マラソンのゴール前、3位を争うベルギーのランナーに向け、「来い」という仕草を見せた2位のフランスランナー。二人は家族同士も良く知るソマリア難民だった。二人を受け入れたフランス、ベルギーも立派だが、その舞台を与えた日本も立派。
このコロナ禍、東京2020を開催し、それを成し遂げた日本は、その意義、価値からして世界、そして歴史に明らかに誇れる。
コロナリスクの上昇はオリンピック開催とは全くの別問題で、それを重ねて反対、批判した一部の輩は、論理不成立として何ら意義、価値もないのではなかろうか。
ところで本題の熊本県益城町は、県下に良く知られた4、50年前からの政争の町だと語られるが、合併など町を二分する課題が永遠と続いているならともかく、住民にとって平穏無事での政争とは、果して何なのか。
平成元年、益城台地東土地区画整理組合の組合理事長、それに同組合と連携して事業の推進を図っていた事業企業に対し、「公金の私的流用、利権を漁っている」との内部告発が浮上し、その内容が町内に流布され、同年7月、同組合理事長は辞任。
「公金の流用とか、利権絡みの組合運営など断じてなかった。そもそも理事長自身が、そうした倫理感のない人ではなく、多くの組合員が『人格者』として認め、理事長に据えた人物」
辞めた冨田理事長に近かった理事二人は、揃って流布された内容を否定するが、それでは県の認可も下りて、大型商業施設の出店寸前での途中放棄、理事長辞任とは何だったのか。
その真相は後述するとして、そもそも土地区画整理組合とは、「地権者の同意の下、土地の区画を整え、一括して商業、工業地域化を図る」という趣旨にある組合法人。
該当の益城台地東土地区画整理組合が同趣旨で浮上したのは故川口夘一町長時代で、それから30年の準備期間を考えると、ここに来ての選択変更は事変、クーデター。
同組合は川口、川崎町政時代に支援を受け、それが西村博則現町長に引き継がれて来たが、台地西土地区画整理組合を推進して失敗したのは住永元町長で、今回のクーデターで新組合理事長に担ぎ出されたのは、反町長派の長老でもある岩村久雄元町長。
それでは今回のクーデター、その中心人物は誰かとなると、それはアイ・ウッド株式会社、じねん創健社株式会社(熊本市東区)の代表を務める福永力三氏。
当初は失敗した西土地区画整理組合に属して居たとも語られるが、台地東土地区画整理組合では網の目の如く私有地に買収し、それを熊本大震災後に3町歩、即ち全体の1%まで拡大したと語られる後進組の力三氏。
その彼が先述した認可を下した熊本県に対して訴訟を起こし、噂される「300万円の投資をもって前理事長の追い落としを図った」となると、明らかにクーデターの主は力三氏。
ところで、そもそも台地東土地区画整理組合の設立に尽力したのは、川崎町政の生みの親と語られる故福永秀治氏。力三氏の実兄だが、ここに「政争の益城町」と称される実態が在る。
「拠点を熊本市に移して、今では益城町が生んだ熊本経済人だが、小口金融からここまで財を成したのは実兄、故秀治氏の恩恵。その故兄の夢を壊した」(二人を知る住民談)
それでは先に述べた「告発は全て却下されるが、力三氏の提案には心を動かされる組合員が多く、そこで同意と冨田理事長は辞任」という不可解な動きの中身とは、果して何だったのか。
『設定された坪単価10・8万円を15、16万円に引き上げる』…これが理事長辞任に同意した組合員の理由。
「なァ~んだ、金が理由か」
そんな上から目線の感想も出るかと思うが、1反当たり約1700万円、1町だと約1億7000万円が更に上乗せされるとなると、理事長の人格など、どうでも良い話で、組合員の心が動くのは当然。
要は、坪単価一括16万円で商業地域化が可能なのか、否かである。
「新たな資金、事業計画な未提出ですが、かなり計画は厳しいのではないか」
被告にされた立場からではなかろうが、県担当課職員は個人的な見解と断った上で、「計画の作成には苦労する」と見ている。
該当地から少し離れた市街地に近い、道路周辺では確かに坪18万円で売り出されている住宅地もあるが、区画整理組合の該当地には高低差があり、林や小川まであって、「造成には坪10万円前後は必要」と造成工事業者は見ている。
ここまで造成費用を加えて坪20万円弱と見ていた進出企業側の開発部が、それが25万円余りに上昇して、果して彼らに食指が動くだろうか。
「力三は、夢実現の間近になってぶち壊した」
そんな一部の声が、多くの組合員の永遠な夢に戻ると、「組合員総意の結果」では済まされない事態も想定される。
力三氏の「独自住宅開発」が無理なのは、一括坪単価統一と同じく組合法人としての原則。
ところで力三氏は、人的な後ろ盾による推薦と言われようが、熊本県更生保護協会の理事職にもある。同協会とは「罪を償い、再出発を図る」といった人々を助け、支援する組織。
その彼が「最もやってはならない手法を使い、故郷の人を陥れた」(先述の批判的な住民談)と言われるが、一方で彼には「ラブホオーナー」という称号もあって、熊本市中央区のホテルCB、ホテルセレスも彼の法人物件。
この2つのラブホテルだけでも熊本ファミリー銀行から14億円を引っ張り出しているが、彼のこの手腕を考えると、該当組合の事業費30数億円は簡単な話。
故郷住民の夢を叶えてやると、生誕地への恩返しに意地を張って、自腹で動くと1598億円(坪16万円✕300町歩)で、すんなりクーデターの価値は活きるのだが、頑張れ力三氏はそこにある…。