万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

低価格で優位に立つ中国に政策効果が集中?

2009年01月15日 15時11分57秒 | 国際経済
中国GDP、世界3位 07年、ドイツ抜く(朝日新聞) - goo ニュース
 世界同時不況は中国にも及び、2月危機説なども噂されてはいますが、もしかしますと、各国の深刻な景気後退は、中国にとってはそれ程の打撃にはならないかもしれません。その理由は、不況下では、どの各国でも、消費者は、低価格商品に惹きつけられるからです。

 このことは、たとえ、先進各国が、積極的に財政拡大策を行っても、その効果は、中国に流れてしまう可能性を示唆しています。特に、”ばらまき型”の日本国の定額給付金などは、自国製品よりも廉価な中国製品の購入に充てられるかもしれず、自国経済はさしたる恩恵を受けないかもしれません。ケインズの生きた時代と違って、現在は、市場の自由化=グローバル化が進んでいます。市場が閉鎖型から開放型へと移行しますと、財政政策による政策効果は、必ずしも、自国の利益にならない場合もあるのです(プラザ合意以降の日本国の財政出動には、世界経済の牽引役が期待されていた・・・)。

 中国政府も、50兆円を超える内需拡大政策を実施すると報じられていますが、世界各国の財政支出の拡大が、結局は、価格競争力を持つ中国一国への富の集中を招くとしますと、これらの政策により、世界経済全体が、不況から脱し、安定化するとは言えないかもしれません。単なる”ばらまき”政策ではなく、長期的な戦略をもった政策を立案しませんと、世界経済の歪みがさらに大きくなるのでは、と心配するのです。

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コメント (4)
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