万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

オバマ次期大統領が将来に残した課題

2009年01月20日 15時53分01秒 | アメリカ
キング牧師の「夢」実現=人種融和に全力-オバマ次期米大統領(時事通信) - goo ニュース
 アメリカでは、大統領就任式は国を挙げてのお祭り騒ぎとなり、その日を目前にして、国内は昂揚感に満ちているようです。ここで、”将来に残した”といった表現をしますと、まだ大統領に就任してもいない段階で、気が早いと言われそうですが、アメリカの国民統合の観点から、オバマ次期大統領は、一つの課題を残しているように思うのです。

 それは、アメリカの統合を、オバマ次期大統領の個人的な身上とパーソナリティに求めることの危うさです。オバマ次期大統領は、黒人の父と白人の母の間に生まれたことにより、白人と黒人との間の歴史的な対立に終止符を打ち、国内融和を目指すという意味において、アメリカの歴史を象徴していると言えるかもしれません。しかしながら、もし、大統領の個人的な属性を以って、国家並びに国民統合の象徴とするならば、将来のアメリカ大統領の選び方に、一定の影響を与えるようにも思えるのです。例えば、両親とも純粋な白人、あるいは、純粋な黒人は、大統領になれるのでしょうか。あるいは、ヒスパニック系やアジア系の国民の増加は、大統領に自らと同じ血が流れていることを求めるのでしょうか。

 融合の象徴であったオバマ次期大統領の退任とともに、アメリカの国民がばらばらになってしまうことは、決して望ましい事態ではないはずです。オバマ次期大統領が、どのようにして、将来に向けて統合の道筋を付けるのか、大変、興味深いことと思うのです。

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