熊本県内の自治体幹部が「誘致企業で熊本県が全面バックアップという話は嘘だったのか」と、自らの認識不足を棚に上げて驚きを見せた一週間後の8月6日、日立造船株は前日比43円安の331円という暴落を見せた。
「長洲町に完成した有明工業団地に真っ先に進出してくれたのが日立造船(1973年)。この時、熊本県は全面支援を約束し、人的繋がりも深めた」(当時の関係者談)
ところが、だ。この誘致企業が消えていたとなると、どうなるか。
改めて繰り返すが2015年に八代市が計画した新環境センターの建設、運営を180億円で受注した日立造船は、続いて2017年、菊池環境保全組合の新環境工場の建設、運営を同じく180億円余りで受注。
そして、さらに宇城広域連合、天草市が事業計画しているごみ焼却清掃施設にも触手を伸ばしているとなると新日鉄、三菱、住友、荏原等の同業メーカーではなくとも「日立造船は何故に熊本県で強いのか」という疑問符が打たれる。
その理由として浮上したのが、発注側の関係者(自治体・関係議会)から出た「日立造船は誘致企業」。
「長洲町に完成した有明工業団地に真っ先に進出してくれたのが日立造船(1973年)。この時、熊本県は全面支援を約束し、人的繋がりも深めた」(当時の関係者談)
2015年の八代市での180億円の受注と、同じく180億円余りの菊池保全組合からの受注の間で、熊本県環境局長、また会計管理者という県三役まで務めた山本理氏が日立造船に天下った。
それまで熊本県は日立造船との約束通り、人的繋がりはあったのだが、その営業功績とは言わないが、県三役クラスを迎えるとあって日立造船は、それまで二本木に置いていたプレハブ風の熊本営業所を熊本市上通りのビルに移転。
ところが、だ。この誘致企業が消えていたとなると、どうなるか。
2002年、日立造船は造船、海洋部門からの撤退を決意し、環境設備、産業機械の製造会社への展望を図って、有明工場の熊本県から撤退。船を造らぬ造船会社となった。
「合弁会社として日立造船は残っている」
関わった地方自治体から追い討ちを掛けられたが、現在の有明事業所を所有する『ジャパンマリンユナイテッド』での日立造船の株所有比率は8%。
残りの90%余りの株はJFE、IHIが所有。ちなみにこのJFE、IHIの関連会社も環境設備は主事業としており、「日立造船は誘致企業」という認識が取り外されることはもちろん、環境設備等での「誘致企業としての優遇は除外される」ということになる。
それでも「熊本県1番目の誘致企業」という背景を押し通すとなると、表現は悪いが「ホワイト国除外」と同じく平等に戻すべきという論理にある。
こうして考えると、仮に「忖度」があったとすると、それは発注側の認識不足からの「天下り」にあったとも想定される。
果たして、これらを宇城市、宇土市民、また天草市民がどう考えるかであるが、環境清掃施設の発注に関して、それに強く関わる天下りが、後1人いた…。