熊本レポート

文字の裏に事件あり

益城町で4年前にも見た論理不成立の政争 第1回

2018-02-11 | ブログ

 2月23日、車を降りると、そこには既に春の香りがあった。福岡からの車中で「本日の気温は21度」と、決して若くは思われない、落ち着いた口調の女性アナウンサーが、コートの要らない今日のほの暖かさを教えた。
 日頃はイベント、展示会場だと聞いた「グランメッセ」に入ると、二階のレストランに招かれて上がった。
 同じテーブルに着いたのは積和不動産九州から二人、地元の不動産業者であるみた商事の代表、そして東京に会社を置くクラモチ鉄工の尾崎社長、それに主人公である町長を加えた五人。
 そこで出された話の内容とは、こうだ・・・
「山本山の工場跡地1万6000平方メートル(益城町大字広崎1160ー1)をグランド用地として町が最終的には買い取るので、その前に購入して欲しい」
 土地の購入を求めて来たのだ。
 後に触れるが、みた商事は町が契約した不動産売買の専任仲介業者であって、クラモチ鉄工(社名から想定される専門企業とは異なり東京都渋谷区の不動産業者)はこの案件で既に内諾したと思われる業者で、それは積和不動産九州へ向けられた要請。
 単に儲け話と考えたら実に旨い話の要望ではあるが、その行為は倫理的に除外されるだけでなく、法にも抵触する可能性がある・・・。
「転売を目的とした購入(土地転がし)には応じられない」
 積和不動産九州側は、この要請を断った。
 善の道理を知り得ているこそ、邪な悪行は成り立つというが、その悪行を善人が暴けないのは「悪の行為を知り得ないからだ」という理屈になる。当然かという思いにもなるが、守る方も攻める側も自分に都合の良い屁理屈だけを並べて、消化不良の実に長過ぎるトンネルの中、それが現代社会。
 ところで先に断りを入れておくが、この事案は登場者の主人公から「広安町民グランド用地として地元広安校区、区長会からも強い要望、陳情があり、議会での圧倒的多数での承認を得て、粛々と規定に基づき時価相場の約半値で購入したものです。地元◯◯議員はなぜか反対されました。土地転がしなど邪推はもうたくさんです」と当時、問題のないことを後援会資料で配布。
 しかし、公文書を含む関係資料を検証した結果、異なる見解にも達して4年後、私見としての報告。
 さて、先の4者会談が行われたのは、平成22年2月23日。町長の約束通り、同地を同町が購入した(同24年5月29日)2年3ヶ月も前の召集。
 同日、みた商事は不動産仲介業者として専属専任媒介の契約を取り交わしているが、地方自治体の場合、売却の際には必要であっても、購入の際にはこの専任仲介業者は不要とされる。それを承知してか、契約書における町長印には個人の私印が押された。
 見方によっては、この町が結んだ専属専任媒介契約書は無効ということになるが、それでも後で仲介料が発生したことだけは確か。町にとっては、不要な仲介料を何の目的で支払ったのか、という見解になる。
 次に東京の不動産業者であるクラモチ鉄工の登場だが遠路、東京からの4者会談への出席にしても売り手(山本山)サイドから顔を出したわけではなく、次に紹介の購入方法からして買い手側にあったことは明らか・・・。
 このクラモチ鉄工が約束に基づいて該当用地を購入したのは、同24年5月10日。
 その購入資金だが、肥後銀行からの融資に基づく2億6000万円。
 東京の不動産業者が肥後銀行、しかも同町の木山支店から2億6000万円もの融資を受けるなど、実に奇々怪々なる話。そこに誰が介在したか、そんな謎が普通なら当然のごとく浮上する。
 もちろん、結果という行為にしても「土地転がし」、いや転売に銀行が加担したと仮定されると、財務省銀行局通達を同行は無視したということになる。
 そのクラモチ鉄工の購入から11日後の同年同月21日、町は約束通りに購入するが、その購入金額は3億3574万円。
 私見と断っての結論だが、町は僅か11日間で7574万円(消費税込み)の利益を供与したことになる。もちろん、関係者が1人勝ち(儲け)を許すか否かであるが、「住民の強い要望、議会の圧倒的な賛成でグランド用地を取得」というアピール、「批判は邪推で名誉毀損の対象」という当時の強気な姿勢を顧みると、そこには多くの関係者が存在していたとも推察される・・・。