新聞はテレビ番組と訃報記事しか見ないという人なら理解も早かっただろうが、提案された複数の作品発表で落札者が決まる公募プロポーザル型と公示されたにも拘らず、1社入札にして前代未聞の赤点一歩前とされる技術評価31・54点のごみ処理施設(建設・運営)を落札候補とした天草広域連合。しかも価格は61億円もの超無駄(国交省による非談合限界落札率で試算)を生じる落札率99・7パーセントで、その335億円の超高値となれば、各界で活躍中の天草出身者でなくとも「どうした天草の良識と常識」との怒りは当然。
(熊本日日新聞)
ところが7月、臨時議会で再び業務委託予算案を否決された天草広域連合の馬場昭治連合長は、「事業の期間を延ばすと工事費が上がる」と述べ、地元紙は賛成派議員3人の言葉を借りて「反対されると住民に莫大な負担を強いる事になる」と危機感を煽った。
一方、否決した6人の組合議員の主張については、「焼却灰の処理方法などを疑問視して『計画の総点検』を求めている」と簡単に紹介。そこには反対多数派が主張し、各界で活躍中の天草出身者らが懸念する疑惑の背景、根拠話は一片も出て来ない。
即ち真実は隠して、「反対されて困るのは天草住民」と懐の恐怖感を煽っての事業推進。反対派を悪人説に作り上げての責任転嫁だが、この悪意的な手法は疑惑だらけの該当事業の経緯から見た6月での既報の予想通り。
そもそも天草でスクープの花火を打ち上げた「前漁協長横領」を例にするまでもなく、コピペ記者(自治体発表情報依存)からなる地方紙が、片方の情報だけで動く(偏向)のは常套手段で、仮に既報と異なる真実が浮上しても「噂も七十五日」で済まされるのが年々3万部減少(ABC発表)の地元紙。
天草広域連合における該当事案には当初から「公共事業に対する不遜」という結論に至る程、その種々の意図的な疑惑を取り上げたが、ここは最終段階で「地元紙の見解」を求める意味での極めて疑わしい部分の紹介。
天草広域連合は昨年11月、同連合が落札候補とした川崎技研・九州テクニカルメンテナンスJVとのQ&Aによって、「焼却灰等最終生成物資源化負担を5年間に短縮」と修正。
これは仕様書、設計図書の基本的な部分での修正であって、本来は国交省ガイドラインに沿って「入札図書等に不備が生じた場合は入札の中止」が妥当であり、その上での再入札告示を図るべきではなかったのか。
次に入札法をクリアしての修正という見解にあっても、予算化された中で「5年間の短縮」は同時に「受注者側に15年間の不労所得」を生むという疑惑が浮上する。
焼却灰等最終生成物の資源化費は、安く見積もっても年間1億円と想定されるが、15年間分が放棄されたとすると16億5000万円(消費税込み)。その16億5000万円は、相互承知のキックバックも可能な不労所得という新たな疑惑まで浮上する。
一方、この16億5000万円を減額対象として総額予算で見た場合、落札候補の落札率は99・7パーセントどころか、100パーセントを超え、落札候補の入札は明らかに失格という現実にもなる。
公共事業に詳しい九州大学大学院の三浦功教授は、「巨額な事業費にも拘らず1社入札というのは不自然。少しでも疑惑の持たれる入札はやり直しが妥当」と語るが、連合長と地元紙は「事業の遅れは住民に膨大な負担となる」と反対多数派を牽制。
だが、反対派議員から何回もイエローカードが出された経緯での責任転嫁であって、その何が何でも現計画を通す思惑に疑惑が浮上するは当然。
果たして天草10万人の良識と常識はと改めて問われるが、その不安にかられての天草の現状に在る事も残念ながら確か…。