万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

経済政策は予測不能の”賭け”である

2009年01月22日 15時52分52秒 | 日本経済
マクロ経済学の大原則を無視した 「定額給付金」懐疑報道に感じる違和感【保田隆明コラム】(ダイヤモンド・オンライン) - goo ニュース
 もし、経済で発生した問題を、すべて経済学が解決することができるならば、定額給付金についても誰も批判などしなかったことでしょう。しかしながら、経済学が現実の経済の特効薬となることは稀であり、経済学理論を、そのまま政策として適用することにはリスクが伴うことも、忘れてはならないと思うのです。

 確かに、マクロ経済学は、景気刺激策として、国民所得を増やす減税が有効であることを説明しています。しかしながら、議論の的になっている定額給付金と減税とは、そもそも政策手法が違いますし、消費者の将来的生活不安(預金へのシフト)、赤字国債の増発(財政危機の高まりやクラウディング・アウト)、外国との貿易関係(政策効果の海外流出)、不況下の消費者志向(不況部門とのギャップ)、失業率(国民所得の減少)・・・などにより、政策効果は変化します。こうした全ての関連する変数を考慮し、膨大な計算式を解かなければ、実際の政策効果ははじき出せないはずなのです。しかも、消費者心理などは、事前に正確には予測できないのですから、この苦労の末の計算結果さえ、怪しくなります。

 経済学の教科書に書いてあるから、絶対に効果がある、と断言することも楽観的に過ぎるかもしれず、経済に対しては、より謙虚であるべきと思うのです。もしかしますと、膨大な予算を使う予測不能の”賭け”となるかもしれないのですから。

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コメント (10)
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