万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

脱原発による雇用喪失―何故中韓の電力は安価なのか

2011年07月17日 15時43分18秒 | アジア
大飯原発停止、昨夏並み猛暑なら電力不足に(読売新聞) - goo ニュース
 相次ぐ原発に運転停止により、火力用の燃料費がかさむことで、電力料金の値上がりが予想されますが、加えて再生エネ法が可決されますと、この値上がりにさらに拍車がかかりそうです。電力不足と高い電力料金により、企業では、大量の電力を消費する製造やデータ管理の拠点を中韓などに移す動きが報じられています。

 それでは、何故、中韓では、電力料金が安いのでしょうか。中国については、政府が原価割れの価格を設定しており、このことが、現下の電力不足の原因とも指摘されています。しかしながら、電力不足については、240とも400とも言われる原発の増設を計画しており、将来的には解消される可能性はあります。一方、電力料金が、我が国の三分の一とも言われる韓国はどうでしょうか。韓国もまた、政府が、電力会社に対して赤字補填をすることで安価な電力を保っているようです。加えて、原子力発電所も10基ほどあり、しかも、定期検査の回数を減らしたり、運転稼働中に実施するなど、フル出力状態であると指摘されています。ウォン安では、エネルギー資源の輸入が割高になりますので、原発もまた、安価な電力料金の要因であるのかもしれません。実際に、既に脱原発を実施しているイタリアでは、産業用および家庭用とも断トツに価格が高く、一方、原発大国のフランスでは、特に産業用の電力料金は韓国よりも安価です。これらのデータも、原発と低料金との関連性を示唆しています。

 このまま原発が再稼働されず、電力不足と電力料金高が我が国の産業を襲いますと、国際競争からふるい落とされることになりかねません。生活保護の受給者の自殺率は一般の人々の2倍とも報告されていますが、原発のリスクばかりを煽り立てますと(災害が起きても100%冷却機能が失われるわけではない・・・)、仕事も命をも失う国民が続出します。原発のリスク管理の徹底は言うまでもないことですが、脱原発派の人々は、脱原発によって失われるものの重さを考えるべきではないかと思うのです。

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コメント (7)
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