午後3時40分ごろ、職場が突然停電した。私の席は窓際で眼下に東京駅を発着する列車が見えるのだが、何も変わった様子はなく往来している。駅をはさんで向かいのビルはエレベーターが剥き出しになっているのだが、これも相変わらず上下している。職場のビルだけが停電したのかと思って、様子を見に出かけようとしたらエレベーターが使用不可になっていた。さすがに非常用電源は機能していて非常灯は点灯してる。いつのまにかビルの管理会社の人がトランシーバー片手に巡回を始めていて、その人から他の階に移動するなら非常階段を使うようにと言われた。私の職場は27階である。空調も停止し、ブラインドを動かすこともできなくなった。トイレはセンサーが作動しないので水を流すことができなくなった。近頃のオフィスビルはなんでも電気で動くようになっている。だから停電すればなんにも動かなくなる。大きな震災がある度に自動化されたものの脆弱性を嫌という程体験したはずなのに、身の回りのものはネットでつながり電気で動くようになっていて、その範囲は広がる一方だ。その電気を作り出すほうのことも、喉元過ぎればなんとやらで、おそらく近い将来に日本中の主だった原発は再稼働するのだろう。人間というものは結局は自分のことしか頭になく、他人事から教訓を得るということは期待するほうがどうかしていて、そういう人間が作っている社会も無責任にできている、ということなのだろう。つまり、そうやって我々は滅亡することを運命付けられているのである。