休暇を取って飲み会に出かける。留学時代の仲間の寄り合いだ。今は企業派遣の留学生というもの自体の存在が稀少になってしまったが、当時はどこの企業にも留学制度というものがあった。企業派遣の場合は、MBAの取得ということが成果の目安とされることが多い印象があるが、私の派遣元の人事担当者は「とにかく行ってこい」とのことだった。それでも一応はMBA課程を修了して勤務先に戻るのだが、そんな調子だったので意識としては留学というより物見遊山に近かったのではないかと思う。勿論、授業やグループワークをこなすだけでも大変なことだったので、それなりのことはせざるを得なかった。しかし、大事なのは意識だろう。得がたい経験は数え上げればきりがないほどだが、それがどれほど自分のその後の生活に生きているかというと、心もとないのも現実だ。ただ、こうして留学当時の仲間と再会して何気ない会話に興じるなかで得ることは途方もなく大きい。喋っている内容とか、人物といった個別具体的なことではない。会話の端々から覗く、人の生活や価値観の断片が興味深いのである。
「馬には乗ってみよ 人には添うてみよ」とか「人には添うてみよ 馬には乗ってみよ」というのだが、そこまでしなくとも、人の話を聴くだけで、そこに物事を考えるヒントがいくらでもちりばめられているのである。そういうことに気がつくようになったのは、やはり、それ相応に齢を重ねてからのことだ。それまで気付かなかったことに気付くようになったとき、歳を取るのは楽しいことだと思えるようになるものだ。
「馬には乗ってみよ 人には添うてみよ」とか「人には添うてみよ 馬には乗ってみよ」というのだが、そこまでしなくとも、人の話を聴くだけで、そこに物事を考えるヒントがいくらでもちりばめられているのである。そういうことに気がつくようになったのは、やはり、それ相応に齢を重ねてからのことだ。それまで気付かなかったことに気付くようになったとき、歳を取るのは楽しいことだと思えるようになるものだ。