#こういった生殖医療の最大の問題点は、親の都合や希望は認めても、生まれてくる子どもの気持ちには全然配慮されていないことです。代理母も然り。
子どもの悩み、問題知って 人工授精児ら冊子で訴え
夫が無精子症などのため子どもを持てない夫婦が、第三者から精子の提供を受けて行
う非配偶者間人工授精(AID)。国内で約60年前から続くこの方法で生まれた当事
者の自助グループが、子どもから見た問題点を小冊子にまとめた。
日本学術会議は、現在は学会が認めていない代理出産の是非などを検討、1月中に結
論をまとめる。グループは「生殖技術の拡大を考える前に、既存技術でどんな問題が起
きているかを知って」と、12月1日に東京でシンポジウムを開く。
▽違和感
20代の会社員洋子さん(仮名)が、自身がAID児と知ったのは5年前。父親の重
い病気が遺伝性と分かり、自分も発病かと悩んでいる最中に母親から告げられた。
AIDは1949年に国内初の女児が慶応大で誕生し、その後も慶大を中心に1万人
以上の子どもが生まれたとされる。だが提供者は匿名で、詳しい実態は非公表。大半の
親は事実を隠しており、洋子さん同様、親の病気や離婚を機に突然告げられ「ずっとう
そをつかれていた」と親に不信感を抱く例が少なくない。
洋子さんの場合、父親があまり関心を持ってくれなかったことや、親類で自分だけが
どこか違うという気持ちなど、数々の違和感の謎が解けた。「秘密がある家庭の緊張し
た空気を子どもは敏感に感じ、苦しんでいる。知らせない方が幸せというのは間違い」
と話す。
▽会いたい
30代の医師、克さん(仮名)が事実を知ったのも5年前。医学生時代の血液検査で
、父親と血がつながっていないことが分かった。親子であることに何の疑問も抱いてい
なかった克さんは「自分を支えていたものの半分が突然消えた」ような気持ちに陥った
。
母親が治療を受けた慶大を訪ね、精子提供者の手掛かりを得ようとするが断られた。
提供者は医学部の学生が多いとの情報を基に治療当時の在学者をたどり、インターネッ
トや新聞で集めた多数の顔写真の中に自分と似た人を探すが、それらしい人には行き当
たらない。
克さんは「親は今の両親。提供者を親とは思わない」と言う。それでも、会いたい。
「もし小さいうちに知り、提供者にも会えていれば、気持ちは今と全く違っていた」と
考えている。
小冊子は代理出産や卵子提供が広がれば「生まれた子どもはわたしたちと同じ悩みや
苦しみを感じるかもしれない」と指摘。洋子さんは「実施するなら出自を知る権利の保
障は最低要件。将来の子どもの気持ちを本当に受け止められるか、ぜひ考えて」と話し
ている。
シンポジウムは1日午後6時から、東京都港区赤坂1ノ2ノ2、日本財団ビルで。
子どもの悩み、問題知って 人工授精児ら冊子で訴え
夫が無精子症などのため子どもを持てない夫婦が、第三者から精子の提供を受けて行
う非配偶者間人工授精(AID)。国内で約60年前から続くこの方法で生まれた当事
者の自助グループが、子どもから見た問題点を小冊子にまとめた。
日本学術会議は、現在は学会が認めていない代理出産の是非などを検討、1月中に結
論をまとめる。グループは「生殖技術の拡大を考える前に、既存技術でどんな問題が起
きているかを知って」と、12月1日に東京でシンポジウムを開く。
▽違和感
20代の会社員洋子さん(仮名)が、自身がAID児と知ったのは5年前。父親の重
い病気が遺伝性と分かり、自分も発病かと悩んでいる最中に母親から告げられた。
AIDは1949年に国内初の女児が慶応大で誕生し、その後も慶大を中心に1万人
以上の子どもが生まれたとされる。だが提供者は匿名で、詳しい実態は非公表。大半の
親は事実を隠しており、洋子さん同様、親の病気や離婚を機に突然告げられ「ずっとう
そをつかれていた」と親に不信感を抱く例が少なくない。
洋子さんの場合、父親があまり関心を持ってくれなかったことや、親類で自分だけが
どこか違うという気持ちなど、数々の違和感の謎が解けた。「秘密がある家庭の緊張し
た空気を子どもは敏感に感じ、苦しんでいる。知らせない方が幸せというのは間違い」
と話す。
▽会いたい
30代の医師、克さん(仮名)が事実を知ったのも5年前。医学生時代の血液検査で
、父親と血がつながっていないことが分かった。親子であることに何の疑問も抱いてい
なかった克さんは「自分を支えていたものの半分が突然消えた」ような気持ちに陥った
。
母親が治療を受けた慶大を訪ね、精子提供者の手掛かりを得ようとするが断られた。
提供者は医学部の学生が多いとの情報を基に治療当時の在学者をたどり、インターネッ
トや新聞で集めた多数の顔写真の中に自分と似た人を探すが、それらしい人には行き当
たらない。
克さんは「親は今の両親。提供者を親とは思わない」と言う。それでも、会いたい。
「もし小さいうちに知り、提供者にも会えていれば、気持ちは今と全く違っていた」と
考えている。
小冊子は代理出産や卵子提供が広がれば「生まれた子どもはわたしたちと同じ悩みや
苦しみを感じるかもしれない」と指摘。洋子さんは「実施するなら出自を知る権利の保
障は最低要件。将来の子どもの気持ちを本当に受け止められるか、ぜひ考えて」と話し
ている。
シンポジウムは1日午後6時から、東京都港区赤坂1ノ2ノ2、日本財団ビルで。