万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

他人事の正義への擁護論

2009年01月12日 15時39分23秒 | 社会
アニメから見る時代の欲望 「すべてが他人事」の環境が、欲望のスタイルを変えた 水島精二監督「機動戦士ガンダム00」(2)(日経ビジネスオンライン) - goo ニュース
 匿名ブログでの正論は無責任、という意見は、当事者でもない”他人事”の批判には、確かに軽々しさがありますので、もっともな見解ではあります。しかしながら、当事者ではないからこそ、偏りなく物事の是非を見極めることができる、という良い面もあるのではないでしょうか。

 人間とは、とかくに自分の置かれている立場や利害関係の影響を受けるものです。もし、当事者のみしか、責任ある意見を述べることができないとしますと、恐らく、人々は、当事者達の自己弁護か、当事者同士の批難合戦しか耳にすることができなくなるかもしれません。また、犯罪事件のように、多くの人が、当事者になれないような事柄もあります。一方、インターネットの登場によって、匿名であれ、多くの人々の意見が公表されるようになりますと、あらゆる出来事に対して、賛否両論が入り混じりながらも、より客観的な意見が大量に行き交うようになりました。このことは、社会の中に、一般的な世論や広く開放された議論の場が形成される道を開いたように思えるのです。

 もちろん、当事者が責任をもって議論すべき問題もありますので、全ての事柄について”他人事”がよいとは言えません。しかしながら、これまで、法やルールを作るに際して、客観性や中立性の確保に苦慮してきた人類の歴史を顧みますと、ブログに見られる多数の中立的な意見の表出は、その一助になるのではないか、とわずかながらも期待を寄せてしまうのです。

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