熊本レポート

文字の裏に事件あり

村田・前川JV指令のTOT+X作戦

2012-05-31 | 社会・経済

 熊本県環境整備事業団(村田信一理事長・副知事)は30日、同県玉名郡南関町下坂下地に建設予定の公共関与管理型最終処分場について、予想通り「一括(設計・施工)方式」での入札を発表。

 同公告によると入札は指定期日(8月29日~9月5日)までに技術提案書等を提出し、同提案書と入札(9月5日)における入札価格を総合的に評価して落札者を決定するという総合評価方式。

 同一般競争入札への参加には、別項条件を満たす構成員の4社(4社JV)として、同代表構成員の資格となる経営審査評定値は土木1400点以上で、建築1300点以上と意外に低い。

 この総合評定値からだと若築建設、大日本土木辺りまで含まれ、同参加の代表構成員にはスーパーゼネコンから中堅ゼネコンまで約30社前後を予想し、普通は「競争原理のはたらく入札を図った」と評価される。

 ところが一方、同発注については「競争原理のはたらかない官製談合」という予測が以前からあって、しかも関係内部から、そうした噂が飛び出ているとなると、この事業は根本的に不可解というより異常。

 産業廃棄物の排出量が産業界の排出減量、再資源化キャンペーンで下降傾向に 入った現在、何で42万立法メートル容量もの処分場が必要なのか、また国交省指定の防災指定地域問題を含む環境問題はどうなのか、そうした肝心な問題には鈍いとなると、人の懐、その財布に直結する話の検証から始めるが、事業の原資は国民の税金。個人の利害を挟む余地など、本来はそこには存在しないのである。

 入札参加には別項条件を満たす構成員4社と述べたが、別項条件の中に「本設計の設計者として10年以上の経験を有し、衛生工学、廃棄物管理の資格を有する技術者を配置できる」という一項がある。この一項の条件によって、参加資格の代表構成員は30社余りからスーパーゼネコンを中心にした10社余りに絞り込まれる。

 そして問題なのは、「設計を含む一括方式の入札」という一点。

 すなわち同環境整備事業団からの提示、説明は「埋立面積、埋立容量、クローズド型、そして付帯施設は侵出水集排水、地下水集排水、埋立ガス処理施設等」といった概要だけで、これだけで技術提案書を作成し、入札額の積算を行えというのだ。

 何らかの作動を受け、数合わせで参加する代表構成員ならともかく、真面目に参加するには技術提案書の作成もそうだが、積算のための設計、策定書の作成が事前に求められる。同環境整備事業団は64億5960万円の予定価格の中で、詳細設計の予定価格を1億27万5000円と内訳提示しているが、この金額まではともかく、策定書作成費用として少なくとも約3500万円は要する(同業界複数社談)。

 公共工事の全盛時ならともかく、この先行き不透明な今日、約3500万円をどぶに放り投げる結果も予測される入札 に果たして何社が参加するか。

 50パーセント以上の落札が可能性として想定でもされない限り、熊本営業所の思惑に関係なく、普通の企業なら「止めとけ」と指示を出すのが本社、支店の常識。

 裏を返すと「落札の感触を事前に得ている」、いや「受注の可能性に賭ける自信を所持」といった代表構成員に絞られてくる。その裏付けとは何か、いまさらそれは問題ではない。参加代表構成員が数社、いや3社以内に絞り込まれる。仮に1社であっても、共同企業体の事前審査型での一般競争では、同入札は成立。

 発注側にとっては、まさしく「思惑通り」である。これが巷で噂の「村田・前川JV指令のTOT+X作戦」で、ここから蒸し暑い夏に向けての同シナリオの検証に入る…。