万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

フロンティアなき時代の移民の変質

2009年08月25日 17時15分11秒 | アメリカ
ニュースを斬る 「極貧ブルース」が聞こえる 米国境線、仕事をもらえぬ不法移民物語(日経ビジネスオンライン) - goo ニュース
 リーマンショック以来の景気後退の影響を被って、メキシコから仕事を求めてアメリカに不正入国した不法移民人々の仕事が激減していると報じられています。本国への帰国を決意する人々も現われているようですが、この現象に、アメリカにおける移民の変質を窺うことができるのです。

 18世紀から20世紀初頭にかけてのアメリカへの移民の多くは、西部開拓に象徴されるように、森林を切り開き、荒野を耕して農地を広げる開拓農民が占めていました。また、アメリカで一旗揚げようとして渡米してきた人々の中には、自ら企業を興し、裸一貫から億万長者となる幸運な人も出現しました。アメリカン・ドリームとは、アメリカの地に根を下ろし、骨を埋める覚悟の人々によって実現してきたのです。しかしながら、フロンティアなき時代の移民は、それ以前の移民とは違っているようです。現在の移民の仕事は、サービス業や単純労働が大半であり、かつ、”アメリカン・ドリーム”とは、アメリカの地での成功物語ではなく、母国に錦を飾ることを意味しているようなのです。つまり、経済格差がある故に、不法移民や正規の移民がアメリカで獲得した外貨が、本国で富裕層を形成しているのです。

 この移民の流動化の現象は、アメリカの移民モデルの転換をも示唆しているかもしれませんし、また、周辺諸国の貧困を根本的に解決するためには、海外移民に頼らない経済発展の手法を編み出す必要性をも示しているかもしれません。

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原因は小泉改革か、中国の台頭か

2009年08月25日 15時36分31秒 | 日本経済
「かつてないほどに自立困難」…厚生労働白書(読売新聞) - goo ニュース
 投票日を控え、各政党とも現下の不況からの脱出を、有権者に熱心に訴えているようです。特に、派遣問題や失業率の上昇を取り上げて、4年前の小泉改革に全ての原因があるとの主張が聞かれます。しかしながら、より根本的な原因は、中国の経済的な台頭にあるのではなかと思うのです。

 郵政民営化の問題はここでは論じないにしても、少なくとも、正規雇用からの派遣へのシフトや雇用の喪失は、日本企業が、中国の安価な労働力を前に競争力を失ったことによるものです。いわば、現実への対応として現われた政策の一つであって、原因そのものではないのです。日本国を取り巻く外部環境が変化しているのですから、この政策を放棄したとしても、必ずしも日本経済が元の状態に戻るわけではありません。そこで、もし、各政党が、日本経済の復活を試みるならば、それは、小泉改革に代わる競争力回復政策を打ち立てる他にありません。しかも、雇用の安定を守りつつ、中国経済の武器である廉価な労働力に対抗できる何らかの優位性を確保しなければならないのですから、これは、大変な難題なのです。

 日本国が、自由で民主的な国柄であることを利点とするならば、やはり、企業の組織を柔軟化し、豊かな発想を生かす技術力で道を切り開くしかないかもしれません。質の高い製品を作り続け、誠実なるビジネスに努めれば、市場は世界に広がっていると思うのです。

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