熊本レポート

文字の裏に事件あり

熊本県の疑惑公共事業を考える市民講座 第5回 宇城広域連合の廃棄物処理施設 4

2019-08-15 | ブログ
リニア新幹線工事における談合問題で、東京地検特捜部の取り調べに対して「誘われて断れなかった」と清水建設は応え、その捜査中、工事予定地を大成建設が先行して購入し、それを発注者であるJR東海に譲渡していることも判明。
また公判中、鹿島は「発注先が既にJR東海の方で決められていた」とも証言した。
ところで現在、熊本県では14市町に副長として、田嶋副知事の尽力もあって(某代議士事務所の秘書も関与)、熊本県からOBが天下っているが、菊陽町議会ではその副長に対して「辞職勧告」を決議し、彼を追い出した。副長は入札の責任者として指名権を持つが、それが理由の全てではないものの、「偏った入札指名」という不満が議会にあったことは確か。


こうして述べると、公共事業の全てに官製談合があって、発注者が先に決められて準備が図られる状況に受け取られやすいが、その全てがそうだとも言えず、また、そうした形で事業化が仮に図られても公平、公正の上で否定されるとは限らない。
限定して語れる話ではないが、小さな自治体の中で息子は役場、娘は漁協に勤務し、本人の親は細々と農業を営み、隣は高齢者二人を抱えた生活保護家庭。即ち、地域の8割以上が補助金を含む公費に頼って生活している自治体も現にある。ここでは利益誘導も忖度も当然な必要プロセスなのである。
日本の地方は特に忖度、利益誘導へ向かう上で、既得権益の生まれやすい構造となっている事だけは確か。
さて、10社前後の廃棄物処理メーカーのある中で2015年、八代市の新環境センター(建設、運営180億円)、そして2017年には菊池環境保全組合の新環境工場(同)と日立造船所が連続して受注すると、「何んで熊本県では日立造船だけが強いのか」と、競合するメーカーのベテランとは異なり、若手営業マンらには衝撃が走った。
その答えが、こうだ…。
「1973年、熊本県は玉名郡長洲町の海岸に工業団地を建設したが、その企業誘致の第一番手として応じてくれたのが日立造船。その時、熊本県の全面支援を約束し、人的派遣も交わした」
当時の関係者談である。


その結果が、八代市と菊池環境保全による連続発注(約360億円)と断定はしないが、一つの参考にはなる。
予想通り、八代市が180億円を発注すると直ぐ、その人的派遣は熊本県三役クラスとなり、熊本県で環境局長を務め、会計管理者で退職した山本理氏が日立造船へ天下った。
そして、その貢献とは断定しないが、続いて菊池環境保全の180億円の受注である。
同社熊本営業所は、それまで目立たない事務所を熊本市西区二本木に置いていたが、それを同市中央区上通りの新築ビルに移転。
その頃に受注したのが、今回の宇城広域連合からの38億円。いやいや該当事業ではなく、同連合が宇土市で稼働させている浄化センターの改修工事で、それを浅野環境との親子で受注。
日立造船の誘致企業第1号は理解し、その熊本県の全面支援という密約も納得はしないが理解は出来る。
だが、その密約が義理を果たす必要のある形で、現在も生きているか否かであるが…。(次号へ続く)

※この連載は9月末頃に再編集の上で冊子として刊行