万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

玄海原発再稼働問題―首相面会の条件化のリスク

2011年07月02日 15時40分28秒 | 日本政治
玄海原発再稼働「首相との面会が条件」と県知事(読売新聞) - goo ニュース
 玄海原発の再稼働問題をめぐり、古川佐賀県知事は、首相との面会を条件として示したと報じられています。県知事は、首相に責任を押し付けたいのでしょうが、この面会の条件化にはリスクがあると思うのです。

 玄海原発については、地元の承認をも得ており、再稼働は時間の問題となっておりました。大津波に襲われる確率は低く、玄海原発は、立地条件としては比較的安全な原発の一つでもあります。九州電力の玄海原発が早期に再稼働されれば、全国的な電力不足をわずかとも緩和することができますが(他の電力会社への融通再開も含めて)、首相の面会を条件として認めてしまいますと、再稼働の雲行きは怪しくなります。菅首相は、脱原発で総選挙に打って出るとも噂されておりますので、首相の面会拒否もあり得るからです。つまり、菅首相は、浜岡原発の”緊急停止”と同様に、今度は、玄海原発再稼働に対する拒否権を握ることになるのです。当然に、首相は、このカードを、最大限、自己保身のために使おうと目論むことでしょう。

 脱原発派にとっては、首相がこの拒否権を使うことに大賛成なのでしょうが、冷静に考えてみますと、原発の停止状態が続けば、震災被害に加えて、電力不足が産業や国民生活に打撃を与えます。このまま再稼働が認められなければ、来春までに全ての原子炉が停止するのですから、事態は深刻なのです。この点に鑑みれば、菅首相に拒否権というカードを与えたことは、新たなリスクを抱え込むことになるのではないかと危惧するのです。

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コメント (2)
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