踊る小児科医のblog

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タスポは申請せず、この機会に禁煙を!

2008年04月30日 | 禁煙・防煙
まだタバコをやめられない方へ。
タスポなどという「JT隷属喫煙許可証(死へのパスポート)」は申請せず、この機会に禁煙してタバコのない新たな人生を歩み始めましょう。
「タスポ導入に反対しタバコ自動販売機の撤廃と完全対面販売を求めます」というコメントを本日発表しました。以下に全文を引用しておきますので、ご覧下さい。
http://ameblo.jp/aomori-aa/entry-10092584448.html

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                  2008年(平成20年)4月30日

タスポ導入に反対しタバコ自動販売機の撤廃と完全対面販売を求めます

         青森県タバコ問題懇談会 代表世話人 山崎照光
                           鳴海 晃
                           久芳康朗

 青森県内でも5月から「taspo(タスポ)」対応のタバコ自動販売機が導入されますが、青森県タバコ問題懇談会ではこの自販機の問題点を指摘し、タスポ導入の反対と屋外タバコ自販機の撤廃、タバコの完全対面販売を訴えてきました。
 タスポ対応自販機の稼働を前に、再度アピールいたします。

1.タスポは使用者が未成年かどうかを識別することができません

 この自販機はカードを識別するだけであり、「成人識別機能付き」という名称に反して利用者が成人かどうかを識別することはできません。試験導入された種子島でも、当初は未成年の喫煙補導人数が減少したものの、再度増加して元のレベルを大幅に上回っており、未成年の喫煙防止対策としての有効性は不明のままです。

 ◎種子島の未成年喫煙補導件数/全補導件数(日本禁煙学会雑誌・南日本新聞記事より)
   2002年 50人/142人(35.2%)
   2003年 39人/114人(34.2%)
   2004年 31人/80人(38.8%)(5月に導入)
   2005年 10人/48人(20.8%)
   2006年 84人/165人(50.9%)
   2007年 22人/52人(42.3%)(6月末まで)

 警察庁も平成16年の財政制度等審議会において「たとえ成人識別式機能付き自販機であっても、対面による販売と同等以上の効果は期待できない。この種の自販機は将来的には国民合意のもと、撤去されるのが望ましい」との見解を示しています。

2.喫煙者はタスポの申請をせず、この機会に禁煙を!

 先行導入された各地域でもタスポの申請率は低く、東北各県でも10%前後と報道されています。私たちはタスポの導入に反対していますが、その一方で、個人情報や顔写真をタバコ会社に届け出て購入情報まで管理されるタスポを嫌って、この機会に禁煙を始める成人喫煙者が急増するものと予想しています。神奈川県禁煙条例制定の動きや経口禁煙治療薬チャンピックスの導入などの最近の情勢とあわせて、この機会が禁煙に踏み切る大きなチャンスだということを強くお伝えしたいと思います。
 青森県は最近発表となった市町村別の平均寿命でも最下層に多数の自治体が位置し、県でも喫煙率の低下を健康寿命アップのための大きな目標に定めています。メディアにはタスポの普及に力を貸すのではなく、喫煙者が禁煙に踏み切りやすくするための情報提供をお願いしたいと思います。

3.財務省による運転免許証識別方式の許可に強く抗議します

 財務省は従来「タスポによる厳格な申請とICカード認証方式によって未成年の購入を防止できる」との立場からタスポ導入を推進してきました。ところが、タスポが導入後も普及せず喫煙率の低下やタバコ販売の減少が懸念されると、何の予告も議論もないまま、運転免許証による識別方式も認めると決定してしまいました。
 免許証による識別方式では、タスポと同様に使用者が未成年かどうかを識別することができないだけでなく、光学的に生年月日を読みとるだけでICチップによる認証すら行なわれないため、偽造カードの使用を防ぐことは困難であると思われます。
 政府が国民の命を守ろうとして努力するのではなく、国民の命を奪うタバコを販売するためにこのような姑息な手段を用いることに大きな憤りを感じております。
 なお、全国のタバコ自販機は既にタスポ対応となっており、免許証識別方式は更に追加投資が必要となるため、普及することはまずあり得ないと思われます。

4.自販機の深夜規制撤廃に反対します

 全国たばこ販売協同組合連合会が深夜の販売自主規制を解除して24時間販売を再開すると報じられました。タスポや免許証識別方式は上記のような大きな問題をはらんでおり、世界各国がWHOタバコ規制枠組み条約(FCTC)に沿ってタバコ広告販売の規制を強めている中で、この規制解除は世界の潮流に真っ向から反対するものです。
 FCTCにおいて屋外のタバコ広告は禁止されたにも関わらず、現在でも明るく輝くタバコ自販機が依然として魅力的な屋外広告の役割を果たし続けていることは大きな問題です。
 また、地球温暖化防止の観点からも自販機の消費電力は全くの無駄づかいであり、深夜規制撤廃は温暖化防止対策に逆行するものです。

5.完全対面販売しか未成年の購入を防止する手段はありません

 タバコは強い依存性を持ち、喫煙者の半数を死亡させる商品です。特に未成年が吸い始めると急速に依存が生じてやめられなくなるだけでなく、早期に重大な健康被害を生ずることになります。このような商品を販売しているJTおよび財務省は、国際標準に従った厳格な未成年購入防止対策をとるべきです。
 完全対面販売しか未成年の購入を防止する手段はありません。販売の際には、諸外国と同様に顔写真付きの身分証明書(免許証や住基カード、タスポなど)の提示を義務づけるべきです。
 深浦町の故・平沢町長は、屋外自販機を撤去して完全対面販売を求める条例を制定しましたが、反対勢力のためその理想は未だ実現しておりません。
 しかし、現実にタスポ導入地域において自販機からコンビニなどの店頭販売にスライドしており、成人喫煙者は自販機がなくても何ら問題は生じないことが実証されております。
 今回のタスポ導入はタバコ業界と財務省の自滅行為になるものと予想しており、この機会をタバコ自販機撤廃への大きな流れに繋げていかなくてはなりません。
 メディア等を通じた世論の喚起と国民的な議論の盛り上がりを期待します。

海外渡航者に対する麻疹対策ガイドライン

2008年04月24日 | こども・小児科
日本渡航医学会から海外渡航者に対する麻疹対策ガイドラインが発表になっています。内容は下記のリンク先をご覧下さい。要するに「全ての渡航者は麻疹対策(主にワクチン)をせずに出国してはいけませんよ」ということです。春の移動シーズンは過ぎましたが、今後予定がある方は参考にしてください。もちろん海外への輸出だけでなく、国内で今年も続いている麻疹の流行から身を守り、流行の拡大を阻止するためにも、30代以下の若年成人、大学生、中高生には麻疹対策(MRワクチン接種)が推奨されます。

海外渡航者に対する麻疹対策ガイドライン
2008年4月1日 日本渡航医学会
http://www.travelmed.gr.jp/hahsika/hashika.html

平成19年度母子保健講習会報告

2008年04月22日 | こども・小児科
 今年度の母子保健講習会は、昨年に引き続き「子ども支援日本医師会宣言の実現をめざして-2」をメインテーマとして開催されました。当日は強風による交通機関の乱れによってプログラムも変更になり、最後の講演を待たずに帰途につきましたが、聴講できた部分について概要をお伝えします。

平成19年度母子保健講習会
   平成20年2月24日(日)
   日本医師会館(東京都)

講演「子どもの脳を守る」
    山崎麻美(国立病院機構大阪医療センター副院長)

 小児脳神経外科医としての30年の経験から、虐待の急激な増加、出生前診断の持つ側面、家族との関わり合いなど多面的な視点による子どもと親への支援について講演された。
 欧米では揺さぶられっ子症候群(Shaken baby syndrome)は虐待と判断されるが、日本では虐待による頭部外傷のうち急性硬膜下血腫は10%程度で、転倒によるI型も分類されており、その差異については議論が残っている。
 胎児期水頭症の出生前診断と長期にわたる治療経験から、産科医と脳外科医、母親の想いとの間に大きなズレがあることを痛感し、産科の現場に情報を伝えていくための診断治療ガイドラインを作成した。
 一部の脳腫瘍は依然として予後不良であり、子どもの死と向き合う家族の姿から教えられたことも多い。
 子育て支援には「おせっかい」が大事であり、地域で親も子も一緒に育つ「子育て育児より子育ち育自」(橋本)の視点に立った育児支援が必要であり、女性医師の復職支援にもつながる。

シンポジウム「母子の心の健康を求めて」

1)妊産婦のメンタルヘルスの理論と実際
  ~ハイリスク者の早期発見と育児支援における医療チームの役割~
     吉田敬子(九州大学病院精神科神経科准教授)

 1980年、英国のKumarらに始まる妊産婦の精神医学は、1987年に産後うつ病スクリーニングが開発されて研究とその実践が世界に拡がった。
 出産後の母親の育児の障害を、次の三つの要因に分けて評価し支援していく必要がある。

 1) 育児・環境要因
   経済・住環境への不満
   情緒的サポートの欠乏
   社会的交流の乏しさ
 2) 母親側にみられる要因
   産後うつ病
 3) 子どもへの否定的な感情
   乳幼児の虐待との関連

 それぞれの要因に対する「育児支援チェックリスト」「エジンバラ産後うつ病質問票」「赤ちゃんへの気持ち質問票」を用いた、産科・小児科・保健部門で途切れることのない育児支援が全国で展開されている。
 産後うつ病は妊産婦の10~20%にみられ、軽症・中等症が多いため家事などは出来ているものの、育児機能障害、親子関係への影響のみならず、子どもの情緒や発達にも影響が生じるため、スクリーニングと適切な支援が必要である。
 妊婦のストレスが胎児の発育不全や将来の行動上の問題などに影響を及ぼす(胎児プログラミング:Glover)ことが明らかになり、妊娠中のストレス管理の重要性が強調されるようになった。九大病院では産科と精神科が連携した母子メンタルヘルスクリニックが開設されている。
 母親の抗うつ剤治療が母乳栄養児に及ぼす直接の副作用は報告されていないが、胎児への影響についてはエビデンスの蓄積が必要である。
 母親の主な問題や背景が心理的・社会的なものであり、母親がサポートを求め、家族のサポートも期待できる場合は地域の母子訪問などの育児支援を継続できるが、母親の病識がなくサポートを求めていない、家族の協力や理解が得られない、精神科既往歴があるか治療中などの場合には精神科との連携が必要である。
 ADHDなどの発達障害は子どもの5%程度にみられるが、母親のうつ病などで30~40%まで跳ね上がる。次世代に同じ問題を繰り返させないための行政システム、心理社会的および精神医学的な支援が求められている。

2)「キレる」脳:セロトニン欠乏脳
    有田秀穂(東邦大学医学部統合生理学教授)

「キレる」現象に関連深い前頭前野腹外側部におけるセロトニン伝達機能の障害を「セロトニン欠乏脳」と呼んでいる。うつ病や自殺は最近20年間で急増しているが、心と体の元気を作るセロトニン神経を弱らせる生活習慣が「軽うつ」の増加の原因になっていると考えられる。
 セロトニン神経活性化の要因は、呼吸・歩行・咀嚼などのリズム運動、日照(太陽光)、グルーミング(抱っこやタッピングなど)で、マイナス要因は疲労やストレスである。昼夜逆転でパソコンに向かい身体を動かさないライフスタイルが、セロトニン欠乏脳を作り出す原因となっている。
 セロトニン神経は3-6歳で発達し、6歳頃には大人のレベルに達する。セロトニンとメラトニンは昼夜、陰陽の関係で生体のリズムを調整している。
 母と子のセロトニン神経を活性化させるために、リズム運動、日光浴、互いに呼吸を感じ合う、スキンシップの四つを提案している。

3)子どもの心に出会う
    村瀬嘉代子(大正大学人間学部臨床心理学教授)

 児童福祉施設等における調査研究を通して、子どもたちは基本的信頼感を持ちたいと渇望し、きめ細かな配慮に裏打ちされた全体性のある日常生活を元にしたキュアとケアを必要としていることが見てとれた。
 1987年と2000年の比較では、子どもたちが抱く家族への願望は基本的に変貌しておらず、将来大切にしたいものの筆頭に家族を挙げる率はむしろ上昇している。父母の役割のイメージはよりユニセックス化し、父親の影が薄れている。
 子どもたちが空間的に、時間的に、人間関係の網の目の中で「居場所」をどのように確保できるかが問題で、網の目にならない場合でも小さな点が網の目を紡ぎ出す端緒となりうる。
 子どもたちは、話を聴いてくれる大人を切望している。被虐待経験者は、毎日の食事や看病、声かけ、日々のさりげない行為など、生活を大切に見なおすことを通じて形成された目に見えない繋がりが、今日の回復をもたらしたと語っている。

4)子どもの社会力
       門脇厚司(筑波学院大学学長)

 社会力とは、人と人がつながり、社会を作る力であり、社会に適応する力である社会性とは異なる。社会性を育てることを教育の目標にしてはならない。
 子どもの発達の異変は1960年代から始まり、すでに高校生の親の世代に達している。その本質は、他者への無関心、愛着・信頼感の欠如による「他者の取り込み不全」であり、結果として社会力が衰退し、いじめや不登校、引きこもり、虐待など深刻な事態をもたらしている。
 それに対し、未だに学力の問題ばかりが取り上げられ、「生きる力を育てる」ことを後退させようとしている教育改革は、子どもの異変を更に加速させるだけである。
 社会力は多様な他者、とりわけ大人との相互行為を重ねることで育てられる。子ども同士で遊んで社会力が育つなどという考えはやめなければならない。
 子どもと親の社会力を育てるために、地域や学校で子どもと大人が交流し協働する場や機会を多くする必要がある。

講演「医学・医療の品格」
       久道 茂(宮城県対がん協会会長)

 日本の医療崩壊、臨床疫学の科学性と倫理性、科学者の品格、医療人・患者・住民の品格、市場経済主義の弊害、リーダーの品格等について話されたようです。同名著書をご覧下さい。

お知らせ&HP改訂作業

2008年04月01日 | こども・小児科
#高校を卒業した人たちへのMRワクチン(自費)を実施しています。長年の懸案だったホームページの改訂に取りかかりましたが、12年分もあるので、取捨選択して内容も改変しながらゆっくりやっていく予定です。いつ終了するかは未定。(^^;)

http://www.kuba.gr.jp/
お知らせ
* 予約専用番号「32-1199」を廃止して代表の「0178-32-1198」に統一します(2008.4.1)
* 4月より、麻疹・風疹(MR)ワクチン第3期(中1)・第4期(高3)が始まります(2008.4.1)
* 大学入学・就職される方へのMRワクチン接種を実施しています。お急ぎ下さい。全国各地の麻疹(はしか)の流行情報にもご注意ください(2008.4.1)
* 4月より、3歳未満に加えて3歳~小学校入学前の自己負担が2割に減ります(2008.4.1)
* 新しい経口禁煙薬「チャンピックス」が4月中旬には使えるようになります(2008.4.1)
* 急病診療所当番予定:4/6(日) 夜、4/26(土) 夜、5/5(月) 昼(2008.4.1)
* 4月1日で開院&HP開設12周年を迎えました(2008.4.1)
更新情報
* ホームページの改訂作業にとりかかりました。新しい情報はブログをご覧下さい。(2008.4.1)