万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

定額給付金―国会と国民のねじれ現象

2009年01月13日 15時33分41秒 | 日本政治
内閣不支持7割超、給付金に反対78%…読売世論調査(読売新聞) - goo ニュース
 定額給付金を含む第二次補正予算案が、本日、衆議院を通過する見通しとのことです。ところで、この定額給付金は、よほど国民から評判のよくないようで、どの世論調査を見ましても、大多数の人々が反対を表明しております。

 それでは、これ程までに反対している政策を、国会は、可決してもよいのでしょうか。民主主義の原則に立ち返りますと、”だめ”なのではないか、と思うのです。議会制民主主義にあっては、国会議員は、国民から選ばれた国民の代表であり、立法を行う権限が付与されています。しかしながら、この権限は、あくまでも”国民の代表”として立場故に付与されているのであって、国民を離れた代表はあり得ません。選挙後の”白紙委任”の問題は、常々、代表制民主主義における欠点として指摘されておりますが、国会議員もまた、国民の代表としての自覚を忘れてはならないと思うのです。

 第二次補正予算案の衆議院通過に際し、法案が政策論として十分に議論されるわけでもなく、おそらく、”ねじれ”国会の現状にあっては、参議院では否決されることになるかもしれません。もし、衆議院で三分の二条項の下で再可決されるとしますと、国民の三分の二以上が反対する法案を、国会で三分の二以上をもって可決されることになり、これもまた、国民と国家との間に横たわる深刻な”ねじれ現象”ではないか、と思うのです。

 訂正:予算については、憲法第60条の規定により衆議院の議決が優先しますので、三分の二条項による再可決は必要ありませんでした。間違えましたこと、深くお詫び申し上げます(1月27日)。

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コメント (52)
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