天草ジオパーク推進活動に応えて、日刊新聞が御所浦島の南斜面を「白亜の地肌」と報道するレベルなので、市民のジオパークもその程度の認識と誤解もされるが、観光が地元産業として振興される一方にあって、それを自治行政が自ら破壊していることも確か。 上天草市松島町の漁業関係者が「あれは採石業者が廃業(4社)で放置して逃げた形跡」と釣竿で指して見せ、「あの島は国民共有の資産である国立公園なんだ」 と嘆いて語った。 先に述べた跡地整備を県に肩代わりさせた(県民の未承諾)南阿蘇村立野の場合とは異なり、行政も後始末を放棄した採石場跡の島。しかもここは海に浮かぶ天草の博物館とも称される大小120余りの島々の一つで、雲仙天草国立公園のエリアにある。そこは上天草市の島々を一望できるという標高138メートルの上天草富士が頭を突き出す、桶合島の海水浴場からは歩いて渡れる高杢島である。 山頂には金比羅宮も建立され、地元では隠れた観光コースだと夢を膨らませたのだが、「残念ながら西側の半分が削り取られたままで登山、周遊には危険過ぎ、子ども連れに紹介できない点が実に残念」と嘆いて語った。 採石権は採石法第33条の規定に基づき都道府県によって許可されるが、同条の2項には採石にあたり自然公園法、砂防法、景観条例他を確約して許可されることが明記されている。 すなわち、「終掘の際は跡地整備」という確約で採石権は許可される。 南阿蘇村立野の場合は、その経過に問題を残しているものの終掘補償までして後始末をさせたが、上天草市の特別指定地域にあった採石場跡地は環境が破壊され、防災上も懸念される状態で放置されたままだ。 そして更に問題なのは、採石法によって跡地整備は許可業者の責任とされるが、未整備が3年も経過すると、それは地方自治法により自治体の責任だという点だ。これは明らかに熊本県の怠慢。 県民が寛容過ぎるから「地方公務員法」も宝の持ち腐れの感じにあるが、その該当者の中から「環境省から指摘された経緯にもない」と他人事のような言い訳が出た。 未曾有の大震災を経験させられた熊本県には、採石場跡地に関連するだけでも防災上の怠慢がまだまだ存在…。(第5-3に続く)