「揉み消したって、そりゃ国にそれは、ないでしょう、、」
?地方自治体の担当職員が、笑いながら返した。
?退任前の検事総長が反社会的企業に顧問を希望する書簡を送っていた、としたら、どうだろうか。極端な例えで悪いが、それに似たり寄ったりの場面には幾度となく遭遇してきた。また笑って首を傾げた彼の地方自治体では、なおさらの話。
?海上保安庁は領海侵犯、また海難事故については会見発表をするが、漁業調整違反や操業違反は基本的に非公開にある。しかし密漁から操業違反まで、それは世界的に高まっている水産資源の保護培養に反した行為で、これは消費者にとっても重大な問題。まして同違反者が、漁協幹部役員の関係者となると、果して「肯定も否定もしない(違反摘発)」(第十管区海上保安本部)ですまされるか、どうか。
?5月初旬、天草に「漁協長の家族が密漁(操業違反)で海保に摘発をされて該当漁協、関係する水産会社が家宅捜索を受け、帳簿類等を押収された」という情報が走った。それは噂として山を越え、同市民の間に一気に拡がった。漁協長の関係者が業を成す量で常習的だったとなると、先に述べた通り重大な問題なのだか、該当者が地元では有名な公人であることから関係者の口も固く、それが中身の見えない噂の域にあることもあって、「肯定も否定もしない」という本来の理由が裏目に出たのも確か。
?そんな中で、ようやく概要が見えてきた。
?5月の連休前、現地入りして家宅捜索をしたのは海保ではなく国税。一カ所に15名前後が入り、帳簿類も押収して持ち帰ったとなると、それは申告漏れ等の任意調査ではなく、「犯則に基づく強制調査」と推察される。いわゆるマルサによる査察に近い調査。
?それでは査察が、どういう犯則に基づいて実行されたかであるが、その前に該当地では公共工事の発注を巡って贈収賄事件も発生し、また不透明過ぎる噂の操業違反も確かにあった。それは2月、海保が操業違反で該当者を摘発し、1ヶ月の操業停止という処分を下していた。
?国は社会正義において今回、その原理原則に基づき務めると知らされたが、ここで理由はどうあれ、曖昧な対応は「水産資源の保護」という趣旨から同罪という認識に立って関係業界、自治体、そして地元地域社会がどういう判断を下すかが、いま、問われているといえる…。
?7月1日、JA熊本中央会とJA熊本経済連の会長改選が行われ、JA熊本中央会新会長にはJAかみましきの梅田穣組合長が、またJA熊本経済連会長にはJAやつしろの加来(一を三本横線)誠一組合長が選出された。これだけならJA熊本の広報紙。関心が持たれたのは、関係者から漏れ出た「どんでん返しの会長選」という経過。
?同中央会新会長は「人物家」と評され、また同経済連の新会長も「JA熊本の政策通」と称される程の実務型で、「予算の膨張を懸念」(単農協長談)という声も挙がっているJA熊本新会館建設計画について、T社への図面先行譲渡話も浮上している現在、そうした疑惑の払拭も込めて白紙戻しへの勇気に期待はあっても、この人事に農家の不満はない。問題視されているのは、この新会長選出までの不可解なプロセス。
?まず同選挙は一般の議会議員選挙と異なり、本選挙の前に推薦会議と称する予備選挙が実施される。20名程度の投票資格者で予備選挙まで必要とする極めて慎重な役員選出なのか、もしくはお互い不信の投票ということになる。
「中央会長選挙は現会長の園田俊宏氏と梅田氏が同数得票となって、その結果で抽選が行われて梅田氏が当選を引いた」(単農協長談)
?ところが、当日の単農協長及び連合会役員等による投票権者は19名(2名欠席)で、なぜか1名は白紙か無効票だった、ということになる。無効票が会長人事を握ったということになるが、奇々怪々なる話ではある。
?JA経済連の場合は、連帯責任にある食肉センターの赤字決算も問題として浮上したようだが、これとは別に県警も注視する噂も浮上。結局、武部満専務と加来氏との選挙となって、加来新会長の誕生となったわけだが、予備選挙までの経過にはここで語り尽くせない事情があった。
?全国農協中央会の実質解体問題、そしてTPP問題を前にしても肝心の農協は旧態依然とした状況だとなると、農家にとって本当のところ田植えどころではなかったといえるが農家、農協も昨年と相変わらぬ暦をめくった…。