熊本熊的日常

日常生活についての雑記

ノリタケの森

2011年02月20日 | Weblog
陶芸をやっていて気になっていたのは、工場で作られる量産品の製造工程だった。今日はノリタケの森を訪れてみて、その一部を目の当たりにし、目から鱗、とまではいかないにしても大いに勉強になった。特に轆轤での成型は参考になった。

機械で粘土を成型する場合、水分を多目にした柔らかい土塊を板金などのプレス機のような容量で一気に形抜きをするのだろうと漠然と想像していた。実際には、触ったわけではないので土塊の水分まではわからないが少なくとも見た目には手で挽くのと同程度の固さのものをじわりと成型している。機械で行う作業なので当然に手作業とは比べ物にならないくらい早いのだが、動作を観ていると手作業と然して変わらない。轆轤上で回転している土塊に、真上からではなく斜め上から力を加えて土を延ばすように成型している。

轆轤を挽くときも、成型したものを鉋で削るときも、「角から攻める」と先生からは指導を受けている。回転している状態のものを、最も安定的に加工しようとすれば、おそらく最も不安定な部分が脆弱で手を入れやすい。それは辺縁のなかの辺縁、つまり角の部分だ。それは手作業での場合は勿論のこと、力任せの動作が可能な機械による作業においても同じことであるようだ。

何事かに対峙するとき、真正面から向かわなければならない場面もあるだろうが、少し角度をつけてみるというのは、案外いろいろなことに応用の利くことなのかもしれない。もちろん、その場の現状認識を的確に行った上でのことではあるのだが、ゴールに至る道筋はひとつだけ、ということは滅多に無いことのように思う。様々な可能性のなかで、何を優先するのか、最終的に何を達すればよいのか、というようなことさえしっかりと押さえていれば、道はいくらでも拓けるものではないだろうか。

今度の陶芸教室では先週に引き続き皿を何枚か挽く予定だ。斜めに力を加えるということを考えながら挽いてみようかと思う。