2(300Bq/kg)。核実験フォールアウトをはるかに超えている。

IAEAによると、放射性セシウムの濃縮係数は、イカ・タコが9、エビ・カニが50、貝類が60、魚が100。

実効半減期=1/((1/物理学的半減期)+(1/生物学的半減期))

①物理学的半減期②生物学的半減期③実効半減期
ヨウ素131①約8日②約120日③約7.5日
セシウム137①約30年②約100日③約99日
ストロンチウム90①約29年②約50年③約18年

Cs134とCs137を含む食品を食べた場合の実効線量係数
Cs134
  0歳  ~2歳  ~7歳 ~12歳 ~17歳 18歳~
 0.026  0.016 0.013  0.014 0.019  0.019
Cs137
  0歳  ~2歳  ~7歳  ~12歳 ~17歳 18歳~
 0.021  0.012 0.0096  0.01  0.013  0.013

等価線量 実効線量 組織荷重係数
肺の組織荷重係数は0.12
胸のエックス線検査で1mSv
実効線量=0.12mSv

食品の汚染レベルをどうとらえるか。個人の目安としては「10Bq/kgの食品なら、もうしゃーない」。子どもは汚染レベルが低いに越したことはないが、自分の子が小学生なら「10Bq/kg」。妊婦や乳幼児はゼロベクレルを目標に。「わからないところでは慎重になる」

体重1kgあたり10Bqの体内セシウム量が継続していたら、年間約30μSvの内部被曝に相当する。

汚染の不安が少ない白米を選ぶか、栄養価で優れた玄米を選ぶか。各自の判断になるが、50Bqkgまでなら玄米を選ぶだろう。(←前記の10Bq/kgと矛盾するが、そこまでして玄米から栄養を取る必要はないのでは?)

一家で1冊だけ選ぶならこの本がお勧め。避難や食品の目安もバランスが取れていると感じる。

院内報 2013年2月・3月号を掲載 健診画像も更新

2013年05月10日 | こども・小児科
アップするのが遅くなりましたが、院内報 2013年2月・3月号を掲載しました。

院内版感染症情報 ~2013年第14週(04/01~04/07)
ヒブ Hib・肺炎球菌・子宮頸がん予防HPVワクチンが定期接種に
その他の予防接種の変更点 BCGは1歳前まで MR3・4期は終了
福島の甲状腺検査、新出生前診断、インフルエンザ検査の考え方
原発・医療・メディア問題についての新しい書籍 待合室に
4月~5月の診療日、急病診療所、各種教室、相談の予定

http://www.kuba.gr.jp/info/ih.html

また、健診画像も更新しました。

http://www.kuba.gr.jp/kenshin/index.html

「喫煙する権利なんざガキと貧乏人と黒人とバカにくれてやるよ」タバコ会社幹部の証言(動画)

2013年05月10日 | 禁煙・防煙


1)
BBC WORLD "Smoked Out"
煙たがられるタバコ

1980年代はじめ、RJレイノルズ社は俳優ハリソンフォードのそっくりさん、デイブ・ゲーリッツさんをイメージキャラクターとして採用しました。
タバコに対する社会的風当たりが強まる中、若い層にアピールして新たな喫煙者を増やすのがゲーリッツさんに課せられた任務だったのです。

しかし、その当時喫煙者だったゲーリッツさんは、タバコ業界の姿勢に疑問を持つようになります。

「一服しているところに会社のお偉いさんがやってきて『なんだ、あんたタバコなんて吸うのか』って言うんですよ。で、皆さんは吸わないんですかって聞くと、『冗談じゃない、喫煙する権利なんざガキと貧乏人と黒人とバカにくれてやるよ』と言っていました」

ゲーリッツさんが救助隊のメンバーとして登場するこのタバコ広告は、狙い通りタバコに格好良さを与え、若者に大受けしました。

「『1日あたり数千人の子どもを喫煙に引きずり込むことが仕事だ』と言われました。『肺がんで死ぬ喫煙者の欠員補充だ。中学生くらいを狙え』とね」

これが事実であることは、RJレイノルズ社の社内文書からも明らかです。

2)
タバコ会社のこのような姿勢を非難する批判広告です。

「倒産しないために君たちのような子どもの喫煙者が必要だ。悪く思わないでくれ」とタバコ会社の主張を代弁したあと、「タバコ会社は金のためにどこまで堕ちていくのか」と結んでいます。

The tobacco industry,
HOW LOW WILL THEY GO
TO MAKE A PROFIT?

3)
Debiさん
「初めてタバコを吸ったのは13のとき。
それ以来、タバコを切らしたことは無いわね。
まあ、なんて言うか、双子の姉妹みたいな関係よ。
切っても切れない縁があるって言うか、友達みたいなもんかもしれない。
一服やると、親しい友達がギュッて抱きしめてくれるみたいな感じなのよね。
良いことばかりよ」

実際にはそうではありませんでした。
この女性、デビ・オースチンさんは、41歳のとき、のどの癌におかされました。
しかし、それでもタバコが手放せず、のどに開けた穴から吸っています。

「もちろんタバコは口で吸いたいけど、もうそういうわけにもいかないじゃない。
だから、のどに穴を開けてもらったのよ。
口にくわえているときみたいにプカプカ軽くふかそうとしてもできないから、スパーっと思い切り吸い込むことにしてんの。
(気管切開孔から喫煙)
豪快でしょ」