踊る小児科医のblog

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福島 550 女川 607 築館 2933 阪神 818 柏崎 2058 一関 4022ガル、東通・六ケ所 450→600(基準地震動)

2014年05月22日 | 東日本大震災・原発事故
福井地裁の大飯原発差し止め訴訟判決で1260ガルという数字が出て来たので、過去の記録を調べなおしてみた。

福島第一原発
大熊町 震度6強
福島第一2号機
水平 550ガル(設計値の約126パーセント)
上下 302ガル

女川原発
震度6弱
1号機 540ガル(想定512ガル)
2号機 607ガル(想定532ガル)
3号機 573ガル(想定594ガル)
(女川1号は設計用最強地震として250ガル、設計用限界地震として375ガルを想定して建設された)

東日本大震災
最大値 栗原市築館 2933ガル

岩手・宮城内陸地震
一関市 4022ガル(ギネス記録)

阪神大震災 最大818ガル

2007年7月 新潟県中越沖地震
柏崎市 震度6強
最大993ガル
3号機タービン建屋1階 2058ガル(想定834gal)
地下3階 581ガル(想定239gal)
3号機原子炉建屋基礎 384ガル(想定193gal)

東通原発電 平成26年1月30日
基準地震動Ss
450ガルから600ガル規模へ見直す

六ケ所村再処理工場 安全審査申請 2014.1.7
基準地震動を450ガルから600ガルに引き上げた
(補強工事は一部の排気口のみ)

『原発ゼロ社会への道 市民がつくる脱原子力政策大綱』を読みながら 青森県で「公論形成」の場を

2014年05月22日 | 東日本大震災・原発事故
『原発ゼロ社会への道 市民がつくる脱原子力政策大綱』を少しずつ飛ばし読みしている。240ページもあるし他にやることがあるので通読は後回しだが、特記すべき提言がいくつもある。まずはこの大綱をスタートにして議論を進めていくべきだろう。
http://www.ccnejapan.com/

・再稼働せず即時原発ゼロ
・福島は空冷・石棺化
・核燃サイクル(再処理・もんじゅ)中止
・日本原燃は破綻処理・清算・公社に移管、
・使用済み核燃料は返還方針だが暫定的に(相当期間?)保管
・青森県と六ヶ所村は新たな協定締結、長期間税収確保
・再処理工場はすぐに解体せず管理

空冷・石棺化とか、使用済み核燃料はすぐに返還せず保管して税収を確保するとか、至極当然の提言なので「特記すべき」と言うほどでもないのだが、核のゴミ問題は推進派だけでなく脱原発派もネックになりかねない。

安倍政権がいくら原発再稼働・核燃サイクル堅持で前のめりになっても、どのみち頓挫することは間違いない。福島の事故処理も既に行き詰まっている。このまま進めば国民の負担も核のゴミも被曝労働も増加していくだけ。旧日本軍と全く同じ。(だからあんなに軍事路線を突っ走ってるわけだ)

安倍政権や青森県が政策転換することは全く期待できない。『脱原子力政策大綱』が提言する「公論形成」を市民サイドで進めていくしかない。6月に弁護士会主催のシンポジウムがあるようだが、保険医協会でも何らかの企画開催を検討中(大綱か内部被曝かで意見は分かれているが)。

福島の甲状腺がん「確定49+疑い40=89例」 増えたこと(2年目)も増えないこと(3年目)も懸念材料

2014年05月20日 | 東日本大震災・原発事故
これまで何回も発表データを分析して考えてきたことに、今回新たに追加することはなさそう。結論は同じで二巡目の結果を待つしかないのですが、2年目の有病率がベラルーシのピーク時に迫ってきていることに留意する必要はあるでしょう。

第15回「県民健康調査」検討委員会(5月19日)
http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/21045b/kenkocyosa-kentoiinkai-15.html
「甲状腺検査」の実施状況 PDF
http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/65174.pdf

2月の時点での一次検査受診者26万9千人が、今回で29万5千人に増え、二次検査受診者も1490人から1754人に増えていますが、3年目(2013年度)の細胞診や手術施行者はまだ少なく、次回まで「一巡目の傾向・結論」は待たなければいけない状況です。


(クリックして別ウィンドウで拡大)

簡単にチェックしていきます。
3年間で90例の甲状腺がん疑い例のうち、
51例に手術を施行して49例が「がん確定」、1例は良性結節。
残りの1例は2011年の「低分化癌疑い1例」。
(この1例を含めた50例が「がん」と報道されていますが、ここでは疑いに含めます)
この1例と、細胞診で甲状腺がん疑いだけど手術はしていない39例を合わせて「疑い」が40例。
合わせて89例が「がん確定+疑い」例。(これを90例としているのは明らかに誤り)

有病率は10万人あたり30.1(前回は27.5)。

各年度の比較では、
2011 33.7 33.3
2012 35.9 38.3
2013 11.3 18.7

1年目はほぼ頭打ち、2年目が更に増加して有病率38.3人(スクリーニング効果10年として発症率3.8人/10万人)となり、ベラルーシのピーク時(94-95年)の4人に迫ってきていることに留意する必要があるでしょう。
3年目はまだ二次検診の結果が今後も増えるはずですが、おそらく1・2年目には届かないと予想されます。



この二つの所見がどちらも懸念材料となり得るし、違うかもしれない。
これまでの議論は一番下にリンクしておきますので、納得ができないという方はまずご覧下さい。

時間がないので繰り返しませんが、概算で「スクリーニング効果10年として発症率が10万人あたり3人程度」を目安にしながら推移を見ていく必要があるとお伝えしてきました。

2年目は上記のように既に上回っています。
これが「多発」でないのなら、3年目の会津でもいわきでも同じ割合で出てこないといけないが、届きそうにない。

新聞には「二巡目の検査で一巡目に比べがんが増えるかを比較して」などと書かれていますが、違います。
スクリーニング効果が10年分なら1/10に減るかどうか。それよりも増えるかどうか。
(以下、スクリーニング効果の想定年数によって同じように比較する数字が変動します)

スクリーニング効果10年というのは大甘の天野アキちゃんみたいな数字だと思っているが、それでもベラルーシのピーク時に匹敵する。(二巡目で1/10に減るとは正直予想しにくい)
しかし、1年目から出て来ているがん患者数が原発事故によるものとも考えにくい。

とりあえず、一巡目で予想した100例に届きそうな気配。
誰がこの結果を全て合理的に説明できているだろうか。
(無論、福島医大や検討委員会の見解は論外)

多発説も、スクリーニング効果説も、検診不要説も、いずれも現時点では信じることができない。
スクリーニング効果説をとるなら、当初の見込みよりも桁が2つ違うレベルになりそう。
(私の立ち位置はどこかと聞かれたなら、多発説とスクリーニング効果説の間のどこかと答えざるを得ないが、そのどこかがわからない)

(これまでの関連entry それ以前のものは下記のページを参照)

福島県の甲状腺がん検診「スクリーニング効果は試算してから論じるべき」「なし~30年で比較」
2014年04月08日
http://blog.goo.ne.jp/kuba_clinic/e/0ba55ab5c49c2ce771321db3ed3ea276

福島の甲状腺がん「確定32+疑い42=74名」 3年目は低くなりそうだが、懸念材料にも…
2014年03月06日
http://blog.goo.ne.jp/kuba_clinic/e/a118e8eaa67a7a9dab7b55473cf42865

喫煙者は男性で3.6倍もクモ膜下出血になりやすい 青森県の60-64歳男性の死亡率は長野県の1.5倍

2014年05月20日 | 禁煙・防煙
むつ市、62歳男性、クモ膜下出血で急逝。この方が喫煙者だったかどうかは知らないが、その可能性がある程度高いのではないか。(前任者はヘビースモーカーで執務中の来客応対で喫煙しているのがテレビで放映されていたが、同じく任期半ばで死去)

喫煙者は、非喫煙者に比べて、男性で3.6倍、女性で2.7倍もクモ膜下出血になりやすい
多目的コホート研究>男女別、喫煙と脳卒中病型別発症との関係について
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/267.html

Dr.中路が語る県民の健康 2012年3月26日
平均寿命長野と3.5歳差/若死に減らす対策必要
青森県の60-64歳男性の死亡率は長野県の1.5倍、45-54歳の男性は1.9倍
http://www.toonippo.co.jp/rensai/ren2012/kenmin-kenkou/20120326.html

2期目途中での早すぎる死に関係者は「信じられない」と一様に驚きを隠せず//三村知事「ただただ驚き」//知人の死に際しての言葉としてはそれが当然かと思うが、客観的に最短命県の現実として受け止めれば、必ずしも驚くべき事態とは言えない。(喫煙者か非喫煙者かに関わらず)

ともあれ、ご冥福をお祈りします。むつ市長の急逝によって中間貯蔵施設の稼働問題が動くとも思えないが、青森県の核のゴミ問題は、推進派、反対派を超えて具体的現実的な道を早急に議論し探っていかなくてはいけない。
宮下むつ市長死去/会合中倒れる 2014年5月20日
http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2014/20140520005629.asp