踊る小児科医のblog

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清原、古田、立浪と歴代大打者の個人記録比較

2005年04月30日 | SPORTS
昨年は立浪と清原の2000本安打、今年は古田の2000本安打と清原の500本塁打に注目が集まりましたが、日本野球機構オフィシャルサイトで個人記録を探してみると、昔野球少年としてはいろいろと面白い発見がありそうです。とりあえず、この3選手とONなどの大打者との比較をしてみました。1試合あたりの記録はこちらで電卓で計算したものです。イチローや松井秀が引退したら大リーグの分を加算してどの辺に食い込んでくるのかも将来の興味ですね。

2005年5月1日(日)現在
記録の後の数字は、  実働期間  試合  打数

安打 (通算)
1  張本 勲  3085 (1959-1981) 2752  9666  1.12本/試合
2  野村 克也 2901 (1954-1980) 3017  10472  0.96
3  王 貞治  2786 (1959-1980) 2831  9250  0.98
7  長嶋 茂雄 2471 (1958-1974) 2186  8094  1.11
9  落合 博満 2371 (1979-1998) 2236  7627  1.06
15 立浪 和義 2249 (1988-2005) 2097  7806  1.07
29 清原 和博 2030 (1986-2005) 2179  7368  0.93
32 古田 敦也 2003 (1990-2005) 1886  6782  1.06

#こうやってみると、1試合に1本ヒットを打つことがいかに大変かがわかりますね。立浪と古田は、張本・長嶋には及びませんが落合に肩を並べているのは立派。

本塁打 (通算)
1  王 貞治  868 (1959-1980) 2831  9250  0.31本/試合
2  野村 克也 657 (1954-1980) 3017  10472  0.21
3  門田 博光 567 (1970-1992) 2571  8868  0.22
4  山本 浩二 536 (1969-1986) 2284  8052  0.23
5  落合 博満 510 (1979-1998) 2236  7627  0.28
6  張本 勲  504 (1959-1981) 2752  9666  0.18
6  衣笠 祥雄 504 (1965-1987) 2677  9404  0.19
8  清原 和博 501 (1986-2005) 2179  7368  0.23
10 田淵 幸一 474 (1969-1984) 1739  5881  0.27
12 長嶋 茂雄 444 (1958-1974) 2186  8094  0.20
13 秋山 幸二 437 (1981-2002) 2189  7997  0.20
25 松井 秀喜 332 (1993-2002) 1268  4572  0.26
27 中村 紀洋 307 (1992-2004) 1383  4839  0.22

#あの王でさえ3試合に1本のペースで打つことはできず、その他のホームランバッターは大体4~5試合に1本のペースだから、清原があと1本のところで6試合打てなかったのは特別のことではなかったわけだ。清原があと200試合出場できて、これまでと同じペースで量産できたとしても547本ですから、怪我をせずにどれだけ打ち続けられるかによりますが、門田の567本が一つの壁で、600本は厳しいでしょうね。

二塁打 (通算)
1  福本 豊  449 (1969-1988) 2401  8745  0.19本/試合
3  立浪 和義 446 (1988-2005) 2097  7806  0.21
4  王 貞治  422 (1959-1980) 2831  9250  0.15
6  長嶋 茂雄 418 (1958-1974) 2186  8094  0.19
17 落合 博満 371 (1979-1998) 2236  7627  0.17
24 古田 敦也 352 (1990-2005) 1886  6782  0.18

#こちらはご存じ立浪が福本の記録を破ってトップに立つのが秒読み段階に入っています。
立浪、ナゴヤで二塁打王だ プロ野球記録へあと3本(中日スポーツ)
立浪は確かに入団当時から好打者ではありましたが、ここまでうち続けて記録をうち立てることになるとは想像もしませんでした。ヒットの5本に1本は二塁打という計算になりますが、それ以上に「立浪が打てば二塁打」という印象はありますね。そして、古田も実働期間は短いのですが、1試合あたりの本数では長嶋・落合に肩を並べていますので、これまた立派な記録です。

三振 (通算)
1  清原 和博 1773  (1986-2005) 2179  0.81回/試合
2  秋山 幸二 1712  (1981-2002) 2189  0.78
3  衣笠 祥雄 1587  (1965-1987) 2677  0.59

#三振王のイメージがある衣笠・秋山を総数でも1試合あたりの回数でも大きく上まって清原がダントツのトップ。秋山も既に引退していますから、清原がどこまで上積みできるか(同じように200試合としてプラス162)。清原は右にも打てるし、本来もっと振り回さずに落合のように左右に打ちわける中で本塁打も打てる打者だと思うのですが、まあ、こだわりがあるんでしょうかね。

その他、投手部門や、通算記録ではなくシーズン記録などもあり、見ていて飽きませんが、きりがないのでこの辺にしておきます。

野口みずきとグローバリーの関係

2005年04月29日 | SPORTS
アテネオリンピックで最高の金メダルに輝き一躍国民的選手になった野口みずき選手ですが、直後からグローバリーの悪徳商法とその宣伝塔に使われているという非難が殺到していました。私もグローバリーという企業を知らなかったのですが、今回摘発された不正経理は氷山の一角なのでしょうか。不正とは関係ないけど、大南姉妹のUFJ銀行閉部や、千葉真子の独立、高橋尚子の大きなブランク、駅伝を中心とした実業団選手の活躍にしても、一流(あるいは1.5流)選手の競技活動とスポンサーとの関係には様々なスタイルがあり、野口だけを非難しても始まりません。しかし、日本の女子マラソンが有森以来メダルをとり続けているのは、他国にない環境がプラスしていたことは間違いないわけで、関係者だけでなく国民的スポーツであるマラソン・ファンも含めて、もう少し考えてほしい課題ですね。野口は移籍することになるのでしょうか。五輪後、競技再開が遅れて諸雑用に追われてきたことも、金メダルへの「投資を回収する」ためには必要だったのでしょう。

野口所属のグローバリー陸上部活動自粛も
グローバリー 不正経理でコンプライアンス委設置 今期大幅減益、配当も半減

野口みずきとは関係ありませんが(ゲストで来るなんてことはないかな、その頃はベルリンを走った後か)、第3回弘前・白神アップルマラソンが10月2日に開催されることに決まったようです。詳細は下記および続報を参照のこと。

10月2日にアップルマラソン(2005年4月28日 東奥日報)

青森県内の児童虐待相談件数が3年ぶりに増加

2005年04月28日 | こども・小児科
県内の児童虐待相談件数が3年ぶりに増加したということが22日付で報じられています。この件については先日、簡単なまとめをしたことがあったので、新しいデータを加えてグラフにしてみました。2004年度の児童虐待相談処理件数307件は、2002年度の301件とほぼ同じレベルで、2001年度の364件から2年続けて減少傾向あるいは頭打ち状態にあったものが、件数としては再び増加に転じた格好になっています。

しかし、注意しなくてはいけないのは、これはあくまで相談件数であって、この全てが新聞に報道されるような犯罪性のあるものというわけではなく、その多くは在宅で処理されているはずです。また今回は「教育機関との連携強化により学校からの相談・通告が倍増したほか、近隣・知人、親せきからの相談が増えたのが特徴で、被虐待児年齢別では小中学生や高校生が増加した」と書かれているように、今まで隠れていたものが表に出てきたという面もあるかと思います。昨年秋に児童虐待防止法が改正されましたから、その影響もあったかと思われますが、その前に岸和田の事件があったことも大きかったかもしれません。

いずれにせよ、ここでは増えた減ったで一喜一憂するということではなく、私たちの気づかないところで(あるいはちょっと注意すれば気づくかもしれないところで)、こんなに多くの虐待やその予備軍のケースが顕在化している、それだけでなく、これは氷山の一角に過ぎず、その下には育児不安や育児過誤が水面下に隠されているということを心の片隅におきながらみていくことが必要でしょう。わかったようなことを言って、虐待の親を非難するだけでは何の助けにも解決にもなりません。

尼崎の福知山線脱線事故と小学校時代の思い出

2005年04月27日 | NEWS / TOPICS
25日に起きた尼崎の脱線事故については、いまだに亡くなった方の数が増え続けているような状況で、言葉もありません。ご冥福をお祈りします。この福知山線(宝塚線なる名称は今回初めて聞いた)には1~2回乗ったことがあるはずですが、あまり憶えていません。当時はもっとのんびりしたローカル線だったはずです。少しだけ思い出話をすると、私は小学校5年生の秋から中学校3年の途中まで、関西に住んでいました。最初は大阪府池田市、中学から奈良県三郷町。池田は阪急宝塚線ですから、今回お亡くなりになった方の名簿に小学校の同級生の名前がないかどうか、少し気にしてみていました。この地域では、10年前の阪神大震災、その後の神戸少年殺傷事件、池田の小学校の事件(通っていた学校の通学路にある小学校)、そして奈良の小学生誘拐殺人事件(犯人は三郷町在住)と大きな事件が続いてしまいました。また、高校(横浜)のとき通っていた東横線は日比谷線と相互乗り入れしているので、数年前の日比谷線脱線事故のときにも心配したのですが、同級ではないけれども後輩にあたる同窓生が亡くなったということを後で知りました。

話を戻すと、福知山線を宝塚から下っていったところにある、何といったか憶えていないのですが、お寺で5年生の宿泊学習があったようです。私は前の名古屋の小学校で林間学校は終えてきたのですが、この宿泊学習には参加できなかったので、クラスの楽しい思い出を共有できない転校生として少し寂しい思いをしました。同じように、学校で宝塚観劇があったようなのですが、これもみることができませんでした(今はみたいとは思わないけど、面白い機会を逃したなと感じてます)。宝塚には、6年生の時にレオナルド・ダビンチ展があって友達同士で出かけたことを憶えています。事故とは何の関係もありませんが、そんなことを思い出しながらニュースをみていました。亡くなった方も、一人ひとりに、思い出があり、人生があり、家族があり、未来があったはずです。。

子どもたちの平均寿命は短縮していくのか

2005年04月26日 | こども・小児科
日本人の平均寿命は、女性は世界一、男性は第2位とされていますが、ある公衆衛生学の専門家の話によると、WHOなどでもいつ日本の平均寿命が頭打ちになるかということが話題になっているのだそうです。これには私もウンウンとうなずかざるを得ませんでした。

日本人の平均余命 平成15年簡易生命表(厚生労働省)
平均寿命、男性は78.32歳、女性は85.23歳-厚生労働省、「2002年簡易生命表」-(ふくしチャンネル)
日本人の平均寿命、2050年には90歳超-米民間人口研究所のマウンテンビュー・リサーチ社-(ふくしチャンネル)

上記のリンクの中には「平均寿命90歳」などという推測もありますが、このまま同じペースで死亡率が低下し続けることを前提にしています。ご存じの通り、平均寿命というのは生まれたばかりの0歳児の平均余命のことであり、平均寿命が80歳だからといって今80歳の方の平均余命が0年なんてことではもちろんありません。この辺の計算はどうやっているのか以前から疑問に思っていたのですが、こちらの「生命表諸関数の定義」を読めば何となくわかったようなわからないような。。まあ要するに、いま生まれた子たちが、今の各年齢の人たちと同じ確率で毎年死に続けるということで計算されているわけですね。

ですからポイントは「いま生まれた子たちがそのように死に続けるとは限らない」ということであり、そこから最初の「頭打ちになる」という推測に話が戻ります。考えられる要因は、、長くなるので今日は省略しましょう。

みちのく銀行とトレンドマイクロの「人為的な」ミス

2005年04月25日 | NEWS / TOPICS
先週末から続けておきたみちのく銀行の個人情報紛失トレンドマイクロのウイルスプロテクトファイル誤配布は、全く違ったミスですが、結局は間に入る人の二重三重のミス(あるいは認識不足)と、それをチェックする体制がなかったという点で共通しています。どんなに外部からの「個人情報保護」とか「情報セキュリティ体制」を万全にしても、内部で「本来守るべき決まりを意図的に守らなかったり、勝手に別のやり方にしたりする」といったことで破綻がおきてきます。

と午前中に書いたところで、尼崎でJRの大きな脱線事故が発生して多数の死傷者が出ている模様。こちらはまだ原因も何もわかっていませんが、その前に起こした自らの運転ミスから発生したたかだか1分半の遅れを取り戻すために、スピードを出し過ていたのではないかと推測されているようです。詳しい調査と情報を待ちたいと思いますが、時々刻々と発表される死者数が増えている状況です。

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<JR>
 乗客らによると、電車は伊丹駅でオーバーランし、同駅を少し遅れて出発した。車内で「遅れてすいません」とアナウンスがあったという。
 後ろから2両目の座席に座っていた兵庫県西宮市の男性会社員(30)は、電車がスピードを上げて遅れを取り戻しているように思えた。その瞬間、目の前に立っていた人が一斉に宙に浮いた。
 「猛スピードを出していると感じた瞬間、ダダーンと音がして、床に投げ出された」と同県宝塚市の主婦(59)は話した。
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<トレンドマイクロ>
 原因は、パターンファイルのコードミスをテスト工程で発見できなかったこと。2.594.00の新機能として、ボット(bot)プログラムが使う「UltraProtect」という圧縮形式に対応したが、この形式の検査機能にコードミスがあり、特定の条件下で処理が無限ループになってCPUを占有。CPUを100%使用してしまい、PCが実質的に動かなくなった──というわけだ。
 こうしたミスは通常、テスト工程で発見・修正されるのが、「Windows XP SP2上でのテストを、人為的ミスで全く行わなかった」ため、不具合に気づかなかった。さらに、最新の検索エンジンでテストすべきところを、UltraProtect対応以前の古い検索エンジンでテストしてしまい、圧縮・解凍の動作を検査しないままパターンファイルをリリースするというミスが重なった。
 「これまでのテスト工程は、個々のメンバーのスキルに任せていたところがあった。今後は、ダブルチェックを徹底する。人の手によるミスを防ぐため、チェック体制を完全自動化していきたい」
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<みちのく銀行>
 みちのく銀行が個人・法人含めて約百二十八万六千先、延べ約百三十一万件分の顧客情報の入ったCD-ROMを紛失していたことが二十二日、分かった。内容は氏名や生年月日、住所、電話番号、預金額、貸出額など。同行は「誤ってごみと一緒に廃棄した可能性が高い」と紛失の経緯を説明した。
 青森市内の事務センターから今月十二日、データを複製したCD-ROM三枚を本店へ送付したが、本店で受け取った受領書がなく、二十日になって紛失したことが確認された。全本支店で探したものの、二十二日現在、見つかっていない。
 CD-ROMは、顧客情報を長期間、保存しておくバックアップ用として作成。顧客の氏名や住所、年齢、預金残高、貸出金残高などを記録している。同行の事務センターが毎月上旬、本店各部と営業店約百四十カ所に三百枚分配送している。
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皇居一周ジョギングに挑戦

2005年04月24日 | SPORTS
23日夜に第2回子どもの防煙研究会(15日記事参照)に出席し、24日は日本小児科学会の最終日に1日だけ参加して勉強してきました。その中身については別に触れるとして、今回は半蔵門のすぐそばのホテルをとって皇居一周ジョギングに挑戦してみました。24日朝は快晴で風もほとんどなく、朝6時半の走りはじめはちょっと肌寒くてウインドブレーカーを上だけ羽織っていましたが、2周目からはそれも脱いで気持ちいいくらいの温度で、絶好のジョギング日和だったのではないでしょうか。皇居を走るのは今回はじめてなので普段との比較はできませんが、走りはじめはウォーキングの人の方が多かったものの、その後ランニングの人たちも増えてきて、普段ひとりで暗く寂しく走っている私にとって刺激的で走りやすく、日曜日なので車も少ないし、みんなが病みつきになるのもわかるような気がしました。

しかしながら、今回2周以上を目標にして結局3周ゆっくり走ったのですが、みんな速い速い。走っている人で抜かした人はゼロ、どんどん追い越していく人たちは、めっちゃ速い人と、普通だなと思うんだけど何故か全然速い人たちと、少し遅めだなと思うんだけどついていけず徐々に離されていく人たちとの三種類があり、要するに私が一番遅かったということがわかりました。まあ、いいんですけどね。以前は長い距離なんて全然走れなかった私が3周約15kmを走れるようになったというだけでまず満足すべきで、それ以上は望まないようにしようと思っています。前週に強風の中無理して遠出して帰って来れず、脱水と体温喪失でくたくたになったという精神的・肉体的ダメージからは回復することができたようです。しかしながら学会には少し遅刻し、午前中はちょっとつらかったので、今後また機会があれば2周程度にしておきましょう。

桜は八重桜以外は散っていましたが、半蔵門から三宅坂を下っていく眺めは素晴らしく、竹橋からの登りが思ったよりもきつくて閉口しましたが、登りきったところでもう1周走ってみようかと思わせる良いコースですね。お宿は「ふくおか会館」でした。

皇居マラソン 絶景スポットマップ!
皇居の周りを走ってみました!(aiai今週の喜℃愛楽)

インフルエンザ脳症は36人、青森県でも1人

2005年04月23日 | こども・小児科
インフルエンザの流行はほぼ終息したと言いたいところですが、今週末まではまだ数名の患者さんがみられていますので、保育園などにおける局所的、散発的な発生はまだあるかもしれません。GWでほぼゼロになるだろうと見込んでます。今シーズンは流行の始まりは遅かったものの全体としては比較的大きな流行となりました。A型とB型の両方が一緒に流行したのが特徴で、従来A香港型は重症化して脳症の発生が多いとされていたのが、今シーズンの36例のうち6割がB型だったというのも特記すべき事でしょう。青森県でも6歳女児の1例が報告されています。

IDWR 感染症発生動向調査 第14号ダイジェスト 2005年第14週(4月4~10日)(感染症情報センター)
脳症36人、うち8人が死亡 インフルエンザ感染で

30~40代男性は「上半身肥満」で喫煙率も高い

2005年04月22日 | 禁煙・防煙
国民健康調査:40代男性の3割超が「上半身肥満の疑い」(毎日)なのだそうです。記事の概要は、
・20代女性の2割以上がやせ過ぎ
・30・40代男性の3割は上半身肥満の疑いで、ほかの世代に比べ運動不足、喫煙の割合も高い
・習慣的に喫煙している人は男性がほぼ5割で、女性は1割
・「やめたい」と答えた人は男性が4人に1人、女性は3人に1人
・実際に禁煙を試みたのは男性が5割、女性は6割
といったところで、元の資料は厚労省のページに以下のごとく掲載されています。詳細はPDFファイルでもご覧いただけますので、私もこれから読んで基礎資料として活用するつもりです。これまでは男性は30代、女性は20代の喫煙率が一番高かったのですが、今回は男性もわずかながら20代の方が上回っています。男性全体で50%を切ったのはJT調査値などとも一致していますが、このグラフの山を眺めていると暗くなりますね。

平成15年 国民健康・栄養調査結果の概要について(平成17年4月21日 厚労省)

 国民の身体の状況、栄養素等摂取量及び生活習慣の状況を明らかにするため、従来の「国民栄養調査」を拡充し、「国民健康・栄養調査」として、平成15年は「たばこ」等に重点を置き、調査を実施した。

たばこに関する状況
 (1)  現在習慣的に喫煙している者の割合は、男性で46.8%、女性で11.3%(図1)。
 (2)  たばこが健康に与える影響について、「とても気になる」と回答した者の割合は、女性では5割以上、成人男性では3~4割(図3)。
 (3)  たばこが健康に与える影響について、「たばこを吸うとかかりやすくなる」と回答した者の割合は、「肺がん」、「妊娠への影響」では8割以上、「胃潰瘍」、「歯周病」、「脳卒中」、「心臓病」では5割未満(図5)。
 (4)  現在習慣的に喫煙している者のうち、「たばこをやめたい」と回答した者は男性の4人に1人、女性の3人に1人。「本数を減らしたい」と回答した者とあわせると、全体で男女とも約7割。一方、「やめたくない」と回答した者は、男性の4人に1人、女性の5人に1人(図7)。
 (5)  現在習慣的に喫煙している者のうち、「禁煙を試みたことがある」と回答した者の割合は、男性で約5割、女性で約6割(図8)。
 (6)  現在習慣的に喫煙している者において、男女とも1日に11~20本喫煙していると回答した者の割合が最も高い。40~50歳代男性の約2割は、31本以上喫煙(図11)。
 (7)  たばこを「まったく吸ったことがない」又は「今は(この1ヶ月間)吸っていない」と回答した者のうち、家庭又は職場で受動喫煙の機会が多かった者ほど、血中コチニン濃度が高かった(図12)。

肥満、運動習慣の状況
 (8)  30~60歳代男性の3割以上が肥満。20歳代女性の2割以上が低体重(やせ)(図13)。また、30~60歳代男性の約3割が上半身肥満の疑い(図15)。

栄養素等摂取、食品群別摂取の状況
 (9)  20歳以上で、補助食品等からビタミン・ミネラルを摂取している者の割合は、最も多いビタミンB1で5.3%(表1)。

 ・ I  調査の概要 (PDF:18KB)
 ・ II  結果の概要 (PDF:545KB)

臓器移植法改正案の修正作業を注視していく

2005年04月21日 | こども・小児科
私自身は脳死移植で延命するつもりはありませんが、ドナーカードは持っていて臓器提供には全てマルをつけてあります。もし自分の子どもなら、おそらく移植をお願いするだろうと思います。現在の日本の移植医療のあり方が、このままでいいとはもちろん思っていません。

ただし、河野太郎氏らがまとめた改正案は、これまでの議論をパスして、とにかく数が足りないから「脳死体を増やす」ことを命題にしてつくったとしか思えません(基本的にはその方向性は受け入れられるのですが)。小児の脳死判定や虐待が疑われるケースなどの問題もあります。ここでは論じ切れませんが、死の判定基準が2つある現在の法律は「それだけはやっちゃだめだよ」という結論でした。しかし、一つの線をひくことの出来ない中でやむを得ない選択でもあった。

これを全て一律に脳死=死にしてしまえば、一見するとわかりやすくなるけれども、現場はまた混乱するでしょう。最も親しい人の死を迎える家族の気持ちのありようは、一律ではありません。ドナーカードの所持を半ば義務づけるような対策も考えられるでしょう。いま急がなければいけないからこそ、拙速だけは避けなければいけません。

ここにきて、反対意見を受けて修正作業に入ったようですが、賛否両論がぶつかりあったまま採決するような法案ではないので、きちんと国民的合意が得られるものになるのか、注視していく必要があります。

「脳死は一律に死」に反対 移植法改正で柳田邦男氏ら
臓器移植法改正案:ドナーカード普及が先だ(森岡正博)
臓器移植法改正に関する河野私案について(河野太郎)

移植法改正案:「脳死」家族の同意必要 自公検討会(毎日)
家族に脳死判定拒否権…臓器移植法改正で与党検討会(読売)
[脳死臓器移植]「『命のリレー』の議論を深めよう」(読売社説)
臓器移植法改正/まず検証と議論が不可欠だ(河北社説)

社説:移植法改正案 ドナーカード普及が先決だ(毎日)
臓器移植法:臓器提供「虐待疑い児童、除外を」--改正で専門家ら(毎日)
クローズアップ2005:臓器移植法改正案 賛否「死の定義拡大」(毎日)
臓器移植法:「脳死は人の死」一律に定義 改正案判明(毎日)

Transplant Communication

乳幼児突然死症候群(SIDS)に関するガイドライン

2005年04月20日 | こども・小児科
乳幼児突然死症候群(SIDS)の診断のためには解剖することが必要条件であり、SIDSを「死亡が予測できず死亡状況調査や解剖でも原因が特定されない突然死をもたらした疾患」と定義するというガイドラインが厚労省の研究班から発表になりました。
SIDS:診断でガイドライン--厚労省研究班(毎日)
 健康な乳幼児が寝ている間に突然死する「乳幼児突然死症候群」(SIDS)について、厚生労働省の研究班は18日、SIDSの診断には例外なく解剖が必要とすることを盛り込んだガイドラインを発表した。解剖していない場合は死因を「不詳」とするよう規定し、あいまいなSIDS診断を認めない内容。過失による窒息や虐待などの事故隠しを防ぐことにつながりそうだ。

乳幼児突然死症候群(SIDS)に関するガイドラインの公表について(厚生労働省)

診断のためには解剖が必須というのは以前から定められていたはずで、何を今さらと思ったのですが、今までのは学会等のガイドラインだったのかもしれません。その他に、旧厚生省研究班が作成した診断基準で「2歳未満」とした対象年齢も、欧米にならって「原則1歳未満」としたことが主な変更点のようです。

しかしながら、別の記事によると、「赤ちゃんの急死を考える会」の櫛毛冨久美(くしげ・ふくみ)事務局長は「新ガイドラインでは窒息死と診断しにくくなり、結果的にSIDSの診断が増えるのではないか」と指摘して、厚労省に見直しを要請するということだそうです。赤ちゃんが突然亡くなるということは、想像を越える悲しみとショックであり、保育園などにおける訴訟も後を絶ちません。窒息死との鑑別というのも解剖すれば簡単にわかるというものでもありません。この分野での研究も、既に学会に昇格しているSIDS研究会の初めての会に参加して以来、多くの知見が明らかになってきています。とりあえず私たちにできることは、母親や家族の喫煙、うつぶせ寝、非「完全母乳栄養」といったリスクファクターを減らすことですが、うつぶせ寝がほとんどなくなってきた今、問題の中心はタバコです。

SIDS2000

新渡戸親子開拓の足跡をたどる「太素ウォーク」

2005年04月19日 | SPORTS
十和田市の稲生川開拓の道を辿る「太素ウォーク」(5/3)の開催情報が十和田商工会議所のページに掲載されています。対外的には殆ど宣伝していないみたいなので、十和田市民しか知らないかもしれません。申込み締め切りが22日と迫っております。22キロと14キロのコースですから、まずまずの距離でしょうか。それよりも、新渡戸親子の足跡を辿るというテーマも行こうとしてなかなか訪れる機会がないので、ちょうど良いタイミングかなと思います(新聞の連載もあったし)。一緒に昨年までの情報などのリンクを掲載しておきます。その他の県内のウォーキング大会としては、6/4~5の青森、7月末(未定)の十和田湖ウォークなどもありますが、6月の青森はパスで、十和田湖は今年も崖崩れの工事が間に合うか難しいところです。

太素ウォーク2005
ウォーキング・コース紹介(太素ウォーク)
200人が太素ウォーク/十和田(2004年5月4日 東奥日報)
水土里の路(みどりのみち)ウォーキング大会 太素ウォーク2004太素塚(新渡戸記念館)から法量農村公園

6/4~5 AJW 第3回縄文の杜あおもりツーデーマーチ(青森)/日本ウォーキング協会
十和田湖ウォーク(日程未定)

東奥日報連載「生きる/あおもりの未来紡いで」

2005年04月18日 | こども・小児科
東奥日報で今月から始まった連載「生きる」がWEBにも掲載されているのでこちらにも紹介しておきます。県内の小児医療や産科医療の問題などを追っていますので、他紙を購読されている方も目を通してみてください。直接のコメントはしないでおきますが、産婦人科医の集約に関してはこのブログの別ページでも取り上げたし、この連載17回にも看護師の声などが掲載されています。

生きる/あおもりの未来紡いで(東奥日報)
第1部 小さな命
* (17完)読者から(下)/産科休診に募る不安(2005.4.17)
* (16)読者から(上)/つらい死産 心のケアを(2005.4.16)
* (15)学齢期を迎えて(下)/未熟児の育児支援(2005.4.15)
* (14)学齢期を迎えて(上)/近くの学校選んだ親子(2005.4.14)
* (13)ネットワーク/育児の悩み、不安軽減(2005.4.13)
* (12)下北半島北通り/小児・産婦人科の空白地帯(2005.4.12)
* (11)不妊治療(下)/子ども願う思い切実(2005.4.11)
* (10)不妊治療(上)/37歳夫婦、揺れる思い(2005.4.10)
* (9)母子保健の記憶(下)/地域から課題提起を(2005.4.9)
* (8)母子保健の記憶(中)/労働優先、休めぬ妊婦(2005.4.8)
* (7)母子保健の記憶(上)/明治期から高い死亡率(2005.4.7)
* (6)助産師・福士レイ子さん/地域医療を支える(2005.4.6)
* (5)医師不足(下)/開業、定年、若手敬遠…(2005.4.5)
* (4)医師不足(上)/突然の産科休診「どこでお産すれば…」(2005.4.4)
* (3)先進地・岩手県/全国一低い新生児死亡率(2005.4.3)
* (2)周産期センター/赤ちゃん救命の切り札(2005.4.2)
* (1)死産を越えて/「無事です」震え止まる(2005.4.1)

ラドクリフ、完全復活V

2005年04月17日 | SPORTS
マラソン中継があれば観戦するのを常としていたのですが、本日(17日)の長野マラソンはすっかり忘れていたし午前中だったので見逃してしまいました。また、ロンドン・マラソンでは、ラドクリフが2時間17分42秒という「男性ペースメーカーなし」での世界最高記録で完全復活というニュースが伝えられています。過去の上位5傑のうち4つがラドクリフというのも驚異的です。
【マラソン】強いぞ、ラドクリフ!世界歴代3位で独走V
しかし、「34キロ付近で突然立ち止まり、道路脇に数秒間しゃがみこんだが、瞬時に用を足したようで、すぐに走り出した」というのは意味不明ですね。まさかコース上でそんな数秒間の早業で小や大の「用」を足したわけはないし、吐いたようでもないし、ただしゃがみ込んだだけなのではないでしょうか。そんなアクシデントがあってこのタイムですから、ヘルシンキの世界陸上で日本勢5人との対決が楽しみになってきましたね(持ちタイムでは断然ラドクリフなのですが)。それにしても、ラドクリフはアテネでマラソンリタイアの後に1万も走っているし(これも途中リタイア)、ニューヨークも走って優勝しているのに、日本女子の3選手は、土佐と坂本が駅伝に出場したくらいで、野口は春のレースも不参加の様子だし、どうしてこんなに差がつくのでしょうね。

http://www.sportinglife.com/others/news/story_get.dor?STORY_NAME=others/05/04/17/ATHLETICS_London.html
Paula Radcliffe was a runaway winner of the Flora London Marathon - despite taking a brief rest to go to the toilet when she was suffering from stomach cramps.
これによると、道端ではなくトイレに行って、約15秒間のブレイクのあとに走り出したとのこと。

マラソン中の水の飲みすぎは危険?(飲まないのはもっと危険)

2005年04月16日 | SPORTS
「水の飲みすぎは危険? マラソンで研究結果発表」というニュースが報道されていますが、では一体何をどのくらい飲めば良いのでしょう。 上記の記事の最後に「レース前に食塩2グラム摂取するだけで全然違う」と書かれています。雑誌などにも同じように食塩摂取の必要性が特集されたこともありましたから、この研究結果はそれを裏付けるものであって特に新しい知見というわけではないようです。その前に、記事の中で意味がとりにくい「肥満度指数が20%以下」という部分は、肥満度20%ではなく(それだとやせ型ではなくヒマンだ)、BMIが20以下ということだと思います。

まずは、マラソン中は暑くない日でも相当量の汗をかいていて、多くは蒸発しているのでさほど意識されないが、長い距離を走れば予想以上に体重は減っている。つまり、長距離走では多かれ少なかれ脱水状態になるのが前提。汗は尿と違って電解質の調整範囲が狭いので、汗と共にナトリウムなどの電解質は失われて、低張性脱水(低ナトリウム血症)に傾く。暑い日で1リットル汗をかくと3~4gの塩分が失われるというデータもあるようです。これをイオン飲料で補おうとしても、通常の濃度ではとても補えないし、実際には薄めて飲むことも多い。まして、脱水の治療に使われるような濃いのはとてもじゃないけど飲めない。よって、飲物の濃度によって低張性脱水を防ぐことはできない。ということは、どんな種類の飲物でも、水分量はある程度補われるけれども、低ナトリウム血症は補正されず、濃度の薄いもの(あるいはただの水)を多く飲めば助長されることになる。

一流のスピードランナーは、水分補給といってもそれほどの量は口にせずひたすら走りすぎて、2~3時間でレースを終えるので、水ナトリウムバランスという意味でのダメージはさほど大きくならない(アテネのような過酷な条件でなければ)。東京国際の高岡選手なんて、中盤までほとんど給水してませんでしたよね。それに対して、一般ランナーは4~5時間、あるいはそれ以上かかって、長い時間汗をかき続け、エイド毎にゆっくり給水しながら走ることになるので、更にリスクが高くなる。記事中の、
「最も危険なのはレース後に体重が増えているような選手」
(1)3、4リットルの水分補給(2)スローペース(3)女性
(4)肥満度指数が20%以下のやせ形-などの条件を満たす人は可能性が高い
というのがまさにそれに当てはまるのだと思います。

要するに、記事のタイトルから予想されるような「水を飲みすぎないようにしましょう」ということではなく、必要な塩分をどのタイミングでどれくらい補給するかがポイントだということでしょう。スポーツドリンクがダメなのではなく、それでも足りない。「水だけ」の飲みすぎは危険なレベルの「低ナトリウム血症」に陥る可能性が高い。