万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

電力供給確保=脱原発可能ではない

2011年07月19日 15時41分07秒 | 日本政治
全原発停止でも供給に余力「西日本は電力不足」のウソ(ダイヤモンド・オンライン) - goo ニュース
 もし、原発を全て停止しても電力供給量が足りているならば、政府が15%の節電を産業界や国民に強いる必要はなく、どんどん電力を消費しても、何の支障もないことになります。しかしながら、この”足りている論”もまた、脱原発を推進するための”デマ”である可能性も否定することはできません。

 少なくとも、ひとつだけ確かなことは、電力の供給確保は、イコール、エネルギー問題の解決にはならないことです。”足りている論”の根拠とは、(1)長期停止中の火力の再稼働、(2)企業の需要削減(需給調整契約)、(3)自家発電の利用、(4)電力会社間の融通などですが、どれを取りましても、コストが割高になることは必至です。火力発電所は、旧型の設備が多くエネルギー効率が悪いそうですし、自家発電のコストも決して安くはありません。企業の需要削減に至っては、その発想は、政府の15%節電と同じです。”足りている論”の論者は、電力会社が赤字に陥らないために、正確なデータを隠していると批判していますが、赤字の発生予測こそ、論者が、原子力発電を停止すれば、電気料金が値上がることを認めている証拠でもあります。

 エネルギー政策の基本とは、安くて良質のエネルギーを、安定的かつ大量に供給することで、産業を育成し、国民生活を向上させることにありますので、たとえ百歩譲って、脱原発でも電力供給が足りているとしても、コスト高の容認は、エネルギー政策としては失敗です(現状でも、国際比較からしますと、日本の電力料金は高い・・・)。国会で審議されている再生エネ法もまた、タコが自らの足を食べるような、本末転倒の法案であると思うのです。

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コメント (6)
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