万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

原発停止―これからが地獄

2011年07月11日 15時34分51秒 | 日本政治
「中小企業、海外移転動き強化」 バンコク日本人商議所(朝日新聞) - goo ニュース
 本日、原発再稼働に関する政府の統一見解が発表されました。二段階でテストを実施するとは言うものの、実施時期については何らの情報もなく、何時、電力不足が解消されるのか、全く見当もつきません。

 原発反対の世論も強く、原発反対派の人々は、来春までに全原発が稼働停止となって構わないのでしょうが、国民にとっては、これからが地獄となるのではないかと思うのです。現時点では、かろうじて節電で対応していますが、今後、他の稼働中の原子炉も定期点検の時期を迎えますと、運転が停止されてゆきます。電力不足が解消されるどころか、冬場にかけてさらに電力供給が減少してゆくのです。再稼働の時期が明言されれば、企業も対応策を打てますが、見通しがまったく立たない状況では、海外に製造拠点を移す企業が増えることは必至です。実際に、中小企業でも、海外移転の検討件数が上昇しているそうです。代替エネルギーも用意できない段階での原発停止は、政府による海外移転促進策のようなものです(普通の政府は、自国の雇用維持と企業誘致政策を行う・・・)。

 脱原発運動を組織活動として請け負っている人々はともかくとして、一般の人々が、脱原発に賛成することには首を傾げてしまいます。これから失業の危機、電力料金の高騰、生活レベルの低下に苦しむのは、一般の人々なのですから。企業活動の低下と消費の停滞により税収が減少し、かつ、失業によって生活保護の受給者が増えれば、財政破綻にも直結します。日本という国が崩壊しても脱原発を、と唱える人々も、それに賛同する人々も、菅首相と同様に、あまりに無責任なのではないでしょうか。

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コメント (12)
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