踊る小児科医のblog

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福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)調査・検証報告書の配布資料を読む

2012年02月29日 | 東日本大震災・原発事故
今のところ報告書はWEBでも冊子でも入手できないようです。作業員の証言を基にしたプロローグと、北村俊郎氏らによる特別寄稿だけでも読んでみたいと思うのだが。(非売品なのにPDFで公開できない理由は?)

・2012/02/28 記者会見にて調査・検証報告書を発表(福島原発事故独立検証委員会 - 日本再建イニシアチブ) 
配布資料

プレスリリースより抜粋

 財団・プロジェクトのウェブサイト(http://rebuildjpn.org)では、プロジェクト開始当時から原発事故に関する一般の情報提供を呼びかけた。それに応じた福島第一原発の現場作業員に直接会い、その証言をもとに、震災直後から翌日朝にかけて福島第一原発構内でいったい何が起きたのか、作業員の不安や焦燥を含め、状況を詳しく再現して、第一章に先立つプロローグとして掲載した。

 本文は4部構成となっており、事故の原因や被害の拡大をめぐる因果関係を「近因・中間因・遠因」のフレームワークで分析している。事故や被害の経緯を詳述する第1部、官邸や現地における事故への対応とその問題点を指摘する第2部、事故を起こした直接原因ではないが事故に大きな関係がある中間的な原因や遠因を歴史的・構造的に分析する第3部、原子力安全をめぐる国際的な環境や事故対応をめぐる日米関係を掘り下げた第4部となっている。

 調査・検証にあたったワーキング・グループメンバーに加えて、富岡町民で今も避難生活を余儀なくされている日本原子力産業協会参事の北村俊郎氏、医療系ITメディアm3.com編集長の橋本佳子氏にも寄稿を依頼した。両氏の「災害弱者」の実態についての調査結果を第2部の特別寄稿として掲載した。

 最終章では今回の事故の教訓を引き出し、危機管理の究極の目標は復元力であると指摘。「3・11」を「原子力防災の日」とすることを提案している。また巻末には、近藤駿介原子力委員長が菅首相など官邸中枢の依頼で、震災から2週間後の3月25日に作成した「最悪シナリオ」の全文を収録した。

【検証結果から】(内容の一部を抜粋)

「並行連鎖原災」 多数の原子炉や使用済み燃料プールが、互いに接近し過密に配置されていたことによる危機の拡大

「防護服姿の作業員はみな、 顔面蒼白だった」 地震当時、原発構内にいた作業員の生々しい証言。「この原発は終わった。東電は終わりだ」

環境汚染、低線量被曝の問題点 事故による環境汚染(水や食物などを含む)や、低線量被曝をめぐる議論の混乱と研究の現状

「最悪シナリオ」の公表 菅首相の意向を受け、細野首相補佐官(当時)が近藤原子力委員長に依頼し、3月25日に作成。その経緯を詳述する (巻末に資料全文を掲載)

官邸中枢のクライシスマネジメント 複合危機に際しての官邸内部の混乱。情報共有の遅滞と、その結果生じた疑心暗鬼のスパイラル

情報は誰のものか 危機時の情報公開や、国民に対するリスク・コミュニケーションのあり方。政府に対する不信とは裏腹に市民が頼りにしたソーシャル・メディアの状況

オフサイトセンターはなぜ機能しなかったのか 鳴り物入りでつくられながら、現地原子力災害対策本部はなぜ何の役にも立たなかったのか

SPEEDI公表の遅れ 公表はなぜ遅れたのか。公表の遅れがなければSPEEDIは住民避難に役立ったのか

生かされなかった航空機モニタリング 米エネルギー省は3月17日から19日にかけて無人航空機による空中モニタリングを実施した。日本にも備えはあったが、残念ながら生かされなかった

住民避難 避難指示は適切に出されたのか。自治体はどのような対応を行ったか。また避難の実情はどのようなものだったか

史上初めて起きた病院のまるごと避難 避難に際して多くの犠牲を生んだ病院責任者による証言。一連のメディア報道の問題点をめぐる詳細な検証

安全をダメにした「安全神話」 「原発は安全である」という漠然とした社会的了解の自縄自縛状態が、安全性の向上を妨げた

アクシデント・マネジメントの不備 万全の準備をしていたはずの原発安全対策のどこに、どんな盲点があったのか。技術的な視点から詳しく検証

安全規制ガバナンス 今回の事故で露呈する結果になった長年にわたる多元的な原子力行政の2元推進体制と2元規制体制の問題点

安全神話の歴史的背景 中央と地方の二つの「原子力ムラ」。安全神話を支えた利益共同体「ムラ」が誕生した背景と現実

B.5.b ―海外からの警告 9・11同時多発テロを教訓に、米NRCは新たな規制条項を追加した。これは日本にどう伝えられたのか

国際的な原子力規制 安全規制の優等生と言われた日本の電気事業者が国際社会からの安全性不備の指摘に真剣に向き合わなかった事実とその歴史的な経緯

危機における日米同盟 日米の特別な関係を通じて行われた事故対応。省庁横断的アプローチの実現(whole of government approach)

復元力(レジリエンス) 2007年の中越沖地震の柏崎刈羽原発の被災を教訓につくられた免震重要棟が今回の危機対応の中心になった。国と組織の復元力を目指すためには

(以上、配布資料より)

■ 報告書の入手方法につきまして

記者会見後、多くの方々から、報告書の入手方法についてお問い合わせを頂戴しております。当プロジェクトにご関心をお寄せ頂き、本当にありがとうございます。

当財団は非営利で運営しておりますことから、今回の報告書は非売品として限定部数作成致しました。会見後に在庫が払底している状態です。皆さまからリクエストを頂戴しておりますところ、すぐに報告書をお手元にお届けすることができず誠に申し訳ございません。

「国民の視点からの検証」という報告書の性質上、広く皆さまにお読み頂きたく思っておりますので、なるべくお求めやすい価格での出版や、ウェブでの公開など、様々な方法を現在検討中です。
追って、本ウェブサイトで詳しい情報をご案内致します。

(HPより引用)

追記:書籍と電子書籍が有料で発売されるとのことで、PDFの無料配布は無いようです。

弘前大学が一関周辺の放射能汚染を把握しながら公表しなかった責任=社会的・倫理的・学術的

2012年02月29日 | 東日本大震災・原発事故
「弘前大・床次(とこなみ)眞司教授は4月11日に一関周辺の放射能汚染(ホットスポット)を実測しておきながら自治体にも住民にも知らせず、9月に論文を公表するまで手元に隠していた」
この問題のポイントとして、1)一関ホットスポットがいつ生じたか、2)大学の研究者が放射能汚染データを知りながら論文発表まで公表せず被曝を放置したことのついての社会的・倫理的・学術的な問題、3)フクシマ事故後も学者が原子力事業者の提供番組に出演して原子力の安全PRに務めるといういわゆる「御用学者」問題の3つがあげられると思う。3)と2)は互いに関連しているので一つにまとめても良いかもしれない。

twitterでの経緯を群馬大・早川由紀夫教授がtogetterにまとめてくれているので、まずそちらをご覧下さい。
 ↓
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一関の汚染が3月12日ではなく20日だったと修正する過程すべて
http://togetter.com/li/265013
・COACHの傘を博物館に入れよう。
・副次的話題は科学者の利益相反。自分の論文業績を積み上げるために情報を秘匿して社会に不利益をもたらしてよいかの問題。
http://www.nature.com/srep/2011/110907/srep00087/full/srep00087.html
by HayakawaYukio

放射能汚染地図(六訂版) 早川由紀夫の火山ブログ
http://kipuka.blog70.fc2.com/blog-entry-473.html
--------------------------------------------------------------------------------------------------------

この件についての私自身の関わりは次の通りです。上記のtogetterにも一部収録されていますが以下にまとめておきます。なお、twitter文中でNatureと表記していますが、論文が掲載されたのはNatureのScientific Reportsです。

・9月の「浪江町の避難は妥当」報道で弘前大・床次(とこなみ)眞司教授のコメントに大きな疑問を感じ、原論文にもあたってみたはずだが、一関ホットスポットを示すグラフを見逃したか意味を把握していなかった。その後、このニュースについては失念していた。
・2/25(土)に放送された青森朝日放送の「ツカエル放射線講座」を録画し、2/27夜に見てその問題点に気づき、twitterに投稿。
・2/28に一関ホットスポットに関して早川教授にtwitterでmentionしたところ、早川マップの改訂へと繋がった。(上記togetter参照)
・その中で、科学者の利益相反と社会的責任についても問題視され、早川先生の1万人以上のフォロワーにも広められた。

1)の一関ホットスポット形成に関する考察については私が寄与することはできないのですが、2)3)についてはもう少し具体的にどうするか考えたいと思う。

<twitterの関連発言>

2011年09月08日(木)

RT @asahi_apital: 本日の朝日新聞朝刊でお伝えしている記事です。●年間最大68ミリシーベルトの外部被曝 浪江町の住民 http://t.co/lKjLv24 記事中、「英科学誌ネイチャーのサイエンス・リポートに論文」とありますが、原文は http://t.co/LUudmS1 をご参照下さい。
posted at 10:41:21

弘前大床次教授「避難することで被曝量を3分の1に減らすことができた。政府の避難指示は妥当だった」←避難指示は遅過ぎたし避難先で更に被曝を重ねた。浪江町のデータを文科省が隠していたのはNHKで検証済み。 年間最大68ミリシーベルトの外部被曝 http://t.co/2CE9OHn
posted at 14:14:34

2012年02月28日(火)

弘前大の床次(とこなみ)眞司教授。日本原燃提供のツカエルくんの番組(青森朝日放送)に出演して「α線は紙で止められる」と頑張ってるけど、残念ながら身体の中には止めてくれる紙はない。ロケは六ヶ所原燃PRセンター。
posted at 00:42:56

ツカエルくん「ベクレルやキュリーのように床次(とこなみ)先生の名前が単位になる日が来るってことも?」弘前大・床次眞司教授「そうですね、そうなれるように頑張りたいと思います」 ( ゜д゜)
posted at 00:43:41

弘前大・床次眞司教授。番組の中で得意そうに紹介しているネイチャーに載ったという測定結果。当時、報道された時に「えっ弘前から福島まで車の中で放射線量を測っただけでネイチャーに載るの?」と驚いた。。(Natureには利益相反のチェックはないのか)
posted at 00:44:57

ナレーション「事故現場から遠ざかるにつれて放射線量が低くなっていて、時間が経つほど下がっていることがわかる」床次眞司教授「風で運ばれることもあるので離れれば絶対安全ということでもありませんが、距離や時間によって影響は小さくなる」と言訳がましく言っているが(続く)
posted at 00:51:35

福島から150-200km。3/16-4/11間ではね上がっていて9/28でも下がっていない。このグラフの再重要ポイントは「距離が離れても安全ではないし一旦汚染されると殆ど下がらない」。どうやったら「距離と時間で安全に」と読めるんだ。 http://t.co/d4aYkDB3
posted at 00:57:49

弘前大・床次眞司教授はこのデータを4/11の測定時にリアルタイムで知っていたが、一関・平泉ホットスポットについて何ら情報を公開しようとせず、住民に対して警告を発しようしなかった。(Natureに載せるために隠していたのか?)
posted at 00:59:40

弘前大・床次眞司教授「正しい知識を持ち、正しく怖がる」福島事故後のリスクコミュニケーションでこれほど失敗した言葉もない(寺田寅彦は怒っているだろう)。日本原燃から出演料もらっていて「私の言うことを正しく信用しろ」と。 http://t.co/C8Wd9go9
posted at 01:01:11

青森県内では福島原発事故などなかったかのように、原子力安全PR番組が事故前と変わりなく放映されてます。しかし、カエルのキャラクターでこれくらいムカつく奴も珍しい。(腹が立つのはわかっているので見ないようにしていたのですが)
posted at 01:01:34

The time variation of dose rate artificially increased by the Fukushima nuclear crisis http://t.co/UQwSgVbn
posted at 01:22:52

早川マップ@HayakawaYukioに一関ホットスポットが載ったのは6月の改訂版。一関市は早川先生に抗議した。http://t.co/l0g6Tu66 弘前大・床次眞司教授は4/11に実測していたが公表せず、住民に知らせようとしなかった。http://t.co/B4NhttJm
posted at 10:40:54

弘前大・床次(とこなみ)眞司教授、Nature論文の測定グラフ。3/16と比較して4/11に奥州・大崎間で跳ね上がっている。http://t.co/v1Jc6AWk
posted at 10:41:41

弘前大・床次論文が最初に報道されたのは9/8「年間最大68ミリシーベルトの外部被曝 浪江町の住民」http://t.co/fzrFPjFL 床次教授は「避難することで、被曝量を3分の1に減らすことができた。放射線防護の点から、政府の避難指示は妥当だった」と政府を正当化するコメント
posted at 22:34:29

RT @HayakawaYukio: 「一関の汚染が3月12日ではなく20日だったと修正する過程すべて」をトゥギャりました。 http://t.co/qr0vA5Mh
posted at 12:11:14

インフルエンザさらに減少 9人/第8週(2/20-26) 警報解除レベルに 八戸市(私家版)

2012年02月25日 | こども・小児科
先週後半にやや足踏みしましたが、今週は更に減少して9人となり、警報解除の10人/週・定点を下回りました。昨日の急病診療所でも急病診療所でも内科はまだかなりあるようですが、小児科はガラガラでしたので、当院周辺地域だけでなく八戸市内は同じ傾向と考えられます。



なお、先週1人検出されたB型は、今週は2人(+家族で陰性だった1人)と増加傾向にあります。先週は洋野町種市でしたが、今週は八戸市内でも検出されています。A/H1N12009は当院では検出されていません。

インフルエンザに替って、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)が園などで流行しており、ロタウイルスと思われる感染性胃腸炎も見られ始めています。

インフルエンザ横ばい~微増 21人/第7週(2/13-19) 八戸市

2012年02月18日 | こども・小児科
今週前半の流れで「さらに減少」とお伝えしましたが、16日に一時的に増えて、また昨日今日は元の減少傾向に戻った雰囲気です。結果的に、前週(18人)から微増となり、先週1日少なかったことを考慮すればほぼ横ばいの人数と考えられます。



今シーズンの流行状況を見ていると、学校・園やクラスなどで流行に大きなムラがあり、流行っているところは流行ってるけど、一人もいないところも結構多い。地域差もかなりありそうですが、当院だけではどこがどうということは言えません。

そう言う意味では、まだこれから局地的に増える可能性はありますが、全体としてはダラダラしながら減っていくことには変わりないでしょう。

なお、今までは陽性例は全例A型(A2009以外=A香港型)でしたが、今週初めてB型が1例検出されています。何度もお伝えしているように、流行の後半にB型との混合流行になることが多いので、今後B型の検出状況にも注意が必要です。

八戸市の回答←毎日5千BqのCsを無視できるか決めるのは市長ではない 住民説明会の意味なし

2012年02月18日 | 東日本大震災・原発事故
八戸市の回答に対するコメント

時間が取れないので、思いつくまま追加していきます。

まず環境中に放出される総量を問うているのに1日あたりで回答している。もし1日5000ベクレル(瓦礫50トンあたり)だとしても、総量がどのくらいか想定していない。もしくは想定しているのに意図的に回答していない。(こういうのが不信感を増幅させる原因)

もし総量が1万トン(200日分)だと、放射性セシウム100万ベクレルが環境中に放出されることになる。福島には1平方メートルの土壌に100万ベクレル降り積もったところもあるのだから、八戸の街に200日かけてバラまくことは「無視できる」と言えるのか。

この数字(100万ベクレル/1万トン)を住民に出さずに受け入れを決めておいて、住民説明会を後で開催するというのは、表面的な手続きを踏んで「説明して納得させる」という一方的なものではないか。

重要なファクターである風向きと地形を考慮していない。これは政府がSPEEDI情報を隠して同心円で避難を呼びかけていたのと同じ論理。

(つづく)

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八戸市の震災瓦礫処理受け入れに関する公開質問状(2012年2月16日)
http://blog.goo.ne.jp/kuba_clinic/e/80b12b612020e0ed595f3d59753ba50e

八戸市からの回答 「市長への手紙」について(2012年2月17日)
http://blog.goo.ne.jp/kuba_clinic/e/e068b3da92ccd139064bc71d4457f01f

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八戸市「岩手県の震災がれき20ベクレル問題」市長へのメール 情報開示と住民説明会の要望(2011年9月16日)
http://blog.goo.ne.jp/kuba_clinic/e/3893033fe260862f9a8ad37501fcff03

八戸市からの回答「H23.09.16ホームページからのお問い合わせ『「岩手県の震災がれき20ベクレル問題」住民説明会開催の要望』への回答について(2011年10月11日)
http://blog.goo.ne.jp/kuba_clinic/e/2675cbb523eae643fb4a2d4915c1ec07

八戸市からの回答 震災瓦礫焼却処理 【拡散希望】2/19住民説明会でご活用下さい

2012年02月18日 | 東日本大震災・原発事故
「市長への手紙」について(回答)

 八広 第 195 号
 平成24年2月17日

久 芳 康 朗 様

八戸市長 小 林 眞

「市長への手紙」について(回答)

 平成24年2月16日に受理しました「市長への手紙」について、次のとおり
お答えいたします。

1.セシウムの物理化学的性質として、融点が28.4℃、沸点が671℃となっ
 ております。しかし、災害廃棄物に含まれると思われるセシウムは塩化セ
 シウム(融点646℃、沸点1300℃)などの化合物の形態をとっていると考え
 られます。

2.八戸セメントにおける瓦礫の焼成温度は約1400℃であり、焼成時に瓦礫
 に含まれるセシウムは気化するものと思われます。

3.八戸セメントのデータによると、排ガス処理設備として重力沈降室電気
 集塵機を用いており、バグフィルターと同等の除塵能力があるとのことで
 す。気体状態のセシウムは捕集できませんが、セシウムは焼成工程の高温
 で酸素や水分等と反応し、その後の冷却工程で煤塵に吸着されながら煙突
 入口に向かうため、電気集塵機の入口部分では90℃~140℃程度まで温度
 が下がることから、ほぼ全てのセシウムが固体の状態で煤塵に凝集するた
 め、電気集塵機により99.9%が捕集されます。

4.環境省による電気集塵機、バグフィルターによる除塵率についての実証
 データは「東日本大震災により生じた災害廃棄物の広域処理の推進に係る
 ガイドライン」(平成24年1月11日改訂版)の30ページに掲載されておりま
 す。環境省ホームページhttp://www.env.go.jp/jishin/index.htmlよりご
 確認ください。
 このガイドラインによると、電気集塵機による除塵率は99.47%、バグフ
 ィルターによる除塵率は99.99%とされております。

5.100Bq/kgの災害廃棄物を1日50t焼却するとして、1日500万Bqの放射性
 セシウムが生じると計算されます。

6.八戸セメントの電気集塵機のデータに基づき、捕集率を99.9%として計
 算すると、0.1%の5000Bq程度のセシウムが放出されることが予想されま
 す。3で回答したとおり、セシウムは気化状態ではなく、この5000Bqが排
 ガス中(1日あたり9600万㎥)に含まれた状態で拡散します。仮に、1年間こ
 の排ガスだけを呼吸し生活した場合でも、人体への影響は0.135μSv/年と
 試算され、年間追加被曝量1mSv/年の1万分の1程度であることから、人体
 への影響はほぼないと考えられます。こどもについては同様の計算方法で
 0.089μSv/年となります。

 a.上記のとおり実施しております。大気の流れによる拡散のシミュレー
 ションは条件設定が非常に複雑であり、予測に必要なデータが十分にな
 いため実施しておりません。
 b.詳細をつめていく上でデータが揃ってきたため計算を行ったものであ
 り、今後公表については検討してまいります。
 c.実施しております。
 d.この試算はすべて研究機関による科学的根拠をもった数値によるもの
 であり、十分な信用性がおけると考えます。(原子力安全研究協会の
 データによる)
 e.環境省の災害廃棄物安全評価検討会の資料やその検討結果を受けて示
 された環境省の廃棄物処理の指針等を参考にしました。

7.八戸市内における過去の測定データがないことから、青森県が設置して
 いる他地点での測定結果を参考に判断しております。青森県では、福島
 第一原子力発電所の事故の影響が皆無ではないとしても、ごく微量である
 ため健康に影響はありませんとしています。八戸市では、青森県内に20か
 所設置されているモニタリングポストにおける平成18年~平成22年の測定
 結果の最高値が0.102μSv/hであること、また、それらの中で八戸市にもっ
 とも近い三沢市役所におけるモニタリングの結果の最高値が0.083μSv/h
 であることから、八戸市内も平常時の自然放射線量が同程度であるものと
 推察しております。八戸市で3月30日から測定を行っているモニタリング
 ポストのデータは0.022μSv/h~0.068μSv/hで推移しているため、同様の
 認識をしております。

8.震災がれきの受入れについては、昨年11月18日に『東日本大震災により
 生じた災害廃棄物の広域処理の推進に係るガイドライン』が改訂され、広
 域処理における安全性について一定の指針が示されたことから、11月24日
 の市長記者会見において受入れを表明したところです。
 この間、八戸市には市民等から県外災害廃棄物の受入に関し、さまざま
 なご意見、お問い合わせ等が寄せられております。八戸市はこれら市民の
 方々の反応について慎重に見極めをしてまいりました。これまで八戸市に
 寄せられた意見等ですが、全部で79件、うち受入に反対が64件、賛成が12
 件、その他3件でありました。受入に反対の方の内訳については、八戸市
 在住の方33件、市外在住の方14件、不明17件となっており、反対意見の多
 くが放射性物質に対する不安をあげておりました。
 また一方で、八戸市は市民の代表でありかつ行政のチェック機能を有す
 る八戸市議会の意向についても伺ってまいりました。
 各会派からのご意見ですが、受入に反対と言う声は聞かれず「市民の安
 全性確保は何よりも大事なことであり、八戸セメントで十分に安全に処理
 することができるのであれば、できるだけ協力したい。」などのご意見を
 いただいたところであります。
 このような事を踏まえ、市としての受入を表明したところであります。

9.県外災害廃棄物の受入については、いろいろなご意見があるものと思っ
 ております。
 しかしながら、もっとも大事なことは八戸市がどのような形で受入をし
 ようとしているのか、そして、その結果放射性物質がどのようなレベルで
 発生することが予想されるのかということを冷静に見極め、判断すること
 だと考えております。
 今回の八戸市の受入の考え方は次のとおりです。
 ・人の健康への影響のリスクが無視できる、放射性物質として取り扱う必
 要のないものを受け入れする。
 ・セメント工場での再生利用を行うことにより、焼却灰などの廃棄物は発
 生しない。
 ・排水が放射性物質で汚染される心配がない。
 ・排ガスについては、受入した放射性物質の99.9%が集塵機により除去さ
 れる。
 以上の結果、排出される放射性物質の試算でありますが、国が定める追
 加被ばく線量1mSv/年の1万分の1程度となり、人の健康への影響を無視で
 きる、ごく微量であると判断しているところです。
 また、市民への情報提供につきましては、今後も報道機関等を通じて速
 やかな公開に努めてまいります。

【1~7に関する問合せ先】 環境部 環境保全課 ℡ 43-2111 内線287

【8、9に関する問合せ先】 環境部 環境政策課 ℡ 43-2111 内線676

 「市長への手紙」に関する問合せ先
 総合政策部 広報統計課
 ℡ 43-2111 内線142

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(この回答に対するコメントは次のentryをご覧下さい)

「さようなら原発・さようなら核燃 3.11 青森県民集会」2012年3月11日13時~青い森公園 HP開設(リンク)

2012年02月16日 | 東日本大震災・原発事故
2012年3月10日(土) 講演会
「3.11 さようなら原発青森県集会」
場所:青森市文化会館・大会議室
講師:豊田直巳さん(フォトジャーナリスト)
テーマ:「イラク・チェルノブイリ・福島」
時間:13:30~16:00
主催:さようなら原発青森県実行委員会
事務局:青森市青柳1丁目3‐14
TEL:090-8929-9531 担当:日土/ FAX:017-777-3238

2012年3月11日(日) 集会&ウォーク
「さようなら原発・さようなら核燃 3.11 青森県民集会」
場所:青い森公園(県庁となり)
時間:13:00 開場 青い森公園(青森県庁となり)
 加藤登紀子さんコンサート
 (福島集会よりネットにて同時中継・音声中心)
 藤波心さん( タレント) からのビデオレター(音声中心)
13:30 開会
スペシャルトーク:
山本太郎さん(俳優)
鎌田慧さん(ルポライター・ ノンフィクション作家)
「30年間、反原発を訴えて」
リレートーク:(県内外の方から取り組みや思いを語って頂きます)
 1.大間原発訴訟の会(函館市)
 2.青森県農業者政治連盟(青森県)
 3.花とハーブの里(青森県六ヶ所村)
 4.豊かな三陸の海を守る会(岩手県)
 5.福島県保険医協会(福島県)
14:46 震災追悼式(青い森公園)
15:00 ウォーク
新町通りを大行進します(お手製のプラカードなど宣伝物の持ち込みOKです)

主催:さようなら原発・核燃 3.11青森県民集会実行委員会
事務局:青森市松原1‐2‐12 青森県保険医協会館内
TEL:017-722-5483/FAX:017-744-1326
Mail:a-hoikyo@ahk.gr.jp

http://www.ahk.gr.jp/sayonara-genpatsu/1000action/

瓦礫広域処理について小出裕章先生のお話(2/8)で勉強 「みんな楽しくHappyがいい」へのリンク

2012年02月16日 | 東日本大震災・原発事故
被ばくという事「瓦礫広域処理についての勉強会」その1小出裕章氏・大阪維新の会2/8(動画&内容書き出し)
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-1514.html

放射能のゴミ人形峠の場合「瓦礫広域処理についての勉強会」その2小出裕章氏・大阪維新の会2/8(動画&内容書き出し)
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-1524.html

福島第一原発から出た汚染 「瓦礫広域処理についての勉強会」その3小出裕章氏・大阪維新の会2/8(動画&内容書き出し)
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-1525.html

では、どうすればいいのか? 「瓦礫広域処理についての勉強会」その4小出裕章氏・大阪維新の会2/8(動画&内容書き出し)
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-1526.html

質疑応答 「瓦礫広域処理についての勉強会」その5完 小出裕章氏・大阪維新の会2/8(動画&内容書き出し)
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-1527.html

動画を全部見ている時間がないのですが、ありがたいことにブログ「みんな楽しくHappy♡がいい♪」に全文が掲載されているので、これから読んでお勉強。

小出裕章先生の話は、MBSたねまきジャーナルでチェックするようにしています。
 ↓
小出裕章(京大助教)非公式まとめ
http://hiroakikoide.wordpress.com/

八戸市の震災瓦礫処理受け入れに関する公開質問状 【拡散希望】2/19住民説明会出席の方はご利用下さい

2012年02月16日 | 東日本大震災・原発事故
本日朝、市長宛にメールとFAXで発送しました。遅くなってしまったので18日までに回答が返ってくる可能性は低いかと思いますが、この質問状をネット上やメディアに公開したことは本文中にも書きましたので、説明や返答に少しは影響するのではないかと期待しています。もし18日朝までに回答があった時には、午後までにブログに掲載します(同日夕から不在のため)。19日の住民説明会にご出席を予定されている方は、参考にしていただければ幸いです。

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                  2012年(平成24年)2月16日
八戸市 小林 眞 市長

   八戸市の震災瓦礫処理受け入れに関する公開質問状

                    八戸市湊高台 久芳康朗
              くば小児科クリニック院長 小児科医
              八戸市立青潮小学校・是川小学校校医

八戸市民の一人として質問します。2月19日の住民説明会には都合により出席できませんが、ここにあげた質問項目は多くの市民が疑問に感じていることと考えられ、当日も同じような質問が出るはずです(そちらでも想定問答に入っているものと思われます)。出席される方にも、出席できない方にも、共通の認識としてあらかじめ知っておくことは説明会の議論を進める上でも有益と考えられますので、ここに公開質問状として送らせていただきます。

直前になって申し訳ありませんが、ごく簡潔にで結構ですので、できましたら18日(土) 朝までにご回答下さいますようお願い申し上げます。この質問状はインターネットのブログ、twitter、facebookなどを通じて広く市民・国民にお知らせし、同時にメディア各社にも通知させていただきます。ご回答をいただけましたら、同様にネットを通じてお知らせしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。

質問

1)セシウムは何度で気化しますか。

2)瓦礫は何度で焼却しますか。その時に、瓦礫に含まれるセシウムは気化しますか。

3)フィルターはどのような種類のフィルターで、どのくらいの大きさの粒子を捕捉できますか。気化したセシウムは捕捉できますか。フィルターを通過するときの温度は何度ですか。その際に、セシウムはどのような様態をとっていますか(ガス、粒子など)。

4)環境省はフィルターで放射性セシウムを99.99%除去できると主張しているようですが、それは本当ですか。実証データはありますか。

5)瓦礫に含まれる平均の放射性セシウム濃度と焼却する瓦礫の総量から、放射性セシウムの総量をどの程度の範囲で想定していますか。

6)その場合に、セシウムの全量のうち何パーセントが灰に残り、何パーセントが気化し、何パーセントがフィルターで捕捉され、何パーセントが環境中に放出され、その量はどのくらいになるのでしょうか。環境中に放出されたセシウムは、季節や風向きによってどの方向に飛散し、どこにどれくらいの量が降下し、その下にいる子どもがどの程度吸い込むのでしょうか。モデル計算の結果をお示し下さい。

 a.このシミュレーションは受け入れを検討する際には必須の要件と思われますが、実施していますか。
 b.もし実施したのであれば、なぜ市民に公開しないのですか。
 c.もし実施していないのであれば、それはどうしてですか。
 d.そもそも、このシミュレーションの元になるような科学的なデータは存在しますか。
 e.もしそのような実証データがないのであれば、受け入れを決定した根拠は何ですか。

7)八戸市は学校や公園の放射線量を測定して公開した際に「空間放射線量率は、市庁舎前モニタリングポストによる測定結果と同程度で、自然放射線量の変動範囲にあるため、異常は認められませんでした」と断定していますが、その根拠はどこにあるのでしょうか。

 a.そもそも、同じ測定機により同じ地点で事故の前後で測定して比較したわけではないのに「異常は認められない」と判断することは不可能と考えられますが、どうしてそう判断できたのですか。

 b.測定結果は0.02~0.07μSv/hであり、PA-1000 Radiであれば測定誤差はさほど大きくないはずですので、信頼できる値という前提で質問します。日本地質学会のホームページなどを見ると、八戸の自然放射線量は0.04μSv/h以下と想定され、当方で所持する測定機(DoseRAE2)でも0.03~0.05μSv/hという測定値が観察されています。八戸よりも大きな汚染のあった東京近辺でも(1月に茨城県に行った際に測定しましたが)、0.1μSv/h前後の値のところが多く、0.02と0.07では大きな違いがあり「自然放射線量の変動範囲」と断定的に判断することは不可能です(当方では0.07という値を八戸では観測していません)。当然、地質や岩石などの条件によって相当程度の範囲で変動するものと考えられますが、その条件の1つに福島原発事故による汚染を含めないことは恣意的な判断と言わざるを得ません(福島事故後の政府や東電の態度とどこが違うのですか)。福島原発事故による影響が「全くなかった」と言い切れる根拠をお示し下さい。

8)瓦礫の受け入れを決定した後に住民説明会を開催していますが、順序が逆ではありませんか。行政の正当な手続きに則っていますか。市民への情報公開と説明責任を果たしていると言えますか。これは小林市長の指示と責任によるものですか。

9)被災地の瓦礫焼却処理について全国で大きな問題になっています。そもそも処理方法について、焼却がベストの方法なのか、他の選択肢はないのか、現地や福島原発周辺などで国費によって大規模な処理施設を作ることはあり得ないのかなど、メディアの画一的な報道では全く判断がつきません。まして、八戸市からは何の情報も発信されておりません。八戸市では市内の瓦礫処理ですら能力を超えているものとも報道されています。瓦礫を受け入れるか否かという二者択一ではなく、根本的・基本的な情報や認識を共有した上で、市民に選択肢を示して判断を仰ぐべきと思いますが、見解を求めます。

意見と要望(回答は不要です)

1)瓦礫受け入れの決定を全て白紙に戻すこと
2)様々な立場の市民による検討委員会を組織し、一から検討し直すこと。検討委員会の委員は公募を半数とすること

 当方では、9月16日に「八戸市「岩手県の震災がれき20ベクレル問題」市長へのメール 情報開示と住民説明会の要望」(http://blog.goo.ne.jp/kuba_clinic/e/3893033fe260862f9a8ad37501fcff03)を送らせていただき、10月11日に八戸市より「H23.09.16ホームページからのお問い合わせ『「岩手県の震災がれき20ベクレル問題」住民説明会開催の要望』への回答について」(http://blog.goo.ne.jp/kuba_clinic/e/2675cbb523eae643fb4a2d4915c1ec07)とのご回答をいただきました。上記はいずれもブログに公開しております。できればもう一度お読みいただき確認していただきたいと思いますが、野田村からの瓦礫受け入れについて反対の立場はとっておらず、八戸市民、わけても焼却場周囲の子どもたちの健康に影響がないことを前提として、可能な限り復興の手助けをしたいという意思は変わりません。実際に野田村にも足を運んで、被災の現状や積み上がった瓦礫もこの目で見てきております。

 しかし、要望した「情報開示と住民説明会」を全く行わないまま、国のゴーサイン(100ベクレル基準)を錦の御旗にして決定した経緯に対しては、当初書いた「小林市長の基本姿勢を支持する」という判断を180度変えました。

 八戸市も野田村も放射能で汚染されています。その程度は0.03か0.07かという程度で大差なく、0.2とか0.5(関東)、あるいは1.0(福島)と比べれば、これだけの大汚染時代の中でこの程度で免れたというだけのことです。

 しかし、「放射能汚染は集めて閉じ込めて、可能であれば元に戻すことが原則で、汚染地域から非汚染地域へ移すことはあってはならない」と最初のメールに書いた原則は何ら変ることはありません。この原則を無視した国や多くの自治体の態度が現在の大きな混乱を招いているのです。八戸市の姿勢に対する不信も同じところから生じています。

 八戸セメントからの煙がたとえ青潮小・湊高台方面に毎日流れたとしても、春の強風で地表の放射性物質が巻き上げられるのと比べて大差ないのかもしれません(八戸程度の汚染であれば)。少なくとも私自身は、二人の子どもが八戸を離れて(関東のホットスポットに住んでおり)、夫婦二人だけであれば大きな心配はしていませんが、風下に暮らしている小さな子を育てている夫婦は心穏やかではいられないはずです。

 ただデータを測定して差がなかったから異常がないというのは、何の説得力もありません。少なくとも、質問状に書いたようなシミュレーションを実施して(これはおそらく不可能だと思われますがそれならそうと認めて)、現在の汚染状況を認め、それとの差がわからない程度の放出があるがそれを容認するのかどうかという市民への率直な態度であれば話し合う余地もあり、むしろ理解が得られたはずだと思います。

 現在の政府への不信(政府の言うことが信じられないのではなく、政府が言うことだから信じられない)がどこから生じているのか、それが八戸市と重なるところはないのか、もう一度立ち止まってお考え下さい。

 なお、もし要望したような検討委員会が構成されるとしても、私自身は公募委員に応募するつもりはありません。同様の意見を持つ信頼できる市民の方にお任せしたいと思います。

インフルエンザ検査が陰性のときの判断が流行時と非流行時で大きく違う理由 <数字で説明します>

2012年02月13日 | こども・小児科
インフルエンザの迅速検査で陰性だと「あーインフルエンザじゃなかった、良かった」と喜んだり、陰性なのに「まずインフルエンザと判断して間違いないので薬を出します」と説明するといぶかしげな顔をする人が後を絶ちません。

と思ったら、これはtwitterに書いたのですが、隣県のある病院で、インフルエンザ検査陰性の人には自費じゃないとインフルエンザの薬を出せないなどという信じられない診療をしているところがあることがわかりました。

なぜ「インフルエンザの検査は補助的な手段でしかない(必須ではない)」と言い続けているのか。順に説明します。



この表は医療関係者なら必ず学んだはずです(私も毎回書き出してみないと思い出せないのですが)。

感度は、インフルエンザの人が検査で陽性になる割合
特異度は、インフルエンザではない人が検査で陰性になる割合

陽性的中率は、検査で陽性だった人が実際にインフルエンザである割合
陰性的中率は、検査で陰性だった人が実際にインフルエンザではない割合

いずれも高い方が良いのですが、全て100%などという検査は世の中には存在しません。

ややこしく感じますが数字を入れてみればわかります。

インフルエンザの迅速検査が「感度70%・特異度99%」だったとします。(本来感度はもっと高いのですが、臨床の場では検査のタイミングが早かったり遅かったり、その他の要因などで下がるので、この程度と仮定します)

陰性的中率に注目して下さい。



流行時<900人がインフルエンザ・100人がインフルエンザ以外>には、陰性的中率は27%しかありません。つまり、検査で陰性であっても、その3/4はインフルエンザなのです。



これが非流行時<100人がインフルエンザ・900人がインフルエンザ以外>だと、陰性的中率は97%まで飛躍的に上昇します。検査で陰性であっても、実際にインフルエンザなのは3%しかいません。

流行時には更に早期に受診して検査も早くなるため、感度を50%にまで落としてみます。





「感度50%・特異度99%」では、
 流行時  陰性的中率 18%
 非流行時 陰性的中率 95%

となり、非流行時の陰性的中率の低下はさほどではありませんが、流行時の陰性的中率は27%から18%まで更に大きく落ち込みます。

要するに「流行時には検査陰性でもインフルエンザである可能性が高く、非流行時には検査陰性ならインフルエンザの可能性は低い」ということになります。

一番の情報は、流行状況です。

ですから、流行時で典型的な症状や経過などがあれば(更にクラスや家族の感染者の情報があれば)、検査は不要、検査は流行の始まりや終りの時期に意味が大きいと言い続けてきたのです。

大体おわかりいただけましたでしょうか。

ところで、上記の計算では<インフルエンザ900人・非インフルエンザ100人>などという数字が既知のものと仮定していますが、当然のことながら実際にはこの数字はわかりません。

当院も感染症サーベイランスの定点医療機関に指定されていますが、インフルエンザとして報告した数字には、検査陰性の人や検査をしなかった人(家族内感染など)も含まれています。

ここで自己矛盾に陥るようにも思われます。「陰性のときの判断」は流行状況によって決めると言うが、流行を示すデータはその「陰性のときの判断」によって変わって来るのです。

実際にはそのようなことは自明で、症状や経過、所見(典型的な場合は顔を見ただけでわかります)、患者の増え方(単に数だけでなく、年に1回しか受診しないような子が増えてくるなど)、全国や地域の流行状況などを合わせて判断するので、さほど難しいことではありません。

ただし、小さい子や典型的でない症状など、陰性の時に他の感染症との鑑別に注意が必要な場合があります。

インフルエンザかと思ったら麻疹(はしか)だったとか(今は麻疹がほぼゼロになったのでその心配は少なくなりましたが)、ウイルス性胃腸炎の流行時に嘔吐や発熱で始まる急性虫垂炎を見逃したといったことがないように注意しなくてはいけません。 ←この部分は自戒です

インフルエンザ半減 18人/週(第6週) 警報レベルは維持 あと1~2週か

2012年02月13日 | こども・小児科
先週(2/6-2/12)は診療日が1日少なかったことを差し引いても、半減と言って差し支えないでしょう。



インフルエンザの流行はピークを挟んで前後3~4週ですから、今月下旬には下火になるものと予想されます。

警報は30人/週で発令され、10人/週を下回るまで解除されませんので、当院のデータでは今週か来週になるものと思われます。

なお、例年流行の後半にかけてB型やA型の他のタイプ(今年の場合は現在A香港型が流行しているので、A/H1N1 2009)との混合流行になったり、春先に別の流行が起きたりすることがありますので、下火になった後も引き続き注意は必要です。

青森県や八戸市のデータは第5週まで増加傾向が続いていますが、これは遅れて流行が始まった地域によるものと思われます。ここに書いたのはあくまで当院のデータですので、各地域、各学校・園での流行状況にご注意下さい。

八戸市学校保健会功労賞を受賞して 福島原発事故の政府対応と教育現場の責任

2012年02月07日 | 東日本大震災・原発事故
青潮小学校校医
是川小学校校医
        久芳康朗
 この度は八戸市学校保健会功労賞を賜り有り難うございました。関係の皆様にも深く感謝申し上げます。
 東日本大震災では多くの命が失われた上に、原発事故による放射能汚染の影響は、子ども達の未来に暗い影を投げかけています。
 私達は、嘘をつくな、間違ったら謝れ、必要な責任はとれ、命を最優先にしろと教えてきましたが、政府が正反対の対応をとってきたことを子ども達は知っています。同じことがタバコの問題でも起きています。
 その責任を感じつつ、子ども達と共に新しい生き方を探っていく事が求められているはずですが、自らの無力さを痛感する毎日です。

(このまま掲載されるかどうかはわかりません)

インフルエンザ流行ピーク過ぎる 今週39人(-13人) なお警報レベル 八戸市

2012年02月04日 | こども・小児科
予想通りピークは先週末から今週始めにかけてで、今週後半から新規患者数は減り始めています。



しかし、まだ警報発令レベルの30人を超えており、警報解除の10人を切るには最低でもあと2週間は必要と思われます。

学校やクラスによっては流行がほとんど見られていないところもあるようで、これから遅れて流行が始まる場合もありますので、まだ注意が必要です。