万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

脱原発の二つのパラドクス

2011年07月25日 13時45分25秒 | 日本政治
リンク: 電力不安で三井金属、HOYAなど大手が続々海外生産シフト - 速報:@niftyニュース.
 福島第一原発の事故以来、電力不足は日に日に深刻さを増すばかりです。この結果、怖れられていた事態が、ついに現実となってしまいました。安価な電力と安定供給を求めて、海外に生産拠点や実験施設を移す企業が続出しているというのです。

 このままこの傾向が続けば、産業の空洞化と大量失業問題が発生することは目に見えているのですが、政府は、何も手を打とうとしないどころか、さらなる悪化を目論んでいるようです。再生エネ法が可決されれば、電力料金の値上がり率は70%とも試算されており、まさに、電力地獄です。そもそも、エネルギー供給とは、産業を育成し、国民生活を支える基盤なのですが、現状の脱原発+再生エネの方向性では、肝心の産業を国外に追い出し、エネルギーを必要とする産業そのものがなくなっていまうという、悲惨なパラドクスが待ち受けています。理想が実現した暁には、国民生活のレベルは、100年も逆戻りしているかもしれません。

 それでは、どうしたらよいのでしょうか。グローバル化により競争が激しくなった今日では、どの国も、企業の誘致には熱心に取り組んでおり、安くて安定的な電力は、有利なセールスポイントです。日本国もまた、この基本から外れてはならず、安価な電力の安定的な供給にこそ努力を傾けるべきなのです(再生エネ法では努力が裏目に出る・・・)。そうして、もしかしますと、思考錯誤の末に、この目的を達成する近道として、原子力の研究・技術開発を促進すべき、という結論に達するかもしれません。ここにも、脱原発のパラドクスが見えるのです(脱原発を推進しようとすればするほど、原子力の必要性が認識される・・・)。

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コメント (11)
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