WHOチャン氏の声明などを読みましたが、25日の時点でフェーズ4指定を見送ったのは、特にアメリカ国内での感染の拡大、感染例の経過や重症度、周囲への二次感染の有無などがキーポイントであるように思えます。他に政治経済的な配慮も影響したのかどうか。。
26日発表の第2報(下記)では、5州20名に拡大していますが、全例軽症で死亡ゼロ。
感染力は「普通のインフルエンザ程度か」という言葉も記者会見でどなたかがおっしゃってました。
注)感染力とウイルスの強さ(重症度)は全く別のものです
アメリカとメキシコの行き来の多さと、これまでに数週間経過していることを考えると、更に拡大することが予想されるし、初期段階でのいわゆる「封じ込め」は非常に困難と思われます。
新型インフルエンザ・フェーズ4の要件は満たしているものと思われますが、28日に指定されるかどうか。
はたして「普通のインフルエンザ程度の新型インフルエンザ」で済むのかどうか。
米国内で二次感染、三次感染まで行けば、日本に入ってくるのは時間の問題。
(既に入っている可能性も当然あります)
この国民性ですから、SARSの時のように一例でも疑われればマスコミが大騒ぎしてすぐにパニックになるかもしれません。
フェーズ4指定、国内発生に備えて、行政や医師会、各医療機関の態勢は大丈夫か。
医薬品や材料、食料の備蓄などもGW前に最低限の準備をしておくべきか。。
(とりあえず検査キットを一つだけ追加注文しましたが、タミフルは県と政府の備蓄があるはずだし院外処方なので院内の在庫は持ちません)
Swine flu illness in the United States and Mexico - update 2
http://www.who.int/csr/don/2009_04_26/en/index.html
26 April 2009 -- As of 26 April 2009, the United States Government has reported 20 laboratory confirmed human cases of swine influenza A/H1N1 (8 in New York, 7 in California, 2 in Texas, 2 in Kansas and 1 in Ohio). All 20 cases have had mild Influenza-Like Illness with only one requiring brief hospitalization. No deaths have been reported.
Swine influenza (WHO)
http://www.who.int/csr/disease/swineflu/en/index.html
Swine influenza questions and answers [pdf 188kb]
http://www.who.int/entity/csr/swine_flu/swine_flu_faq_26april.pdf
ブタインフルエンザに対する対応について(厚労省)
http://www-bm.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/090426-02.html
今回のメキシコと米国の一部におけるブタインフルエンザ事例に対応し、WHOの緊急委員会の会合が開催されました。それを受けて、WHOは、現在の状況を「国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態」であると位置づけました。
今般、保健所等における相談のため、以下の参考資料をお送りいたしますので、ご活用いただくとともに、関係機関等への周知をお願いいたします。
1. ブタインフルエンザに関するQ&A(保健所用)(暫定版)(PDF:108KB)
2. 医療施設におけるブタインフルエンザA (H1N1)ウイルス感染が確定もしくは疑われる患者の診療における感染制御の暫定ガイダンス(米国疾病管理センターによるガイダンス:仮訳)(PDF:211KB)
3. 豚インフルエンザウイルス(H1N1)に関する米国疾病管理センター Q&A(仮訳)(PDF:178KB)
(追記)
補足ですが、国立感染症研究所の岡部先生が
「症状が重いウイルスだとすると、その人は移動を自然と控えることになる。だが、症状が軽いウイルスだと、その人は症状を押して移動してしまうことが予想され、交通手段の発達した現代では、世界的大流行につながる可能性がある」
とおっしゃっているように、症状が軽いウイルスだから安心というわけはなく、エボラのような最重症のウイルスは世界中に広がる心配は少ない。
重症度、感染力、感染拡大の要因はそれぞれ絡み合っていますが、全てを勘案して判断する必要があります。
【豚インフル】食べてもOK/ワクチン最短半年? 岡部信彦・国立感染症研究所感染症情報センター長
2009.4.26 22:45
http://sankei.jp.msn.com/life/body/090426/bdy0904262245004-n1.htm
豚インフルエンザについて、専門家はどうみているのか。26日、厚生労働省で行われた「新型インフルエンザ専門家会議」で議長をつとめる岡部信彦・国立感染症研究所感染症情報センター長の発言をまとめた。
Q 豚肉はなぜ安全といえるのか
A インフルエンザウイルスは、動物の筋肉にいるわけではない。もしウイルスのついた肉を食べると、胃の中で感染するということになるのだが、人間の胃にはウイルスに関する受容体はない。さらに、一般的に豚肉は生では食べないうえに、現在、日本の豚に豚インフルエンザが蔓延(まんえん)している事実がないこととも、「豚を食べても大丈夫」という根拠になる。
Q WHOは国際的な警戒レベルを、現在よりも引き上げることを見送ったが
A 検討すべき項目があるということで、理解できる判断だ。「引き上げる必要がない」ということではない。ただ、日本国内の警戒態勢は、WHOの警戒レベルに合わせて強化するのではなく、日本独自の判断で強化することもあり得る。
Q メキシコでは死者が多く、米国では軽症で済んでいることをどうみるか
A 私もぜひ知りたいところだ。ウイルスが原因なのか、医療のレベルに差があるのか。いくつかの条件を検証しないと判断できない。WHOも調査しているはずで、そのうち分かってくると思う。
Q ワクチンの製造にはどのくらいかかるか
A 市場に出るまで最短で4、5カ月。ただ、動物実験で安全性を確かめるなど、すっ飛ばしてはいけないプロセスもあり、半年から1年はかかるのではないか。うまくいけば、この冬に間に合う。
しかし、今回のウイルスが米国での症例にみられるように軽症なウイルスだとすると、他のワクチン製造をやめて、豚インフルワクチンをつくる必要があるのかということも考えないといけない。
Q 国内流行の可能性は
世界的に広がらずに収まってほしいが何ともいえない。症状が重いウイルスだとすると、その人は移動を自然と控えることになる。だが、症状が軽いウイルスだと、その人は症状を押して移動してしまうことが予想され、交通手段の発達した現代では、世界的大流行につながる可能性がある。
Q 日本で症状が出たときに、何を根拠に豚インフルエンザと診断するのか
A ウイルスの遺伝子配列など詳細が判明していない現段階では、渡航地や症状を根拠に推測するしかない。そういう意味では、メキシコからの帰国者でインフルエンザの症状が出ている人には、その後の行動を規制するなど、迷惑をかけることになるかもしれない。