万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

原発ストレステストの実施―法的根拠なき菅首相の権力濫用

2011年07月07日 17時37分58秒 | 日本政治
佐賀県知事、枝野氏と会談 安全性評価発表に不信感(朝日新聞) - goo ニュース
 菅首相は、浜岡原発を停止させた際にも、影響を受ける経済界や国民に対して何らの説明もなく、突然に停止要請を発表しました。昨日もまた、菅首相は、何の前触れもなく”ストレステスト”の実施を持ち出して、玄海原発の再稼働を停止させてしまったのです。ストレステストの実施もまた、浜岡原発のケースと同様に法的根拠はありません。

 もし、首相が、本気で原発の再稼働には、ストレステストの実施が必要と考えていたとしたら、それは、福島原発の事故直後から準備すべきことでした。専門性の高い原発のことですから、ストレステストの内容を即座に纏めることは困難です。もちろん、首相が挙げたEUのテスト内容を借用することもできますが、地震や津波など、リスクの事情が違いますので、そのまま使うわけにもいきません。事故発生から4カ月余りが経過し、安全保安院や専門家の関与もなく、唐突に首相がストレステストを言いだしたことに、如何なる手段を使っても、つまり、権力を濫用しても、原発を再稼働させたくない、という菅首相の意固地なまでの妨害の意思を感じるのです。

 そうして、再び首相は、テロ的な手段を用いることにしたようです。電力不足を解消させる代替手段も、何も提示することなく、再稼働の流れを一存で止めたのですから。ストレステストには法的な根拠はありませんので、まずは、現行の法律に基づいて停止中の原発を再稼働させ、電力不足を緩和させつつ、ストレステストについては、改めて基準を作成し、国会で立法化してから実施すべきと思うのです。

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コメント (7)
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