熊本レポート

文字の裏に事件あり

安田公寛市長が隠し通そうとしたあまくさ荘での秘め事とその足跡 第1回

2013-10-07 | ニュース
 2007年9月、「あまくさ荘を公募で民間に売却」と語った天草市の安田公寛市長が同013年9月、自らの手で同計画を潰した。
 1万9640平方メートルの同敷地を秘密裏で特定の業者へ売却し、「観光施設としては成り立たない1万1640平方メートルに面積を縮小した。市長は馬鹿とはいわないが、安田市政は羊頭狗肉」(地元観光協会役員談)
「国立公園内での建ぺい率は20パーセント以下。3928平方メートルの床面だから観光宿泊施設としてはまだ魅力があった。それが2328平方メートルに減って、採算をどう図れというのだ」(全国大手観光業者談)
 熊本市内に出張の深夜、タコ焼きを抱えて天草マラソンではないだろうが、小躍りして宿泊先に足を運ぶ市長の後ろ姿を想うと、その羊頭狗肉がオーバーラップする。
 経済収支比率92・2パーセント、公債費負担比率が18・2パーセント、地方債現在高が五5百86億2千7百37万円で、これは県内14市ワースト1。市民一人当たりの借金額は65万円。
 7年経っても改善の兆しが見えないというのは同市長の資質に問題。人材不足か、また何が良いのか支持する有権者のレベルに問題かということになるが、資質についての実証がこの「あまくさ荘民営化問題」であって、羊頭狗肉の検証でもある。
 雲仙天草国立公園内に立地したあまくさ荘はピークの1993年度、1万7400人余りが宿泊。だが、その後は施設の老朽化や観光スタイルの変化に伴って旅行者のニーズに対応できず、宿泊者や休憩者はともに減少。06年度は8265人まで落ち込み、2百79万円の赤字を計上した。
「安全性にも問題が発生した建物と施設。そして泉源まで1・39キロに及ぶ送湯管等の改修まで7億円が試算されて、そこで生き残る道は民間企業への譲渡と決定」(元施設管理者談)
 それが冒頭の民間企業への譲渡計画。ところが、その後が馬鹿とは表現できないが、私的で場当たりのプロセス。Photo_6
 当時の対象物件は、建物本館が鉄筋コンクリート建造で一部三階建ての総床面積約1924平方メートル。これに別館木造の約282平方メートル。土地は約1万1614平方メートル。
「評価額は4千50万円なのだが、入札で予定している最低売却価格は2千9百90万4千円」
 天草市財政課の見解であったが、さらに条件付きながら譲渡先には一億円を上限として用地取得補助金を約束。
「施設の建物だけでも4千万円の評価額を想定」(地元観光業者談)
 こうした見解を考えると、財政ワースト1を忘れた優遇処置の民営化構想。それは、その1である。
 公募された入札にはHIS(九州産業交通ホールディングスの親会社)、スタジオアレックス(大阪市)と、これに地元三社(一社は途中で辞退・後述)が参加の意向を表明(07年12月)。
 ところが08年1月、その施設面積の中の1689平方メートルを市道に変更。
「施設内を通路、玄関口として利用していた五足の靴(観光旅館)を考慮して、民間譲渡前に同敷地を市道化」(地元商工会役員談)
 五足の靴とは、入札を途中で辞退した伊賀屋(山崎博文代表・天草市天草町下田北)の姉妹旅館。
 これについて天草市は、「山頂に市水道課の給水施設があって、その点検のための市道化」(同財政課)
 給水施設の点検、管理上からの変更と語るが、同市水通課元職員は「非稼働の施設」
と証言。
 周辺住民に配水していたか否かはともかく、仮に給水施設として稼働していたとしても月に一、二回程度の点検、管理に1689平方メートルの市道が果たして必要だったのか、というのは問われる。
「明らかに『五足の靴』の通路確保で、同施設の民営化における最悪でのケースを考えての事前的な施策」
 周辺地区の観光事業者は、揃ってそう語る。
 反全市民的な市政…。