熊本レポート

文字の裏に事件あり

熊本県汚染部の業 第一弾・環境立県とは真逆の悪行を追跡

2014-11-24 | ブログ

 害をもたらした悪。それを包み隠したのもまた悪。悔を残した水俣病だが、それを教訓にした環境立県もそこは全くまた一緒。
 5カ月程前の初夏、倉岳町(天草市)の海岸に異様な光景が出現した。教えてくれたのは、天草市御所浦町に竿を伸ばした福岡からの釣り客。「紺碧の海から対岸に視線を上げると、海面に黒色の不自然なボタ山が見えて、ボートでそこに近づくと、それはクリンカアッシュPhoto_2(石炭の燃え殻)にも思えた」
 
工業試験場に勤務の彼は「産業廃棄物の不法投棄だ」と直感し、その情報を直ぐ電話でくれた。
 ところが、同市倉岳町支所(総務課)に電話を入れると、「そんな話は聞いたことがない」釈然としない反応。
 幻覚だったか、と疑いながらも2カ月後、現地を訪ねると、「現場はエビの養殖場跡地」やはり事実だった。
 同市倉岳町棚底鳴川の番外地(国の管理区域)が、その現場。龍ケ岳町(上天草市)と自治境界線を跨ぐエビの養殖場跡地である。
「半年以上も前からの工事現場。漁師や釣り客の中には海側から見た人もいたと思うが、雑木林の下に入り込んだ入り江で、住民も、ほとんどが知り得ない場所」
 業務上、係わったという給油所のスタッフは、現場について淡々と語った。
 しかし後述するが、推定500トン余りが搬入されてボタ山を形成した物質は、人体に極めて有害な物質を含んでいた…。

 一般的に公害及び環境破壊は、歪んだ経済観念を持つ者の仕業とされるが、実のところそれを監督指導する行政次第で発生する。これから述べることは、このことを確認し、その背景、理由を検証、考えてもらう上でのレポートである。
Photo_6  さて、有害物質の投棄された現場は、龍ケ岳町から県道二六六号線を倉岳町に入って直ぐ、左下に海岸へ降りる小路の終点口。説明通り海に突き出た雑木林が集落からの視界を遮断し、関係者が口を開かない限り天草市も承知するのは困難な場所。
 約1万平方メートルの養殖場跡地に近づくと、コンクリート壁の堤防に囲まれた中、作業員が住宅用地の造成でもしているかのように小型ブルドーザーで整地中。その黄色い土木作業車には、横に大きく「K海運」(八代市)という社名が見えた。昨年、八代市のK商事が海砂利の不法採取で摘発されたが、K海運の旧社名はそのK商事。
 土木機械車を使っての作業は、黒色と いう色を除けば土砂による造成工事。米粒程の物質を米俵四つ分くらいにまとめて、それを押して移動させているわけで、見た目によっては粉砕した石炭殻の埋め立てである。
 ボタ山のように積み上げられての放置が、その2カ月後、埋められて整地された…。
 ただ、替わりに約30トン余りの白砂が該当地の隅に山積みされた。
 養殖場跡地の角地にコンクリート壁の底が見えた。そこからだと、黒色の物質による埋め立て面は高さ約三メートル。
 基礎土が仮に二メートルの厚さとしても、約1万平方メートルの養殖場跡地に10トン車で1千台分と膨大な量になる。その5パーセントとしても搬入量は500トン。
 幅三メートルにも満たない小路をトラック10トン車で搬入したとは思われないし、海運業者として船で運び込んだのは明らか。
 搬入された黒色の物質について、「有害か無害か」は、この時点では未断定。
 だが、この後で倉岳町漁業協同組合を訪ねると、「持ち込まれたのは廃棄物」とも想定させる情報。
「保健所(熊本県天草広域本部保険福祉環境部)が撤去指導した」Photo_5(同漁協役員談)埋め立て造成中と推察したのは、実は撤去作業中であった。
 ところで同漁協は当初、「養殖場の底上げ工事用の資材」として搬入者(U氏・元エビの養殖業者)から説明を受けている。
 それが、保健所が出て来て「土木資材の撤去」となると、不安を抱くのは当然。
 500トンもの土木資材を半年も苦労して搬入していながら、それを急に撤去し始めたとなると、誰もが「何んでだ」と不思議だというか、いや、不安に駆られる。
「搬出は大分の事業所で、搬入者を通じて搬送者(K海運)が撤去」天草広域本部の衛生環境課が、「住民からの通報を受けて速やかに行政指導を執った」と回答。だが半年以上も前からの搬入となると、住民による通報までの半年間以上は放置(同衛生環境課)していたとなる。
 そして普通ならここで問題解決ということになるが、だが違った…。(121日号の第二弾へ続く)