踊る小児科医のblog

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脱原発には自前の電力で発言権と心の自由を 太陽光発電で流れを変える 青森の医療機関100軒に設置を

2012年07月15日 | 東日本大震災・原発事故
■ 太陽光発電についてENEOS(Panasonic(旧サンヨー)の太陽光パネル)の説明会あり。蓄電池、燃料電池(エネファーム)も。現時点で現実的な選択肢は太陽光発電システム単独か。八戸市は補助金枠が切れそう。日産リーフの蓄電池パワーが話題に。2日分の電力供給できると。

■ 八戸市の太陽光発電システム導入支援事業は1kW当たり2万円(上限7万円)しかない。青森市の1kW当たり3.5万円(上限14万円)の半分。青森県は補助金がない。来年度まで待って7万円補助を受けるよりも早く設置した方が良いだろう。

■ 固定価格買取制度は払うより貰わないと損。太陽光発電は約10年で元が取れるし、早死しても発電しつづけてくれるのでリスクは少ない。官邸前デモや集会も大切だけど、持ち家がある人みんなが太陽光パネルを設置しだせば、流れを一気に引き戻せるはず。

■ これだけ国民の願いを無視して、原発再稼働・核燃サイクル存続へ無謀とも言えるゴリ押し路線をあからさまにしている政府・電力会社・経済界・原子力ムラに対して、圧倒的多数が完全にノーの意思表明を突きつけることが必要。

■ 青森県の医療機関100軒に太陽光パネルを設置できたら大きな力になるはず。今まで頭の中でわかっていても取り組んでいなかった課題。足下から一歩を。

■ 現時点では燃料電池(エネファーム)を併置しても完全自立システムはちょっと無理のようだ。リーフの蓄電池を使えばかなり違うが初期投資が大きすぎる。しかし、平時(特に日中の電力ピーク時)に電力会社に頼らないこと、差引でプラスになることは大きい。停電時の対策は特にしないことに。

■ 電力自由化になれば東北電力をやめて原発のない沖縄電力から買おう。(ということも可能なんだろうか)

広瀬隆講演会 9/21弘前 22八戸 鎌仲ひとみ監督『内部被ばくを生き抜く』上映会(計画中)その他の情報

2012年07月15日 | 東日本大震災・原発事故
■ この1ケ月(5週間)で4回青森に通ってちょっと疲れた。禁煙、小児科、学校保健、脱原発・核燃。今日は進展あり。情報をこの後お伝えします。太陽光発電も具体的検討に入りたい。深夜になってNHKのエネルギー討論番組を見始める。

■ さようなら原発10万人集会 7/16 代々木公園 11:00~ 青森県保険医協会も出店します(会場マップの11番:一番良い位置)。脱原発シールや書籍を販売します。原発・核燃施設の集中する青森県で脱原発・反核燃を訴えつづけている医師・歯科医師の団体(会員約1100名)です。

■ 広瀬隆氏講演会 9/21(金)18時 弘前文化センター(500名)無料 主催:青森県保険医協会 9/22(土・祝)14時 八戸市公会堂文化ホール(500名)無料 主催:1万人訴訟原告団

■ 鎌仲ひとみ監督『内部被ばくを生き抜く』上映会+意見交換会(未定)八戸市(被災地扱いで無料?になるか)。青森・弘前・むつでも(500円)。DVDは取得済み(Wakako先生提供):いま借りてますがまだ観てません。これから計画しますので随時お知らせします。

■ 「なくそう原発・核燃 あおもりネットワーク(仮称)」311県民集会実行委を発展的に解消し緩やかなネットワークを。準備会で検討中(参加団体・個人呼びかけ予定)。会費無料(カンパ)。FB, twitter, MLなどのネットで情報共有や情報発信を。8月下旬に記者会見・設立総会。

■ TwitNoNukesAOMR ツイット・ノーニュークス青森 7/22 13:30 青森駅前公園集合~ニコニコ通り~県庁前~新町通り~県庁横 http://twinonukesaomr.blogspot.jp/ https://twitter.com/twitnonukesaomr

■ 反核ヴァラエティー PEACE LAND a go! go! 楽しくマジに考える原子力とエネルギー 7/29 13時 八戸市はっち1F 無料 原子力戦隊スイシンジャー 三浦秀一・山形芸術工科大学・環境デザイン学科准教授(自然エネルギー) http://peaceland.jp/PeaceFiles/event.html#Anchor-23610

■ あおもり未来教室 7/21 13時 青森県民福祉プラザ4F 伴英幸さん(原子力資料情報室共同代表)「原子力委員会の傾向と対策」+シンポジウム 参加費:800円 主催:みらいアクション青森、PEACE LAND オプショナルイヴェントあり http://peaceland.jp/PeaceFiles/event.html#Anchor-38066

■ 福島からの農業者支援サークル(5/30東奥日報記事)「福島の農家 弘前で仕事を 農地を無償貸与 収穫物買い上げ 市民有志 支援サークル設立」

■ 2013年3.11集会や4.9集会などについて(全く未定)

■ 脱原発、新エネルギーで新規事業、雇用促進、地域活性化に繋げようとしている地元企業やNPOなどの勉強会・シンポジウム開催(未定)。原発・核燃にしがみつかなければ青森の経済は沈むのではなく、しがみついていれば沈んでしまう(脱原発は儲かる)ということを経済界にアピール。

人工呼吸器患者を人質にした原発再稼働は卑劣なすり替え 青森県保険医協会「再稼動抗議・停止要求」声明

2012年07月05日 | 東日本大震災・原発事故
→PDF

                       2012年7月3日
内閣総理大臣
野田 佳彦 殿
                     青森県保険医協会
                      会長 大竹 進

 大飯原発再稼動に強く抗議し、直ちに停止することを求める

 2012年6月16日、野田政権は関西電力大飯原発3・4号機の再稼動を決定し、7月1日には3号機を再稼働させた。
 全電源喪失/メルトダウンの原因が地震によるものか、その他の要因か解明されていないにもかかわらず、再稼働の前提としての安全基準を、たった3日で決めた。班目原子力安全委員長も指摘するように総合的安全評価とはいえない。
 住民の安全対策も先送りされ、防潮堤、フィルター付きベント装置、免震事務棟、さらには事故発生時の避難計画まで準備ができていない。

 一方、再稼働の理由として「夏場の電力不足」が喧伝され、細野大臣は報道番組で「人工呼吸器の方々のために原発による継続的な電気の供給が必要」という旨の発言を行った。これはすりかえである。
 人工呼吸器使用者に必要なのは原発の電気ではなくて、いつでも起こりうる停電時の対策である。人工呼吸器の停電対策を口実に原発を容認させようとする大臣の発言には、憤りを感じざるを得ない。
 再稼働の前に、人工呼吸器に適合した十分量のバッテリーや足踏み吸引器を準備すること、長時間の停電に備え人工呼吸器使用者が全員受診できる拠点病院を定め、停電対策を整備、充実するべきだ。

 私たちは、国民のいのちと健康を守る医師、歯科医師の立場から、大飯原発再稼動を決定した政府に強く抗議するとともに、関係する住民の声に耳を傾け、再稼働を速やかに中止することを下記に求める。

           記

一、大飯原発再稼動に強く抗議し、直ちに停止すること。
一、人工呼吸器使用者の不安にこたえ、あらゆる対策を早急に実施すること。

参考資料

人工呼吸器使用者の停電への備えに関する調査の結果について(東京都 2011/6/1)
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/joho/soshiki/hoken/shippei/oshirase/jinnkoukokyuukiteidennhenosonae/index.html

上記の調査をふまえ対策が進んでいます。

在宅で人工呼吸器を使用している方の災害時支援を強化!(東京都 2012/3/28)
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2012/03/20m3s500.htm

「東京都在宅人工呼吸器使用者災害時支援指針」の概要
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2012/03/20m3s501.htm

地震の様式例
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2012/03/DATA/20m3s500.pdf

厚労省:計画停電が実施された場合の医療機関等の対応について(2012/6/25)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002doat.html

シンポジウム・震災と停電をどう生き延びたか
福島の在宅難病患者・人工呼吸器ユーザー(他)を招いて
http://www.arsvi.com/d/d10e20110918.htm

節電・北海道:計画停電 「早期の具体策を」 医療機器“命綱” 患者から強い声 /北海道
毎日新聞 2012年06月23日 地方版
http://mainichi.jp/area/hokkaido/news/20120623ddlk01040275000c.html

人工呼吸器:電源に保険適用 在宅患者、停電対策で
毎日新聞 2012年05月12日 大阪朝刊
http://mainichi.jp/area/news/20120512ddn001040002000c.html

「子どもに関しては楽観しない方が良い」鹿児島大・秋葉教授「小児の放射線被ばくと健康への影響」を聴いて

2012年07月04日 | 東日本大震災・原発事故
鹿児島大学・秋葉澄伯教授の小児の放射線被ばくに関する講演を聴いてきました。
ネット上では御用学者のリストにも名前が載っているのでどうなのかと思っていましたが、低線量被曝に関しては「証拠がないことは影響がないことを必ずしも意味しない」と一貫して慎重な姿勢を示し、3.11以降の専門家の乱暴な発言が混乱をもたらし学者への信頼を失わせたと批判していました。

がんや遺伝的影響以外の放射線被曝の健康影響については白内障などを除いて殆ど触れられませんでしたが、この講演を聴く限りでは「安全側」の御用学者とは一線を画しており、なぜリストに載っているのか根拠が希薄であると思われました。

以下、講演メモの中からポイントと思われる点だけを抜粋しますが、あくまで備忘録としてのメモであり、秋葉氏の意図と異なる可能性があることをおことわりしておきます。

2012.6.30 青森県小児科医会総会・講演会
「小児の放射線被ばくと健康への影響」
鹿児島大学 秋葉澄伯教授

秋葉教授が「ショッキングなデータ」として紹介した最新の「CTによる白血病と脳腫瘍増加」の論文。
まだ全文に目を通していないので、SummaryのFindingsの部分だけ引用しておきます。

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Radiation exposure from CT scans in childhood and subsequent risk of leukaemia and brain tumours: a retrospective cohort study
Mark S Pearce
The Lancet, Early Online Publication, 7 June 2012
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2812%2960815-0/abstract

Findings
During follow-up, 74 of 178 604 patients were diagnosed with leukaemia and 135 of 176 587 patients were diagnosed with brain tumours. We noted a positive association between radiation dose from CT scans and leukaemia (excess relative risk [ERR] per mGy 0.036, 95% CI 0.005―0.120; p=0.0097) and brain tumours (0.023, 0.010―0.049; p<0.0001). Compared with patients who received a dose of less than 5 mGy, the relative risk of leukaemia for patients who received a cumulative dose of at least 30 mGy (mean dose 51.13 mGy) was 3.18 (95% CI 1.46―6.94) and the relative risk of brain cancer for patients who received a cumulative dose of 50―74 mGy (mean dose 60.42 mGy) was 2.82 (1.33―6.03).

過剰相対リスク excess relative risk [ERR] ERR=RR-1
 白血病 0.036/mGy
 脳腫瘍 0.023/mGy
相対リスク relative risk [RR] <5mGyと比較して
 白血病 30mGy以上 (平均51.13mGy) で3.18
 脳腫瘍 50-74mGy (平均60.42mGy) で2.82
(1mGy=1mSv)

1mSvのCT外部被曝で白血病が元の割合に対して3.6%(元が1%なら1.036%)、脳腫瘍が2.3%増える(同1.023%)
(twitterで最初に「1mSvのCT外部被曝で白血病が3%、脳腫瘍が2%増える」と書きましたが不正確なので訂正します。)
30mG以上(平均50mGy)で白血病が約3倍、50mGy以上(平均60mGy)で脳腫瘍が約3倍。
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放射線 α線:1Gy=20Sv γ線:1Gy=1Sv
交絡
(例)放射線による心筋梗塞のRR=3.3と出た場合でも、喫煙(RR=5.0)で分けると放射線のRR=1になる

急性
0.5Svでリンパ球減少、0.5-1Svで脱毛(別の説も)、2-3Svで脱毛・皮膚紅斑、4Svで死亡
LD50は4Grよりも高くなっている(原爆当時の医療環境のデータ)
10Grで急性の中枢症状

JCO事故:16-20GyEq ←染色体から推定
チェルノブイリ:skin burns kills patients

DNAの二重鎖切断
安定型染色体異常  →長期間増殖 →がん化
不安定型染色体異常 →数回増殖  →がんリスクと関連なし
 主に電離放射線被ばくによる 1対1で安定型を生じる
どんなに低線量でも染色体異常は起きている

遺伝的影響(2010)
「夢千代日記」の夢千代は被曝二世の白血病だったが、ヒトでは明確な証拠得られておらず。
ないと否定できるわけではない。
胎児被曝 Oxford prenetal X-ray survey (1975)
 20mSvで白血病・がんのRR 1.47
原爆では在胎8-15週の被ばくで小頭症・MR増加
小児がん:増加せず 大人のがん:増加

胎内被曝
 母:染色体異常:増加 児:染色体異常:増加せず
 しかし、数十mSvをピークとした低線量で染色体異常増加あり、
 感受性の高い人かと。
がんのリスク:胎児<小児

後影響 late effect
原爆で白血病は2年後から増加、5-6年でピーク、減少し、後年増加。
固形がんは10年後から増加して増え続けている。
チェルノブイリでは4年後から甲状腺がんが増加。
マーシャル諸島の水爆では10年後から甲状腺がんが増加。
福島も4年では安心できない。10年は見守る必要。

固形がん ERR、EARともに若い人ほど増。 ※
乳癌は差なし。肺がんは逆。「種類・部位によって異なる」。
小児は余命が長いので累積リスクは高まる。
甲状腺がんは15歳以上では増加していない。

低線量被ばく
原爆・白血病は線形二次、固形がんは低線量ではLNTの直線よりもむしろ高め。 ※
閾値ありやホルミシス効果は否定。放影研では喫煙の影響かと。
インド自然放射線では生涯500mSvまで全く増えていない。
1回の被曝との違いかと思われるがよくわからない。

※ ERR、EARの説明と、原爆の低線量でのリスクについて、放影研の論文と今中先生のコメントを下記のページに掲載しています。低線量でむしろ高めという今中先生の判断と一致しています。

「1Gy被曝でがん死リスク42%増」の意味 LNT仮説が「哲学ではなく科学」であることは明白 中川恵一批判(2012年03月19日)
http://blog.goo.ne.jp/kuba_clinic/e/2ad492da4a74ac761c45ccfd75842712

「インド自然放射線でむしろリスクが下がっているように見える」との質問に対し、
「免疫賦活化される」という説も。ホルミシス効果は証明されない。
「福島にあてはめて言っても詮無きこと」と。

I-131の内部被ばく
4月の弘前大・床次教授の調査に参加した。
Scientific Reportにaccept。(掲載予定)
100mSv超える人はいないが、20-30mSvの人はいる。
いわき市に小児が多数いたが、測定結果がない。
毎日新聞の報道の通り、福島県が止めた。県はI-131がなくなってから調査した。

Predictive risk
「許容リスク」を決め対応する線量を推定する。
「許容リスク」は人によって異なる。ここが問題。
「正しくこわがりましょう」一般の人には意味不明だった。混乱の原因。
「正しく理解して行動しましょう」と言うべきだった。
福島以降、専門家が様々なことを言い出して、学者への信頼を失っている。議論が乱暴だった。

「10mSv/年の環境で子どもが住んでいても良いか」の質問に対し、
「子どもに関しては楽観しない方が良い」。CTのReport(白血病・脳腫瘍)を再度強調。

放射線被ばくによるがんリスク:まとめ
・白血病は被ばく2年後くらいから増加し、5-6年後くらいにピークに達し、その後過剰リスクは減少
・その他のがん(固形がん)は被ばく後10年後くらいか
・被爆時の年齢の影響:がんの種類・部位で異なる
・内部被ばくと外部ひばく:甲状腺がんリスクは同じ?
・低線量の放射線被曝の影響:過剰がんリスクが有るか無いかわからない
 しかし、証拠がないことは、影響がないことを必ずしも意味しない
・急性被ばくと慢性被ばくでは、線量当たりのリスクが異なる(乳がんは例外?)

低線量域のがんリスクの有無は不明
1.閾値モデルよりは、安全側に立っている
2.単純である(よくわからない時には、単純さが重要)
3.原爆被爆者の中高線量のがんリスクのデータはLNTモデルを支持