万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

情報不足が招く派遣村非難合戦

2009年01月06日 15時17分28秒 | 日本政治
派遣村発言、坂本政務官が撤回「実態把握してなかった」(朝日新聞) - goo ニュース
 連日のように、ホームレス化してしまった元派遣社員の方々の映像がテレビを通して流されている中、坂本政務次官の批難発言が、反対に批難し返され、謝罪するという展開となりました。こうした非難合戦が発生した原因には、国民に派遣社員の実態が正確に伝えられていない、ということもあると思うのです。

 恥ずかしながら、派遣と言いますと、つい最近まで、女性がその中心となっていると思いこんできました。しかしながら、実際には、2004年の労働者派遣法の改正で製造業にも派遣が認められたことにより、男性の派遣社員が増えてきた現実があったようです。このことは、派遣村に集まる人々が、一家を支えるべき働き盛りの男性の方々であることからも分かります。それでは、実際に、2004年以降、どれだけの数の正社員が派遣に切り替わり、その内のどのくらいの人数が、今回の雇用調整で職を失ったのでしょうか。また、どのような経緯で住む家や寄る辺のない状態になってしまったのでしょうか。国民には、情報が少な過ぎるのです。

 派遣村では、坂本政務官が述べたように、元派遣社員の方が、自治体の職員に詰め寄ったり、権利要求を突きつけているという情報も伝えられており、この部分だけを切り取りますと、派遣村に疑問を持つ人も当然に現われてしまいます。マスコミが放送する映像のみでは、派遣切りの実態は伝わりませんし、むしろ、背景が怪しまれてしまいます。ですから、政府もマスコミも、具体的な数字を示し、何故、多くの人々が住む家までも失うことになっているのか(地方出身者?)、国民に対して正確な情報を提供すべきと思うのです。充分な情報があれば、無用な非難合戦は避けられますし、状況を改善する策も立てられるのではないでしょうか。

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コメント (8)
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