<抄録>
「八戸市における中学生の喫煙状況と喫煙予防教育」
-4中学におけるアンケート調査から-
くば小児科クリニック 久芳康朗
八戸市と市医師会では、中学生に思春期の性と命を中心とした教育を行う「いのちをはぐくむ教育アドバイザー事業」を実施している。今年度、市内25中学のうち4校の全学年、1497名(回収率95.7%)に喫煙に関するアンケート調査を実施した。
喫煙経験率は全学年平均で8.6%(男子10.5%、女子6.7%)と全国調査結果より低く、1か月以内の喫煙率は0.9%に留まっていた。
家族に喫煙者がいる生徒は全体の65.4%にも達し、その内訳は父51.4%、母22.4%などであった。喫煙経験率は「喫煙家族あり」の生徒が10.7%、「なし」が4.4%であった。母や祖母、姉など女性の家族が喫煙すると喫煙経験率も女子の割合も高くなっていた。喫煙する友人がいる生徒は7.2%で、喫煙経験率は「喫煙友人あり」が37.0%、「なし」が6.4%であった。
初回喫煙年齢は小学校入学前が11%で、小4までに4割が喫煙していた。週1日以上朝食を抜く生徒の喫煙経験率は17.7%と、毎日食べる生徒の7.2%の2倍以上の高さだった。
<質問に対する回答>
(喫煙率について)
アンケート項目は、これまでに1本でも吸ったことがあるかという喫煙経験率、最近1か月以内に吸ったかどうかの月喫煙率、その場合の頻度・本数などの項目や、調査回収方法も、厚労省全国調査と同じ形式にして比較できるようにしてあります。その他の要因で全国平均よりも低くなった可能性は否定できませんが、具体的に特に思い当たるものはありません。できれば来年以降も調査を継続して確かめてみたいと思います。
(朝食との関連について)
朝食抜きと喫煙率の関係は他の調査でも同様なものが出ていたので予想の範囲内の結果なのですが、直接的な原因と言うよりも、夜更かしして朝食を抜いたりする生活習慣、さらにはそのような家庭環境と喫煙開始に関連があると考えられます。朝食抜きの家庭で母親の喫煙率の高いこと、母親の喫煙と子ども(特に娘)の喫煙開始に密接な関連があることもその推測を確かめているものと思われます。
(喫煙を勧める親について)
今回の調査は生徒だけに行ったもので親の側のデータはありませんが、そのような親を含めて、強調したいのは子どもの喫煙は家族や大人社会の問題であり、その家庭に私たちが直接踏み込むことは難しいという現実があります。それを変えていくために、様々な社会的規制や、今回の調査結果を発表してマスコミ等を通じて周知していくことなど、あらゆる手段を使っていく必要があると考えられました。
(喫煙率の傾向について)
1996年、2000年、2004年の全国調査で、中高生の喫煙率の低下傾向がはっきりしてきたことは事実のようです。今回の結果もその流れにあるのかもしれませんが、これより前のデータがないため比較はできません。津軽地区の高校生における調査でも、高2までは2004年の全国平均を下回っていて、高3で男女とも上回っていることから、青森県あるいは津軽地区の中高生は高2高3という年齢で吸い始める生徒が多いのか、この5-6年で世代間の変化が出てきているのかもしれませんが、よくわかりません。
いずれにしても、今回の調査結果では、喫煙経験率が予想よりも低かったということよりも、家庭内の喫煙率の高さと喫煙開始の低年齢化、家族、特に母親の喫煙の影響の大きさなどを重視していきたいと考えています。
「八戸市における中学生の喫煙状況と喫煙予防教育」
-4中学におけるアンケート調査から-
くば小児科クリニック 久芳康朗
八戸市と市医師会では、中学生に思春期の性と命を中心とした教育を行う「いのちをはぐくむ教育アドバイザー事業」を実施している。今年度、市内25中学のうち4校の全学年、1497名(回収率95.7%)に喫煙に関するアンケート調査を実施した。
喫煙経験率は全学年平均で8.6%(男子10.5%、女子6.7%)と全国調査結果より低く、1か月以内の喫煙率は0.9%に留まっていた。
家族に喫煙者がいる生徒は全体の65.4%にも達し、その内訳は父51.4%、母22.4%などであった。喫煙経験率は「喫煙家族あり」の生徒が10.7%、「なし」が4.4%であった。母や祖母、姉など女性の家族が喫煙すると喫煙経験率も女子の割合も高くなっていた。喫煙する友人がいる生徒は7.2%で、喫煙経験率は「喫煙友人あり」が37.0%、「なし」が6.4%であった。
初回喫煙年齢は小学校入学前が11%で、小4までに4割が喫煙していた。週1日以上朝食を抜く生徒の喫煙経験率は17.7%と、毎日食べる生徒の7.2%の2倍以上の高さだった。
<質問に対する回答>
(喫煙率について)
アンケート項目は、これまでに1本でも吸ったことがあるかという喫煙経験率、最近1か月以内に吸ったかどうかの月喫煙率、その場合の頻度・本数などの項目や、調査回収方法も、厚労省全国調査と同じ形式にして比較できるようにしてあります。その他の要因で全国平均よりも低くなった可能性は否定できませんが、具体的に特に思い当たるものはありません。できれば来年以降も調査を継続して確かめてみたいと思います。
(朝食との関連について)
朝食抜きと喫煙率の関係は他の調査でも同様なものが出ていたので予想の範囲内の結果なのですが、直接的な原因と言うよりも、夜更かしして朝食を抜いたりする生活習慣、さらにはそのような家庭環境と喫煙開始に関連があると考えられます。朝食抜きの家庭で母親の喫煙率の高いこと、母親の喫煙と子ども(特に娘)の喫煙開始に密接な関連があることもその推測を確かめているものと思われます。
(喫煙を勧める親について)
今回の調査は生徒だけに行ったもので親の側のデータはありませんが、そのような親を含めて、強調したいのは子どもの喫煙は家族や大人社会の問題であり、その家庭に私たちが直接踏み込むことは難しいという現実があります。それを変えていくために、様々な社会的規制や、今回の調査結果を発表してマスコミ等を通じて周知していくことなど、あらゆる手段を使っていく必要があると考えられました。
(喫煙率の傾向について)
1996年、2000年、2004年の全国調査で、中高生の喫煙率の低下傾向がはっきりしてきたことは事実のようです。今回の結果もその流れにあるのかもしれませんが、これより前のデータがないため比較はできません。津軽地区の高校生における調査でも、高2までは2004年の全国平均を下回っていて、高3で男女とも上回っていることから、青森県あるいは津軽地区の中高生は高2高3という年齢で吸い始める生徒が多いのか、この5-6年で世代間の変化が出てきているのかもしれませんが、よくわかりません。
いずれにしても、今回の調査結果では、喫煙経験率が予想よりも低かったということよりも、家庭内の喫煙率の高さと喫煙開始の低年齢化、家族、特に母親の喫煙の影響の大きさなどを重視していきたいと考えています。